「聖☆おにいさん」の一場面 (C)中村光/講談社 (C)中村光・講談社/SYM製作委員会
「聖☆おにいさん」の一場面 (C)中村光/講談社 (C)中村光・講談社/SYM製作委員会

 中村光さんがマンガ誌「モーニング・ツー」(講談社)で連載している人気マンガの劇場版アニメ「聖☆おにいさん」(高雄統子監督)が10日に公開された。ブッダとイエス・キリストの下界でのバカンスをユーモラスに描いた。東京・立川にアパートを借りてルームシェアし、節約家のブッダと浪費家のイエスという正反対の2人がほっこりした日常を繰り広げる。宝島社の「このマンガがすごい!2009」のオトコ編で1位を獲得、第13回手塚治虫文化賞短編賞を受賞している。イエス役で俳優の森山未來さん、ブッダ役でミュージシャンで俳優の星野源さんがアニメの声優に初挑戦していることでも話題だ。星野さんは書き下ろしの新曲「ギャグ」で主題歌も担当している。

 ブッダとイエスは、世紀末を無事に乗り越えバカンスとして下界に降臨、東京・立川のアパートで共同生活を送る。2人は周囲に素性がバレないよう細心の注意を払いながら生活していたが、行く先々でつい奇跡を起こし、住民たちに怪しまれてしまう。2人がエンジョイする日々が、日本の四季と商店街の人々や子どもたちらとのふれ合いを交えつつ、いつしか優しく心地よい絆が芽生え始める……という展開。

 横になっていると鳥が集まり「涅槃(ねはん)じゃないから」と叫ぶブッダや、女子高生から「ジョニー・デップ似」といわれてニヤつくイエスと、始まるいなや一気に原作と同じ不思議な世界観へトリップする。随所で繰り出されるイエスとブッダそれぞれの逸話にかけた笑いの数々は、言ってみれば「内輪ネタ」のようなもので、後光や奇跡といった偉大なものをネタにしていること自体が面白く、笑いのツボをくすぐられる。また日本の四季折々の情景や夏祭り、クリスマスといったイベント、そして近所の人たちとの掛け合いなど、懐かしくも心地いい笑いもあり、心温まる。イエスとブッダが着ているTシャツに描かれた文字は必見だ。観賞後は、ほのぼのして穏やかな気持ちになるコメディー作。TOHOシネマズ 六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップを駆使し、インタビューや撮影もOKと、どこへでも行きなんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。