コミケ78:企業出展の舞台裏 50万人へのプロモーションに期待 オタクの“ライト化”に危惧も

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「コミックマーケット78」の企業ブースを彩ったアニメキャラのコスプレをしたコンパニオン

 13~15の3日間で56万人が来場した日本最大のマンガの祭典「コミックマーケット(コミケ)78」。プロ作家からアマチュアまで約3万5000サークルが参加する同人誌即売会がメーンだが、年々成長しているのが、テレビアニメやゲームといった商業作品を扱う企業ブースだ。コミケに出展する企業の狙いを追った。(毎日新聞デジタル)

 コミックマーケットは、75年から始まったマンガや小説、音楽、ゲームソフトなどを扱う同人誌即売会で、現在は夏と冬の年2回開催されている。企業ブースは、95年夏から導入され、96年冬から本格的にスタートした。当初は、アマチュア作家たちの表現の場であるコミケの趣旨に反することなどから反対意見あったというが、準備会では「プロやアマの立場を超えて、表現の可能性を見直す。(企業は)利潤が目的でも表現を通じた交流が生まれているはず」と話す。企業ブースは、出展を希望しても落選する企業も多く、年々拡大する傾向にある。

 企業がコミケに出る最大の理由は、利潤とプロモーションの二つだ。コミケでは、限定商品を出すのが普通。昨今の不況の影響もあり、客一人当たりの平均購買額の「客単価」は落ちているが、それでも3日間で億単位の売り上げをたたき出す企業もあるという。

 それ以上に、50万人を超える来場者に対するプロモーション効果に期待をかけている企業が多い。ゲーム「けいおん!放課後ライブ!!」などをアピールした大手ゲーム会社のセガは「物販はファンサービスの一環。むしろコミケでは、アニメやマンガのファンにもアピールできる。テレビゲームを熟知している人が多いゲームショウの来場者と違い、コミケの参加者は、自分に興味のない作品を知らないことが意外とある。既出のプロモーションビデオ(PV)を流して『こんなゲームがあるんだ』と認知してもらうだけでも違う」と話す。

 中堅出版の少年画報社も自社作品のアピール重視だ。10月放送予定のテレビアニメ「それでも町は廻っている(それ町)」の原作マンガを連載している少年画報社の野々口嘉孝・ヤングキングアワーズ副編集長は「物販重視の企業もありますが、我々は告知がメーン。物販は出展費用が相殺できればいい」と話し、「コミケの出展は、読者の顔を見る側面もある。ツイッターも便利ですが、対面販売はやはり違います」と消費者を肌で感じる重要性も挙げる。「それ町」では、アニメを放送するTBSやポニーキャニオンと協力、マンガ2話分などが掲載された84ページの無料冊子を2万7000部も配布、認知度向上に力を入れた。

 コミケを作品全体のプロモーション戦略に組み込む企業もある。マンガやライトノベルの出版とアニメの映像事業を展開するメディアファクトリーは、アニメ化されるライトノベル「えむえむっ!」などのオリジナルグッズのセット「真夏の読書セット」を販売。映像事業部の鶴岡信哉さんは「アニメ放送前の作品は、PVで期待を高めつつ原作をアピールし、アニメ放送後の作品は、DVDが売れる手を考えます。コミケは新規顧客を捕まえる絶好の機会なんです」と明かしている。

 今回も56万人と過去最高の来場者を記録し、ますます盛り上がるコミケだが、あるゲームメーカーの展示担当者は「人数は多いのだが、全体的に“薄く”なった気がする。コアなギャルゲーのグッズなどは売り上げがいまいち伸びきらない。オタクのライト化が進んでいるのでは」という声もある。不況に強いとされるエンターテインメント産業だが、コミケの企業ブースの動向で未来が占えるのだろうか。

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