あの花:秩父に“聖地巡礼”現象 アニメファンがコスプレ、“痛絵馬”……

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アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」に登場するモデルになった秩父橋の前に立つコスプレーヤー(左)と、アニメのメーンビジュアル(C)ANOHANA PROJECT

 「あの花」の愛称で知られるテレビアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の舞台のモデルになった埼玉県秩父市に、ファンが大挙して訪れる“聖地巡礼”の現象が起きている。アニメ放送直後から週末には同地を訪れる若者が増え、市や鉄道会社も本腰を入れてキャンペーンを展開するなど盛り上がっている。

 アニメが放送されたのは4~6月。子供時代仲良しだった6人組が仲間の少女の死がきっかけで疎遠になるが、高校生になってからリーダーだった少年・じんたんの元に死んだ少女が現れて「お願いをかなえて」と言い出し、仲間たちが再集結するという青春ファンタジーだ。1話の放送直後から、インターネットでは、切ないストーリーや先の展開が気になる……という称賛の書き込みが相次ぎ、6月末に発売されたブルーレイ・ディスクの1巻は3万枚を販売し、春アニメで最高の人気作となった。

 アニメの舞台が秩父と明かされたのは、放送直前に張り出された西武鉄道のポスターだった。「秩父を舞台設定のモデルにしたオリジナル青春アニメーション」という文字とともに、斜張橋「秩父橋」をバックに登場キャラクターたちが描かれており、舞台・秩父を印象づけた。アニメは、丹念に描かれた風景や自然が魅力の一つとなっており、秩父橋や、仲良し6人組が集うお堂のモデルになった秩父三十四札所の一つ「定林寺」をはじめ、関東でも屈指の古社である「秩父神社」、「みやのかわ商店街」などが描かれており、それぞれのキャラクターの自宅のモデルになった家もある。場所が明らかになってないのは、仲間が集まった「秘密基地」ぐらいだ。

 秩父はもともと県内有数の観光地として知られているが、3月の東日本大震災以降は観光客が減っており、4~5月の羊山公園の「芝桜」を見るために訪れた人の数は、例年の半分の50万人に減ったという。その直後の思わぬ“巡礼客の到来”に地元は歓迎している。アニメの放送終了後の7月現在で訪れる観光客は例年より約2割ほど増えたといい、それも普段は現地で見ない若者の数が増えているのが特徴という。

 一番の人気スポットは、ポスターの図柄にもなっている秩父橋。取材に行った当日はアニメに登場する仲良し6人組にコスプレした地元の若者5人に遭遇した。主人公のじんたん役は不在だったが、メンバーの一人は「秩父が舞台になってうれしい」と語り、しきりに記念撮影していた。秩父神社には、ファンが「あの花」のキャラクターを描いた“痛絵馬”も奉納され、地元でも話題になっている。7月上旬には“痛絵馬”の大半が心ない何者かに盗まれるトラブルもあったが、夏休み以降は学生の参拝客の姿が目立ち始め、“痛絵馬”も増え続けている。

 そうした巡礼客の来訪に対応しようと地元では、アニメゆかりの地を訪ねるための“聖地巡礼”マップ「めんまのおねがいさがし in ちちぶ 舞台探訪」を作製し、市内や西武鉄道の各駅、秩父鉄道の主要駅で配布している。7月23日~9月11日にはキャンペーンを実施しており、秩父市内の「ほっとすぽっと秩父館」で作品中に登場したTシャツや牛乳瓶、カップなどを展示し、ファンの話題となっている。

 そして8月27日には、アニメのエンディング曲として出演声優がカバーしたヒット曲「secret base~君がくれたもの~」のオリジナル曲を歌っていたガールズバンド「ZONE」が8月限定で再結成されるのに合わせ、同市内でチャリティーコンサートが開かれる。アニメ放送が縁で地元の秩父商工会議所が打診して実現したもので、収益金は同商工会議所と交流のある被災地・岩手県陸前高田市の支援に使われる。

 アニメの“聖地巡礼”といえば、同じ埼玉県で「らき☆すた」で話題になった旧鷲宮町(現久喜市)の事例があり、舞台となった鷲宮神社では正月三が日の参拝客がアニメ化前の5倍の47万人に急増するなど成功を収めている。秩父商工会議所の島田憲一副会頭はこうした“巡礼”を「秩父の文化を取り入れた戦略で面として利用したい」と地元の文化を売り込む切り口として積極的に進める考えで、“先輩”に続けるか注目だ。(毎日新聞デジタル)

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