黒川文雄のサブカル黙示録:ゲーム裁判のコンテンツへの影響

コラム ゲーム

 8月上旬、日米でゲームに関する訴訟のニュースが報じられました。米ではエレクトロニック・アーツ(EA)が、ソーシャルゲーム大手のジンガの人気ゲーム「The Ville」は同社の「ザ・シムズ ソーシャル」を模倣したとして著作権侵害で提訴しました。

 日本でも、「釣り」ゲームの仕組みを模倣されて著作権を侵害されたとして、ソーシャルゲーム大手のグリーが、DeNAなど2社にゲーム配信の差し止めや計10億円余の賠償を求めた訴訟の控訴審判決がありました。こちらは、配信差し止めと計2億円余の賠償を認めた2月の1審東京地裁判決を取り消し、グリーの請求を棄却。グリーは即座に最高裁へ上告する手続きを取ったため、結論は最高裁へ持ち越しました。まさに双方にとっては消耗戦のような様相になっています。

 EAとジンガ、グリーとDeNAのゲームは、いずれもヒットコンテンツであることは間違いありません。各社とも本音では、早めに決着をつけて気持ちよくビジネスを続けたいと思っていることでしょう。

 現時点では、会社間の争いで、ユーザーにはあまり影響がなさそうに見えます。しかしこの二つの案件、個人的には市場に対して悪い影響を及ぼす可能性が高いと思っています。「コンプガチャ」の件、家庭用のゲーム会社の業績悪化などと合わせて、この裁判を含めてゲーム関連のネガティブなニュースが続けば、テンションの高かったユーザーの意識が変わるからです。その意味では、これらの訴訟は長期化せず、和解で終わることが望ましいのでしょうが、これまでの状況を見るとそれも難しそうです。

 そもそもゲームというコンテンツは、新しいシステムなどが生み出される中で、模倣に近い作品も生まれながら発展していくもので、後発のゲームが新しい仕組みやアイデアを生み出し、それがまた別のゲームに模倣されながらも新要素が追加される……という、”文化交流“のようなものがあります。もちろん過去には訴訟になったこともありますが、成長期においては双方の技術やアイデアの“トレード”のようなものは頻繁にあったと思います。

 以前にも書きましたが、そもそもゲームの“文法”やシステムは先人が構築し、約30年以上かけて改良されながら継承されました。それを突然「このゲームシステムには著作権がある」と主張するのも妙な感じがするわけです。訴訟期間が延びれば訴訟のコストも増えることでしょうし、何よりも貴重な経営資源が費やされることになります。双方にいいたいことは山ほどあるはずですが、その気持ちを抑えて和解などの早期決着ができれば、ゲームの未来もより明るくなるよう思えるのです。

 ◇著者プロフィル

 くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、映画・映像ビジネス、ゲームソフトビジネス、オンラインコンテンツ、そしてカードゲームビジネスなどエンターテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。ブログ「黒川文雄の『帰ってきた!大江戸デジタル走査線』」(http://blog.livedoor.jp/kurokawa_fumio/)も更新中。

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