おおかみこどもの雨と雪:富野コメントに「感動」 細田守監督が語るアニメへの思い

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 細田守監督の劇場版アニメ「おおかみこどもの雨と雪」が公開から59日で興行収入40億円を突破するなど大ヒットを記録している。公開直前、「機動戦士ガンダム」の生みの親で毒舌家として知られる富野由悠季監督が同作を絶賛したことでも話題をさらい、公開後も親子という普遍的なテーマを軸に描かれた作品性の高さが幅広く支持され、細田監督にとっては「サマーウォーズ」(09年)の約16億5000万円などを大きく上回るヒットを記録した。今夏の邦画の話題をさらったことを「ただびっくりしている」と話す細田監督にファンや富野監督、アニメ業界への思いを聞いた。

 「おおかみこどもの雨と雪」は、細田監督が新たに設立した「スタジオ地図」が制作したオリジナルアニメ作品。主人公・花と“おおかみおとこ”との出会いから恋愛、結婚、出産、子育て、“おおかみこども”の雨と雪の成長と自立までの13年間を描く。花の声を女優の宮崎あおいさんが、花と子どもたちを優しく見守る“おおかみおとこ”の声を俳優の大沢たかおさんが担当。43カ国・地域での配給が決定している。

 同作の上映館には、10~30代のカップルや親子連れ、老夫婦など幅広い層が押し寄せ、公開から約2カ月たった現在も客足は衰えていないという。細田監督は、同作が幅広い層に受け入れられている理由を「一口に親子といっても、50代の親と20代の子どもも親子だし、いろいろな形がある。映画を見ながら、子どもは自分がどう育ったのか、親は子どもをどう育てたかを自身の経験に照らし合わせ、慈しむような気持ちを持っていただいたのかもしれませんね」と分析する。

 作品に対するさまざまな感想や意見が寄せられる中、細田監督が最も印象に残っているのは「映画を見た後、遠く離れた母に電話した」という声だったという。細田監督は「入場料以上の価値を生むことができたのであれば、うれしいですね。作品をきっかけに親子関係がより親密になるきっかけになるとすれば、(制作した)意味があったと思う」と感慨深げな様子だ。

 公開直前の富野監督は「過去のジャンル分けなどを飛び越えた物語になっている。描写が冷静だからだろう。文芸大作と言っても良い」「このような作品に出会えたことは、同じ作り手として幸せである」と絶賛。このコメントはネットを中心に話題となった。細田監督は「富野監督には、私の以前の作品を痛烈に批判していただいて……。楽しく接しさせていただいています」と笑顔で話しながら「富野さんのコメントは、作り手がどういう志で作品を作るかということをいってくれている。この作品のチャレンジ精神を評価していただいたのだと思う。富野監督がジャンルを超えようと挑戦されてきた気持ちが伝わってきて、感動しました」と語る。

 さらに、細田監督は、富野監督の「アニメならではの手法で可能になっている構造でもあるので、アニメ映画というレッテルを貼られてしまうのが、無念ではある」という声には「例えば『アニメじゃなくて映画になった』と評されることがありますが、映画として公開しているのだから、変な話ですよね。それを乗り越えるのに40年近くかかっている。私を含めたアニメ好きの課題です」と考えさせられることが多かったようだ。

 また細田監督は「ヒットしてありがたいのは、僕だけでなく、若い監督がいろいろなチャレンジが可能になってくると思う。枠組みにとらわれず、新しくて面白くて、役に立つものを素直に作れるようになったらいいと思う。いろいろな監督が作品を作ることによって活性化するといいんですけどね」と話し、同作のヒットがアニメ業界に風穴を開けるきっかけになることを望んでいるようだ。

 最後に、今後の予定について聞くと「お客様から次の作品を作ってもいいというチケットを渡されたと思うので、そのチケットを持って、皆さんが楽しいと思う作品を考えていきたい。今までにないような面白い作品を試行錯誤しながら作って、お見せできればと思います」と話していた。(毎日新聞デジタル)

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