ゲーム業界展望:「ドラクエ10」が業界を家庭用ゲームを救う? エンターブレイン浜村社長語る

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エンターブレインの浜村弘一社長

 東日本大震災が影を落とし、携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」の予想外の苦戦や、「ドラゴンクエスト10」のオンラインゲーム化などさまざまな話題があった11年のゲーム業界。ゲーム出版大手「エンターブレイン」の浜村弘一社長に11年を振り返ってもらい、12年の展望を聞いた。(毎日新聞デジタル)

 ◇11年は「主役の交代の始まり」

 −−ゲーム市場にとって今年はどんな年でしたか?

 「主役の交代の始まり」を感じた年ですね。「ニンテンドーDS」「Wii」を経て、「ニンテンドー3DS」が出ましたが、「PSVita」という対抗馬も登場しました。一方で「PSP」も実は売れていて、PS3の市場も大きくなっています。PS3とXbox360の後継機もうさわになっていますね。業界的には、ソーシャルゲームの伸長があり、スマートフォンの普及も進んでいます。これまではMS、ソニー、任天堂の(3強の)「覇権争い」という構図でしたが、変わりました。

 −−「モバゲー」「グリー」などソーシャルゲームの成長が著しいですね。

 いずれは来ると思っていましたが、この1年で劇的に変わって驚いています。モバゲーの躍進の転機は「怪盗ロワイヤル」でしたが、あらためてゲームの普及はコンテンツということを実感しました。「ソーシャルゲームは課金が当たり前」という人が増えて、それが市場を支えています。テレビゲーム会社発のコンテンツでも、「ドラゴンコレクション」(KONAMI)の成果がすばらしく、この成功を受けて他のメーカーの参入が加速しました。

 −−この勢いは続くのでしょうか?

 「(ソーシャルゲームは)新規の産業だから危うい」という指摘がありますが、それは違うと思います。両社ともきちんとした売り上げがあって、しっかりとキャッシュを持っていて、いわゆる”虚業”ではないのです。任天堂もかつてキャッシュを集めて成長しました。アマゾンやグーグル、フェイスブックなど米国発のサービスが日本で伸びる中で、ソーシャルゲームは日本発で、海外に進出しているサービスになりそうですね。

 −−東日本大震災でソーシャルが見直されました。

 ソーシャルゲームの普及の急激な加速は震災が影響しています。テレビゲームのソフトメーカーが、自粛してサービスを見合わせる中で、DeNAの「モバゲー」や「グリー」はやめませんでした。携帯電話はライフラインで、SNSは連絡を取るツールだったので、「サービスを止めてはいけない」という考えでした。そして、人は娯楽を求める傾向があり、(震災で)他のエンタメがない中でソーシャルゲームの存在は大きかったということです。また「絆」という言葉が流行したように「つながる」ことの大切さもあり、(日本全体の)トレンドにフィットしたともいえますね。

 −−海外での可能性は?

 今のところは(コンテンツ会社として世界で成功したのは)任天堂だけですが、2社にも可能性は十分あります。「少年の主人公が成長して魔王を倒す」というのが日本のゲームの形ですが、海外では筋肉隆々の主人公が多いなど文化の違いが家庭用ゲームでは壁になりましたが、ソーシャルゲームは「多数決」で決まるので、ゲームのキャラクターデザインも文化に応じて変えられますからね。問題は「課金」で、日本では携帯キャリアーの決済がありましたが、海外は厳しい状況です。ただ、海外ではそのインフラがない場所もあります。ですが他国でフィットする「怪盗ロワイヤル」のようなキラーコンテンツが生まれたら突破口になります。古くはファミコンでは「マリオ」が、PSPでも「モンスターハンター」がそうでした。要はコンテンツが重要ということですね。

 ◇任天堂の3DSソフトに注目 PSVitaはPSPと共存

 −−11年のソフト市場も「モンスターハンター(モンハン)」の存在感が圧倒的でした。

 「モンハン」はサードパーティー(任天堂グループ以外のメーカーのこと)では、ナンバーワンのブランドになったと思いますし、3DSをどれだけ活性化させてくれるか楽しみです。ですが課題もあるのも事実です。新しさを出すという点でいえば、新モンスター以外にはなく、そこは開発者も苦労していると思います。3DSで発売される最新作「4」で、どう克服するか楽しみです。

 −−11年で気になったゲームは?

 日本では、Xbox360の端末「キネクト」が普及していないので注目されていませんが、ポテンシャル(潜在能力)はすごいと思います。特に「ディズニーランド・アドベンチャーズ」は、キャラクターとハイタッチやハグができたり、歩くだけでも楽しく、ディズニーの世界を見事に再現していますし、ダンスゲームにも可能性がありますね。コントローラーを持たずにできる特性を生かしており、いろいろなゲームに応用できると思います。

 −−PSVitaが発売されました。

 PSVitaは機能とコンテンツが一体化していて、無料で遊ばせるゲームの中に面白いことができるようになっています。そこから新たな発明が生まれてくる可能性があると思っています。面白いのは、昨年末はソニーがPSVitaとPSPの新旧ハードの両方のテレビCMを流していました。こんなことは以前にはありませんでした。今のゲーム業界を象徴している現象といえます。

 −−任天堂は?

 まずは3DSの市場をどこまで広げるかで、そのためには早く(国内の販売数を)500万台にできるかですね。ここまでもソフトは人気ですが、あくまで想定内で、DSの「トモダチコレクション」のようなブランニュー(完全新規の商品)が出ていません。昨年はサードパーティーを推していたので、これからが本領発揮でしょう。「任天堂ならでは」感をどこまで出せるかですね。(新型の据え置き型ゲーム機の)「Wii U」も来年登場しますから注目ですね。

 −−スクウェア・エニックスは、「ファイナルファンタジー(FF)14」と「ドラゴンクエスト10」がいずれもオンライン対応ですね。

 「FF14」は、面白くなると思います。個人的には、作った世界を1回壊して新しくするという流れが興味深いですね。既に課金をすると発表しており、自信があるということでしょう。

 「ドラクエ」は、普段はゲームを遊ばない人も楽しめるRPGでした。オンラインRPGは時間がかかるものですが、(ドラクエのゲームデザイナーの)堀井雄二さんが「10」で、どれだけ敷居の低いオンラインゲームを作るかに注目です。「ドラクエ10」が短時間で遊べるオンラインゲームになったら、ソーシャルゲームに押されていた家庭用ゲーム業界を救う“切り札”になるかもしれません。

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