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RADWIMPS・野田洋次郎:映画「トイレのピエタ」で初主演  音楽活動にも影響「体の全部の細胞を使い尽くしたい」

映画 芸能
映画「トイレのピエタ」に映画初出演で主演を務めたRADWIMPSの野田洋次郎さん

 4人組ロックバンド「RADWIMPS」のボーカルの野田洋次郎さんが俳優初挑戦にして主演を務めた映画「トイレのピエタ」(松永大司監督)が6日に公開された。野田さんが演じるのは、画家の夢を諦め、フリーター生活を送る主人公・園田宏。突然、がんで余命宣告をされた宏は、死を目前にする中で、杉咲花さん演じる女子高生の真衣と出会い、2人は反発しながらも引かれ合っていく……という物語だ。今作には、ほかにもリリー・フランキーさん、RADWIMPSのファンを公言する大竹しのぶさん、宮沢りえさんといった豪華キャストが名を連ねている。撮影終盤にはほとんど「宏と同化していた」という野田さんに、現場の撮影エピソードや役に懸ける思い、自ら作詞・作曲を手がけた映画主題歌「ピクニック」の制作秘話などについて聞いた。

 ――今作は、マンガ家の手塚治虫さんが残した病床日記を原案として松永監督が自ら脚本を書き下ろしたということですが、脚本の主人公(園田宏)像にすごく引かれたことが、今回の映画出演を決めた理由の一つだったそうですね。

 宏はたぶんしっかりした思考を持ってるんだけど、それを“うまく人生を生きること”には使わなくて、自分が生み出したいもの、やりたいことに対して生きたいように生きるというか。あんまり器用に生きすぎない、むやみに優しさを使わないっていうのはすごく共感を持てるし、僕もそういうふうに生きたいなっていうのは常に思っていて。僕も米国で生きてみたり、日本に帰って来て、学校とかいろんな世界にもまれてきて感じるのは、今の時代、人に気に入られることや優しくいることが結構、必要なマナーのように思われがちだけど、それはそんなに大事でもないのかなって。

 ――RADWIMPSでは死生観を歌った曲も多く、“生と死”をテーマにした映画の世界観にもつながるものがありますね。野田さんは“生と死”に対する意識は昔からあったんですか。

 高校時代は、やっぱり当たり前にある思春期の中で「死んじゃうんだな」っていうところから始まって絶望したり、「いつか死んじゃうなら、産まないでくれよ、親!」って思う時期もあったし。死と自分との距離感は常に変わっていって、そのときどきで思うことを曲に落とし込んだりはしてましたね。自分が作るもの(曲)に通じてるかは分からないですけど、どのせりふもしっくりきて「これは言えないです」っていうのがなかったので、そういう意味では通じる部分はあったのかもしれないです。

 ――主人公の宏は、余命宣告される中で、杉咲花さん演じる真衣に出会うわけですが、宏にとって真衣はどんな存在になっていったと思いますか。恋という感情もあったのでしょうか。

 宏は自分の世界があって、あんまり人にズカズカ入って来られたくないんだと思うけど、そこを平気で飛ばしてくるのが新鮮だったと思うし、どこかで似てる部分も彼女に感じていて、世界に対して付き合い方がへたで、不細工に生きてるっていうのがたぶんうれしかったんだと思いますね。自分だけじゃない感じというか。あと、死ぬって分かってから彼女と出会って「意外とこの世も悪くないじゃん」って思えちゃったから、すごく悔しいだろうなと思いました。もう終わるしかないっていう時間が。だから余計に、真衣がキラキラすればするほど苦しかったと思うし。恋という感情はあったと思いますね。でも、たぶん2人ともまともに恋なんかしたことがないから、最後までそれが恋なのかは分からない。見た人が「あれは恋なんじゃない?」っていうくらいなもので、本人同士はそういう意識はなかったんじゃないですかね。

 ――キスシーンもありましたが、恥ずかしいという気持ちはありませんでしたか。

 何も思わなかったですね。でも「ファンの人とか、大丈夫ですかね?」とかよく聞かれて、「あー確かに」って(笑い)。僕はあんまり自分に必要ないと思ったことは考えないくせがあるというか、結構、人から言われて気づくことがあるので、思考の使い方に偏りがあるのかもしれない。恥ずかしくはなかったですね。2人が引かれ合っていくのも自然だったし。

 ――母親役の大竹しのぶさんとはプライベートでも親交があるそうですね。

 いい友達というか。この前も(大竹さんの)舞台を見に行って、舞台終わりで一緒に飲んだり。映画に出ていただけるって聞いて、いきなり母親役ってなったのでビックリしたんですけど、やっぱりとんでもない女優さんなので、しのぶさんが前にいれば自然とそうなるんですよね。親に対してもイライラしてる役で、「だからさー」みたいな感じで話してると、俺も(実の)母親には別にそんなに礼儀がいい方じゃないから(笑い)、ホントに母親みたいに見えてきて……。

 ――映画の主題歌「ピクニック」はどんな思いで書いた楽曲なんでしょうか。

 撮影中にたまった気持ちと、宏と真衣……積み上がった全部をちゃんと残そうと思って。僕には音楽がある、音楽で残せるんだっていうのがホントにうれしかったし、だから“そのまんま”のものを、“ちゃんと”残したいっていう両方があって。焦りながらじっくりと、みたいな不思議な感覚で4、5日で書き上げました。重たいテーマが流れる映画だし、歌詞も決して開放的なものではないけれど、真衣と宏の2人の関係はどこまでもライトで、そこらへんでふと出会った2人がピクニックしてる感じというか。実は2人でいる時は、死や絶望からはすごい遠いところにいた気がして……。だからこの映画や曲は、最後は優しい入れ物に入れてあげたいというか、2人でいる時は純粋なただの2人でいられたから、それを象徴する言葉として、タイトルを「ピクニック」にしました。

 ――宏は最期にピエタ(聖母子像)の絵をトイレに描くわけですが、もし野田さんが余命宣告をされたとしたらどうしますか。

 たぶん宏と同じように死から逃げるし、もがくし、途中で自ら命を断ってみようと思うだろうし。でもきっと弱いからできないだろうし、延命を試みようとするし……。全てを通り過ぎて、その度に見えた景色を思いながら、音楽を作るのかなって。

 ――映画出演の経験によって、今後の音楽活動に影響はありそうですか?

 宏の人生を疑似体験できて、常に(曲を)作り続けなきゃいけない自分から一回リセットできて戻って来られたっていうのは、改めて俺、音楽家だなって思えたし、「やりたいことしかやりたくない」みたいな気持ちが今までも強かったけど、さらに大きくなって迷いがなくなったし。不可能だって言われるだろうけど、体の全部の細胞を使い尽くしたい、燃やし尽くしたいなっていう気持ちがすごくありますね。

 <プロフィル>

 1985年7月5日生まれ、東京都出身。2005年に4人組バンド、RADWIMPSのボーカルとしてシングル「25コ目の染色体」でメジャーデビュー。初主演映画「トイレのピエタ」の主題歌となるRADWIMPSのニューシングル「ピクニック」を6月10日にリリース。野田さんが初めてハマッたポップカルチャーは、幼稚園の頃に見た映画「ルパン三世 カリオストロの城」。「この作品は大好きすぎて、何十回も見ました。ずっと(ヒロインの)クラリスと結婚したかったですね。クラリスは(日本人の男性が抱く女性像として)なかなかハードル高いだろうなって思います。それぐらい、幼稚園児の俺でも結婚したいって思う何かがありました」と話した。

 (インタビュー・文・撮影/水白京)

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