マンガ質問状:「1/11 じゅういちぶんのいち」 作者の“人間を描く”才能にほれた

マンガ
中村尚儁さんのマンガ「1/11 じゅういちぶんのいち」(集英社)4巻の表紙

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、サッカー選手・安藤ソラとさまざまな縁で出会う人々の物語を、オムニバス形式で描いた中村尚儁(たかとし)さんのマンガ「1/11 じゅういちぶんのいち」です。「ジャンプSQ.」(集英社)編集部の小菅隼太郎さんに作品の魅力を聞きました。

 −−この作品の魅力は?

 自分の才能に限界を感じ、中学卒業と共にサッカーをやめた主人公・安藤ソラ。しかし、女子日本代表の若宮四季との出会いが、心の奥底に眠らせていた夢をよみがえらせて……。一人のサッカー選手・ソラの人生で交差したそれぞれの人間がオムニバス形式で描かれていくドラマシリーズなので、スポーツが苦手な人にも薦められると思います。

 本作には必殺技をはじめとする、スポーツマンガ特有のアクションシーンがほとんどありません。その代わりに、ここには若さや青臭さ、ひいては人間の持つ悩み、成長、葛藤が描かれています。連載初経験の新人・中村氏が描くさまざまな感情のひだを味わっていただければ担当としては感無量です。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 「ジャンプSQ.」では当時、王道スポーツモノが受け入れられる土壌がありませんでした。また、中村先生が「月刊少年ジャンプ」で発表していたサッカー読み切り3作品もはっきり言ってしまうと読者アンケートが悪く(苦笑)、どうすればSQ.で人気を獲得し、連載を取れるのか悩んだ結果作ったのが2巻の巻末に収録している読み切り「枯尾花幽霊探偵事務所」になります。これが好評だったので、「1/11」の企画を動かし始めました。僕としては中村先生の“人間を描く”才能にほれ込んでいたので、あまりためらいはなかったです。その後「SQ.19」創刊時からの連載をへて、現在に至ります。

 −−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった……、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。

 これは当たり前なのですが、2人で大量の人物評伝やノンフィクション、スポーツドキュメンタリー、青春小説などの資料を見たり読んだりしながらお互いの共通言語を増やし、喜怒哀楽……、感情のツボをすり合わせたことが思い出されます。けんかはめったにしませんがお互い譲らないので毎日何時間も電話してましたね。

 形にしていないプロットやエピソード集もあと何十本もあって、実は僕が提案しているこん身の古文教師や兄弟のネタもあるのですが、中村先生も頑固なので(笑い)、全然採用してもらえません……。ただ中村先生の実直さや真面目さが実を結び始め、現在は10刷まで到達しました。いまは当初立てた目標を達成できたらお互いにプレゼント交換をしようとBLマンガみたいな約束をしています(笑い)。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 実は映像化とアニメ化が……と言いたいところなのですが、残念ながらお話はいただくものの発表できる段階にはありません。年内に重大発表!!といきたいところなのですが、「1/11」と同じで、人生そう簡単にはうまくいきませんね。

 今はただ、多くの読者の皆さんに喜んでもらえるように、単行本がずっと長い間本棚のよい場所に置いてもらえるように、真っ当にマンガを作っていくのみです。興味を持たれた方は、試しに集英社の音声付きコミック「VOMIC」、あるいはジャンプSQ.のサイトに掲載された中村先生のインタビューをご覧になってみてください。中村先生も地元・福岡で日々奮闘中なので引き続き応援をお願いします!!

 ジャンプSQ.編集部 小菅 隼太郎

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