小野憲史のゲーム時評:“チェンジ”の一年 業態変化が進行中

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 超硬派のゲーム雑誌「ゲーム批評」の元編集長で、現在はゲーム開発と産業を支援するNPO法人「国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)」代表の小野憲史さんが、ゲーム業界の現在を語る「小野憲史のゲーム時評」。今回は、今年のゲーム業界を振り返ります。

 2014年も残りわずかになったが、年末になって業界団体の統合という大型ニュースが飛び込んだ。12月2日に発表された、コンピュータエンタテインメント協会(CESA)と、ソーシャルゲーム協会(JASGA)の合併だ。来年4月1日からCESAが存続法人として業務を継続する。前者は家庭用ゲームで後者はソーシャルゲームの業界団体で、統合に向かう家庭用ゲームとスマホゲームの象徴といえそうだ。

 2013年のソフトウエア市場規模は家庭用ゲームが2357億円で、ソーシャルゲームが5346億円(CESA調べ)で、両者の力関係は逆転している。スマホゲームの課金額も2013年12月から日本がiPhone向けとアンドロイド向けの総額で世界1位(アップアニー調べ、資料がない中国を除く)を続けている。もっとも家庭用ゲームメーカーでもスマホゲームを手がける例が増加しており、ゲーム業界の業態変化が進行中といえるだろう。

 御三家といえるのが国産ゲームの「パズル&ドラゴンズ」「モンスターストライク」「ディズニーツムツム」だが、フィンランドの「クラッシュ・オブ・クラン」や、イギリスの「キャンディークラッシュサーガ」など、海外ゲームのヒットも見られる。そのため今秋はカナダ・アイルランド・オーストリア・スウェーデンなど、各国大使館主催による、地元企業の紹介や企業誘致などを目的としたイベントが続いた。

 またゲーム開発者向け会議「CEDEC2014」では、参加者数、スポンサー企業数、ブース出展数が、いずれも過去最大を記録した。特にブース出展では、日本のスマホゲーム市場の大きさに魅力を感じた外資系企業の出展が目立った。スマホゲーム向けマーケティング支援ツール提供などだ。「東京ゲームショウ2014」でも東南アジアをはじめ、各国大使館のブース出展が増加し、活発な商談が行われた。

 もっとも国内市場は飽和しつつある。そこで必要なのは海外展開だが、「課金システム(ガチャ)を組み込んだゲームデザイン」「イベント主導で、ユーザーを飽きさせない運営」「日本人に好まれるビジュアルデザインやストーリー展開」といった成功の方程式が、逆に足かせになっているのだ。開発・運営に加えて宣伝も重要で、総じて家庭用ゲームなみのビジネス戦略が求められるようになっている。

 一方、家庭用ゲームでは携帯ゲーム機のニンテンドー3DSが1708万台、PS Vitaが333万台に対して、据え置きゲーム機はWii Uが198万台、PS4が80万台、Xbox Oneが4万台(VGcharts調べ、国内市場のみ、12月12日現在)と、およそ9:1にまで開いた。特に据え置きゲーム機では、かつての「3強」から「2強」への移行が明確になった。日本マイクロソフトは11月28日にXbox事業部の責任者交代を発表したが、厳しい年末商戦になりそうだ。

 バーチャルリアリティー(VR)技術を用いたデバイスが人気を集めたのもトピックの一つだった。特にオキュラスリフトは開発段階にもかかわらず、多くの愛好家によってコンテンツの開発や体験会などが行われ、過去のゲーム史にみられない、草の根の広がりを見せている。ソニー・コンピュータエンタテインメントも2015年にプロジェクト・モーフィアスの発売を予定しており、家庭用ゲームならではのゲーム体験として注目を集めそうだ。

 家庭用ゲームでは「深く遊び込める」ゲーム作りが求められるが、VRゲームでは「体験性」がより重視されるため、方向性が異なる。モーフィアスの流通形態は未定だが、パッケージ流通だけでなく、ダウンロード配信やF2P(基本プレイ無料のアイテム課金方式)も考えられるだろう。

 2014年を振り返って一言で表すなら「業態変化」もしくは「チェンジ」というワードを挙げたい。ビジネスモデル、デバイス、流通形態などさまざまな分野で変化が起きたが、その背景には常に新しい体験を求めるユーザーと、絶え間ない技術革新がある。いずれにせよ、家庭用・スマホ・VRとさまざまなゲーム体験が融合し、さらなる進化を遂げる。2015年はそうした年になりそうだ。

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