あさりちゃん:作者が36年間の連載語る “新作”にも意欲

マンガ

 人気長寿ギャグマンガ「あさりちゃん」(小学館)が2月28日に発売されたコミックス100巻で、36年間の連載に幕を下ろした。多くのファンに愛された人気作を世に送り続けてきたのは、マンガ家ユニット「室山まゆみ」の室山眞弓さんと眞里子さん姉妹だ。新旧のファンから終了を惜しむ声が寄せられる中、2人は「もしかしたらまたどこかで描くもしれない」と語る。売れっ子作家として一線で活躍してきた2人に話を聞いた。

 ◇「やめようと思ったことはない」

 「あさりちゃん」は2人が「室山まゆみ」名義で1978年に「小学二年生」8月号から連載をスタート。勉強嫌いだがスポーツ万能の小学4年生の浜野あさりと学校一の秀才の姉・タタミを中心に家族やクラスメートたちを巻き込んでドタバタを繰り広げるギャグマンガで、学年誌や少年マンガ誌「月刊コロコロコミック」、少女マンガ誌「ちゃお」などに連載。今年2月1日に発売された「小学二年生」3月号で連載を終了した。82~83年にはテレビアニメも放送され、86年には第31回小学館漫画賞を児童部門で受賞。コミックスは累計2800万部を突破し、女性マンガ家による最多巻数作品としてギネス世界記録に申請中だ。

 36年の長期連載で、連載を休んだのは2回だけ。眞弓さんと眞里子さんは「充実したマンガ家生活だった。『あさりちゃん』とともに生きて……」と口をそろえる。マンガのネタはラジオや新聞、ニュース、雑誌、特に生活面や読者の投稿欄から取り入れてきた。ネタが思いつかず、担当編集者に見張られたり、学年誌の付録や“企画もの”と呼ばれる本編以外の読み物ページのネタを探すために東京都内の書店を走り回ったりすることもあった。

 それでも、2人は「やめようと思ったことはない」と口をそろえる。「好きで始めた仕事。『ほかに何をやるの?』って」と眞里子さんは笑う。姉妹で仕事をするスタイルについても、子供のころから「2人でおしゃべりしながら、絵を描いていたから抵抗はなかった。1人で活動しようと思ったことはない」と明かす。

 ◇“新あさりちゃん”にも前向き

 長期連載を終えた充実感を語る2人だったが、眞里子さんは「私の中では終わったという感覚ではない」、眞弓さんも「もしかしたらまたどこかで描くもしれない」と語る。眞弓さんは「あさりは可愛い子供。でも嫁に出すって感じでもなく、留学かな。もしかしたら戻ってくるかもしれないですね」と“新あさりちゃん”への含みを持たせた。それでも、「今はとにかくずっとやってきて、100巻で切りもいいし、中途半端でだらだらやるよりも、あさりは大事な子供なのでかっこよく終わらせたいという気持ちの方が大きい」と明かす。

 「のびのびと描いてはきたけれど、もっと違うことも描けたかもしれないと思わないわけではない」という眞里子さん。「あさりちゃん」は学年誌での連載ということもあり、性にまつわる話は避けていたというが、実際読者から「タタミちゃんの生理の話はないのですか?」という手紙をもらったことも。2人は「もう一歩、生々しくない程度の女の子の『あさりちゃん』で描ける場所があれば描いたら面白いかな」と前向きに話す。

 ◇覆したギャグマンガの“常識”

 「あさりちゃん」はあさりが姉タタミらと繰り広げるドタバタギャグが中心だが、高校生になったあさりを描く「ハイスクールあさりちゃん」では、あさりがルーズソックスをはくなど、ファッションにその時代の流行を積極的に取り入れてきた。マンガのネタと同様に、「sesame」(朝日新聞出版)などの子供向けのファッション誌を年に4冊、シーズンごとに購入して参考にしていたという。

 「可愛い洋服を見たり描くのが好き」と話す2人だが、新人だった当時は多くのギャグマンガのキャラクターが毎回同じ服を着ていたため、「ギャグマンガのキャラには同じ服を着せないといけない」という思い込みがあった。しかし、当時の担当編集者に「ギャグマンガにこだわりすぎている。ギャグマンガじゃなくてただのマンガと思え」と言われたことで、「だったら服装も変えたい!」とキャラクターにいろいろな服や衣装を着せることになったという。

 ◇100巻表紙に隠された“秘話”

 「あさりちゃん」が100巻で完結すると発表された際、話題になったのが、あさりがコミックス1巻の表紙と同じポーズで描かれている100巻の表紙だった。1巻と同じ構図にした理由を尋ねると、眞里子さんは「『先生の絵は1巻のときからちっとも変わっていませんね』っていう手紙が時々来るんです。私の“進歩”に気づいていない人がいるかもしれないと思って、だったら最初のころの絵と見比べてもらおうって思ったんです」といたずらっぽい表情で“秘話”を明かした。

 「あさりちゃん」の完結が発表され、現役の読者だけでなく、20~40代の幅広い層の元読者がツイッターなどを通じて、「寂しい」「おつかれさま」などと作品への思いや感謝をつづった。眞弓さんと眞里子さんは「楽しんでくれた人にありがとうと言いたい」と読者にメッセージを送り、「『あさりちゃん』は終わらない」と繰り返す。「あさりとタタミはいつもそばにいるよって。ギャグマンガは生活マンガ。“進歩”しないから、終わらないんですよ。100巻を毎日読み直していけば、終わらないから。私の中でも終わらないし、あなたの中でも終わらない」と力をこめた。

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