北村一輝:映画「猫侍 南の島へ行く」を語る 「もっとネコのエピソードがあってもいい」

映画
「猫侍 南の島へ行く」について語った北村一輝さん

 侍とネコのコンビに癒やされる人気時代劇シリーズの第2弾「猫侍 南の島へ行く」(渡辺武監督)が5日に公開された。「猫侍」は“まだら鬼”の異名を持つコワモテの剣豪・斑目久太郎(北村一輝さん)が、白ネコの玉之丞(あなご)と交流しながら変わっていく姿を描いている。劇場版第2弾となる今作は、剣術指南役の誘いを受けた久太郎が玉之丞を連れ土佐を目指すも、謎の忍者に襲撃され南の島に流れ着くというストーリーが展開される。主演を務めた北村さんに、シリーズの魅力や原案や脚本を共同担当した経緯などについて話を聞いた。

 ◇何気ない会話が続編のきっかけ

 2014年に公開された映画「猫侍」がヒットを記録したが、その理由を北村さんは「ちょっと無茶な話や現実味がなく、時代考証などがおかしくても、そこを気にするのは(作る側の)僕らであり、見る人は楽しいものを見たいはず」と分析。「無茶苦茶なことをやっていますが、(作品の持つ)“ゆるさ”は素晴らしい」とヒットの要因を笑顔で語る。

 続編を望む声が高まる中、ニューヨークで毎年開催される日本映画祭「第8回JAPAN CUTS~ジャパン・カッツ!」で北村さんが、世界を魅了する業績を残した俳優に贈られる「CUT ABOVE Award for Excellence in Film」を受賞。「映画祭は(会場が)満席で、観客が椅子から転げ落ちるぐらいに笑っていて、外国でもこんなに受けるのだと」と驚いたといい、「侍とネコの組み合わせも面白いし、いろんな国に行けるのではというようなことはプロデューサーなどとしていた」と振り返る。続けて、「次やるとしたらこういう話がいいですねと話していました」と続編製作のきっかけを語る。

 今シリーズは、ネコの可愛らしさに目を奪われがちだが、ジャンルとして時代劇に分類される。時代劇が置かれた現状について北村さんは「時代劇が少なくなり、日常とは違う世界観がしっくりこないのでは」と分析し、「今の若い子たち、特に女性は見なくなっているのではと感じますが、『猫侍』はとても見やすいと思う」とアピールする。その理由を「時代劇でも子供からお年寄りまで入りやすく見やすいように、見る人の立場になり作っている」と説明し、「本格的な時代劇との橋渡しになるような作品でいいのかなと」と今作の役割に思いをはせる。そして「100%、見る人のために作ろう、家族で見られるような作品を作ろうということが、僕らの共通の目的だ」と力を込める。

 ◇作品の特性を出すため自ら脚本作りに挑む

 今作のクレジットには、北村さんは俳優としてだけではなく、原案・脚本としても名を連ねる。「当初の脚本は武士が戦う話になっていて、ネコがいなくても成立していました。だからこれでは足りないのでは、となった」と切り出し、「お客さんが見たいのはネコの可愛らしさや癒やし、ネコと信じ合う久太郎といった部分ということを話し合った」と説明。そして、ドラマ版「猫侍」の撮影に参加していた北村さんは、「すでに進行している部分を踏まえつつ、撮影後にプロデューサーと台本直しに明け暮れました」と打ち明ける。

 そういった状況での撮影だったが、「慌ただしい中の撮影で、出来上がったらやっぱり“スキ”があった」と今作“らしさ”が詰まったものが撮れたことを北村さんは喜ぶ。「苦労もありましたが、それはそれで楽しくて、もうアドベンチャーという感じでした」と笑顔を見せ、「型通りの映画作りではないかもしれないけれど、常に『これだったらお客さんは楽しんでくれるかどうか』を考えていた」という。そういった作業を重ねたことで原案・脚本にも名前が載ったのだが、北村さんは「元の(脚)本を生かし、みんなで話し合いながら作成したので(クレジットに)名前が載ってびっくりしちゃいました」とほほ笑む。

