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朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第86回 アガサ・クリスティ「スタイルズ荘の怪事件」

ブック コラム
「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第86回はアガサ・クリスティの「スタイルズ荘の怪事件」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 厳しかった残暑も弱まり、大分過ごしやすくなってきました。

 これから肌寒さを感じるまでのわずかな時期は、外で読書を楽しむのにちょうど良くて、気持ちの良い季節なんです。

 そんな秋の到来を告げる秋分の日は9月22日ですが、実は今年の秋分はちょっと特別だということ、皆さんはご存じでしたか?

 春分と同様、一日における昼夜の時間がほぼ等しくなるという秋分は毎年「9月23日ごろ」とされていますが、「9月22日」になったのは1896年以来、実に116年ぶりのことなんだそうです。

 私は今回調べるまで、ずっと23日が秋分のままなんだと思っていました……(^−^;

 さて、今回はその秋分の日の前日、9月21日にまつわる3人の作家さんをご紹介したいと思います。

 まず1人目は、今から約80年前の1933年9月21日に、急性肺炎から37歳で早逝された宮沢賢治さん。

 「宮沢賢治忌」と呼ばれるこの日には、故郷の岩手県花巻市の「賢治詩碑」前で「賢治祭」が毎年開かれています。ちなみにこの場所は宮沢賢治さんの私塾「羅須地人協会(らすちじんきょうかい)」の跡地でもあるんですよ。

 続いて2人目は、この日がお誕生日になるイギリスのSF作家、ハーバート・ジョージ・ウェルズさん(1866年生まれ)。以前ご紹介したディストピア小説「タイム・マシン」のほか、透明になれる薬を発明した科学者が巻き起こす事件を描いた「透明人間」、火星人=タコのような生物というイメージを世に広めた「宇宙戦争」など、今日に至るSFの原点となる作品を多数発表しました。

 最後は同じくお誕生日を迎えたアメリカの作家、スティーブン・キングさん(1947年生まれ)。デビュー作のホラー小説「キャリー」、あの「スタンド・バイ・ミー」の原作「The Body」、不思議な力を持った死刑囚の物語「グリーンマイル」など、数多くの作品が映画化され、日本の作家さんにも大きな影響を与えています。

 ではここで朗読倶楽部のコーナー、前回に続いて甲原みかえさんのお話です。

 勉強もスポーツもそつなくこなす彼女の苦手なもの、それは英語でした。

 学校での成績はトップで、ネイティブスピーカーのヒアリングもばっちりなのに、それでも苦手だと言う理由はなんでしょうか?

 ……すでに皆さんお気づきだと思いますが、みかえさんは「しゃべる」ことが苦手だったのです。でも、これには深い理由がありました。

 初めて気づいたのは、みかえさんと私が高校に入学した直後……英語の授業のリーディングで、初めて彼女が指名されたときのこと。

 既に彼女が留学していたことを知っていた私は「本格的な英語を聞ける」と期待しました。

 ところが、実際にその口から紡がれた発音は、ものすごいジャパニーズ・イングリッシュだったのです。途中でつまずくことなく淡々と最後までしゃべりきるところは、アルファベットの読み方を考えながら発音するような私と違って英語力の高さを裏付けるものでしたが……。

 本当に淡々としすぎていて、感情の起伏がない、どこか不自然なしゃべり方が印象に残ったのです。

 実は、みかえさんは自分の自然の発音ではなく、わざとジャパニーズ・イングリッシュを使っていたのですが……そのことについてはまた次のお話で。

 次回も引き続き、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 アガサ・クリスティ「スタイルズ荘の怪事件」

 こんにちは、今回ご紹介する一冊はイギリスが誇るミステリーの女王、アガサ・クリスティさんの「スタイルズ荘の怪事件」です。

 1916年に執筆され、北米で1920年、英国では1921年に出版されたこのお話は、世界で最も知られる探偵のひとり、エルキュール・ポアロさんが活躍する「名探偵ポアロシリーズ」の第1作にして、アガサ・クリスティさんのデビュー作でもあります。

 明晰(めいせき)な頭脳の比喩表現「灰色の脳細胞」という言葉は、元々ポアロさんの口癖なんですよ。

 時は第一次世界大戦中期、イギリスでのお話。

 戦地で負傷し傷病休暇を与えられたヘイスティングズさんは、旧友ジョンさんの招待でカントリーハウス「スタイルズ荘」に滞在することになります。

 今は亡きジョンさんの父親が購入したというこの家、現在は継母のエミリー夫人が相続しているのですが、彼女は最近になって20も年下のアルフレッドさんと再婚していました。

 既に高齢の夫人と結婚したのは明らかに遺産目当てと思われ、スタイルズ荘の住人は使用人に至るまで彼を良く思っていない様子。

 特に夫人の部下であり友人でもあるエヴリンさんは彼への嫌悪感を隠さず、やがて彼女は夫人とケンカした揚げ句に屋敷を出て行ってしまいます。

 彼女の去り際に「夫人は狙われているから目を離さないように」との忠告を受けたヘイスティングズさん、しかしその忠告もむなしく、ある晩エミリー夫人は不可解な死を遂げてしまいました。

 ヘイスティングズさんは、偶然スタイルズ荘の近くを訪れていた友人のポアロさんに助けを求めます。友人の願いというだけでなく、夫人に大きな恩があったポアロさんは、早速捜査を始めるのですが……。

 本作でのデビュー後、90作近い作品で名探偵として活躍するポアロさんですが、実は1975年に発表されたシリーズ最終作「カーテン」の舞台は、再びこのスタイルズ荘になっているんですよ。

 これから読書の秋……本作品を足がかりに、シリーズ全作読破に挑戦してみてはいかがでしょうか?

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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