プリキュア:人気の秘密は王道と革新性

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アニメ「スマイルプリキュア!」のビジュアル(C)ABC・東映アニメーション

 04年にスタートし、女の子たちの間で根強い人気を誇るアニメ「プリキュア」シリーズ(朝日放送・テレビ朝日系)。アニメの王道を貫きつつ、時代の流れに合わせて新たな要素を盛り込む挑戦の歴史を追った。(毎日新聞デジタル)

 「プリキュア」シリーズは、普通の女の子が妖精たちの力を借りて、伝説の戦士・プリキュアに変身し、世界を征服しようとたくらむ悪に立ち向かう姿を描くアニメ。04年に第1弾「ふたりはプリキュア」が始まり、現在は第9弾「スマイルプリキュア!」を放送している。

 まず、「プリキュア」を初めて見る人が驚くのは、少女たちが素手で相手に立ち向かう戦闘シーンがあることだ。アニメ「美少女戦士セーラームーン」などにもあった手法だが、女の子向けのアニメでは異例。しかし、初代プロデューサーで東映アニメーションの鷲尾天さんは企画からアクションシーンを作ることを考え、アニメ「ドラゴンボール」の西尾大介監督に声をかけた。鷲尾さんは「子どもたちは怖い存在に立ち向かう姿を格好いいと感じる。そこは男の子も女の子も変わらない」と振り返る。

 初代の「ふたりはプリキュア」では、主人公のイメージカラーが黒と白であることも珍しかった。女の子向けアニメでは、ピンクや黄色などが選ばれることが一般的だが、鷲尾さんは「真っすぐでクールビューティーなイメージにした。少年向けのアニメに近いキャラクターですね」と話す。その代わり、主人公のキュアブラックにはピンクも配色されており、フリルがあしらわれるなど格好よさと可愛さを兼ね備えたデザインになっている。

 その後、ピンクや黄色など王道のイメージカラーが選ばれたのも理由がある。09年からプロデューサーを務める梅澤淳稔さんは「女の子が憧れたり、好きなものをリサーチすると、好きな色はやっぱりピンクや黄色だった」といい、ほかにも女の子が憧れるものを徹底的に取り入れ、人気を不動のものにしていく。例えば、「フレッシュプリキュア!」からは、エンディングのアニメでプリキュアがダンスするが、これは「ダンスを好きな子どもが増えている」という調査結果から生まれた。

 一方、すべての試みが子どもに支持されたわけではなく、プリキュア同士の戦いが展開された劇場版アニメ「ふたりはプリキュア Max Heart 2 雪空のともだち」では、劇場で泣き出す子どもがいたという。鷲尾さんは「男の子はヒーロー同士の戦いが好きなんですけどね……。以後、プリキュア同士の戦いは描かないようにしました」と苦笑する。

 鷲尾さんは「プリキュア」に共通するヒロイン像を「りりしくあること、よく食べることを大切にしています」と話す。食べ物の好き嫌い、ダイエットは親から見れば避けてほしいことだからだ。さらに、梅澤さんは「子どもはハムスターを可愛いと思うけど、ハムスターに憧れるわけではありません。つまり“こうなりたい”と思うのが憧れです。ただ、プリキュアは子どもたちが憧れる強さを持っていますが、完全無欠なヒロインではありません。少しドジなキャラクターにするなど、見ている子どもよりも劣る部分を作ることで、共感してもらえるようにしています」と語る。

 また、梅澤さんは親子で楽しめる作品を目指し、「勧善懲悪にはせずに、幸せや悪とは何か?というようなテーマを盛り込み、何か感じてもらえるようにしている」と語る。例えば「ハートキャッチプリキュア!」では、人が誰でも持つコンプレックスをテーマとしており、梅澤さんは同作について「話を難しくしているわけではありませんが、重くならないように、キャラクターの頭身を低くしました」と説明する。テーマ性は、大人の鑑賞に耐える内容につながり、親や大人の方が熱心なファンになることもあるという。

 放送中の「スマイルプリキュア!」(日曜午前8時半~)は、笑顔をテーマに、5人のプリキュアが力を合わせて悪に立ち向かう姿を描いている。梅澤さんは同作のコンセプトを「東日本大震災の影響が大きいのですが、チームで一つのことをやって、笑顔を絶やさないでほしいという気持ちを伝えたかった」と明かす。込められたメッセージは王道でありながら、時代の流れとともに変化している「プリキュア」。10年目を迎える来年も注目だ。(毎日新聞デジタル)

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