 ◇笑いとネコの癒やしを追求した撮影現場

 今作は、そこかしこに笑いがちりばめられ、北村さんの振り切った演技が見どころの一つだが、「加減が難しい」と演技について語る。「例えば、今回はやり過ぎたのでナレーションを普通の声でやったらどうかと考えたり、いやいや振り切った方がいいかなと思い直したり(笑い)」という。続けて、「思いきり振り切って『もう少しここをこうすれば』と言われるぐらいが、ちょうどいいのでは」と北村さんは感じ、「みんなに支えてもらい、みんなの意見をいただきながら、それをちゃんと吸収して、言われたら次に生かそうとした」と現場でのスタンスを明かす。その結果、「見ている人との距離が近付いても面白いかなとも思う」と感じたという。

 現場のいい空気感が伝わるエピソードとして、北村さんは「ドラマ版ではエキストラが“少数精鋭”で、(セットの)角を曲がったらまた同じ人がいるみたいなことも(笑い)」と切り出し、「そういった突っ込みどころもありますが、それも楽しみにしていただきたい」と笑顔で語る。

 今作のキャストとして欠かせない玉之丞を演じるネコのあなご。「あなごは可愛い」と満面の笑みを浮かべる北村さんは、「『猫侍』ではドラマも映画も可愛いネコが続々と出てくるのですが、あなごのようにできたネコはいない(笑い)。こういう子がいい」とべた褒めする。あなごの恋愛模様も描かれるが、自身の理想の女性像を聞くと、「ガチャガチャした人がだめ」と北村さんは言い、「にぎやかな人は友だちにはいいですし、2人でいるときに多少のにぎやかさはいいのですが、話を聞いてくれる人の方が好きかもしれない」と説明。そして、「あなごのように落ち着く感じがいい」と言って笑う。

 ネコとの撮影では「ハプニングはしょっちゅう」と北村さんは笑うも、「あなごはほぼNGがないぐらい優秀なネコです」と絶賛。しかし今回は、あなごの相手役に黒ネコのヤムヤム(ジャック)も出演し、ネコ同士の“相性”があったという。「実際はもう少し違うエンディングが描かれていましたが、相性の問題もあり、こうなりました」と北村さんは明かす。「逆にそういうハプニングもよかったですし、足りないものが多かった中でも、何を伝えたいか、何を言いたいかという本質の部分が伝わりやすくなっているのではと思う」と自信をのぞかせる。

 ◇注目ポイントはネコ

 着実にシリーズを重ねてきているが、「まだ2作目ですが、5年、10年とたち、ずっと楽しみにしてくれている人たちとともに成長できたらと思います」と北村さん。そして、「どうなふうに『猫侍』が成長していくのか分かりませんが、ゆるさと見る人のために作るということさえ変わらなければ、こういう作品があったら面白い」と語り、「ライフワークのように『猫侍』ができたら、それはそれで面白いなと思っています」と目を輝かせる。

 今作を「深く考えちゃいけない。映画は“スキ”だらけ」と表現し、「本当に笑っていただけて、映画を見終わったあとに幸せな気分になってくれたら、それだけでいい」と話す。注目ポイントには「僕的にはもっとネコのエピソードがあってもと思ったりするぐらい、注目ポイントはやっぱりネコです」と言い切り、「家族そろってぜひ、見ていただきたい」とアピールする。

 さらにシリーズ未見の人に向けて、「気楽に見られ、見たあとにきっと癒やしやリラックス効果もありますので、そういう時間を持った方があなたの人生も癒やされますよ」と魅力を解説し、「ちょっとした時間ですが、映画館に行って、お菓子でも食べながらゆっくりリラックスして楽な気持ちで見てください」とメッセージを送る。そして、「きっと今見なくても、いつか見ることになるぐらいに、この映画がどんどん大きくなるかもしれませんから、今見ておいた方が得だと思います」とちゃめっ気たっぷりにアピールした。映画はシネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開中。

 <プロフィル>

 1969年7月17日生まれ、大阪府出身。多彩な役柄を演じ分ける演技派俳優。最近の出演作に、映画「テルマエ・ロマエ」シリーズ(2012、14年)、「日本の悲劇」(13年)、「寄生獣」(14、15年)、ドラマ「ホワイト・ラボ~警視庁特別科学捜査班~」(TBS系)、「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(フジテレビ系)、「ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~」(TBS系)などがある。10月からは、自身5年ぶりとなる主演舞台「大逆走」が上演予定。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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