三木一馬:日本一ラノベを売った編集者が語るヒットの法則

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累計6000万部以上を売り上げた“伝説の編集者”で電撃文庫編集長の三木一馬さん

 中高生に人気の挿絵付き小説「ライトノベル」で、「とある魔術の禁書目録(インデックス)」(禁書目録)や「ソードアート・オンライン」「魔法科高校の劣等生」などをヒットさせ、累計で6000万部以上を売り上げた“伝説の編集者”がいる。電撃文庫の編集長として活躍する三木一馬さんだ。理工系学部卒という異色な経歴を持つカリスマ編集者に売れるコンテンツ作りの秘密について聞いた。

 ◇日本一のラノベ編集者

 三木さんは徳島県出身で、2000年に上智大理工学部を卒業後、旧メディアワークス(現KADOKAWA)に入社。01年に電撃文庫編集部に配属されると「灼眼のシャナ」など数多くの作品を担当し、次々とヒットさせた。

 「禁書目録」シリーズと「ソードアート・オンライン」はそれぞれ1500万部以上、「灼眼のシャナ」は860万部と、そうそうたる発行部数を誇る。これまで売った6000万部という数は、もちろん日本一だ。今は電撃文庫の編集長として活躍しているが、実績抜群の三木さんの担当になってもらおうと、作家からの接触があったり、三木さんに憧れて入社を志望する学生もいる。

 三木さんの日常は多忙で、通勤電車の終電間際まで働き、休みも原稿を読みあさる日々。仕事に熱中しすぎるあまり、大学時代の友人から飲みの誘いもなくなった。それでも「『楽しすぎる』の一言で本当に恵まれている。ダメなら再挑戦すればいいし、エネルギーしか湧いてこない。ただ周囲から『その心境が理解できない』と言われますね」と笑う。

 ◇作品への熱量に注目

 次々とヒットを生み出す理由について「失敗してもへこたれないこと。1割のヒット確率でも10回出せば1回ヒットが出るという前向きな気持ちが大事」と話す。また担当作品で注目しているのは、文章のうまさ、整合性よりも、まず何より「私はこれが好き」という作品への熱量の有無を見る。

 多くの作家を担当した中で印象に残っているのは「禁書目録」の作者・鎌池和馬さんだ。鎌池さんの最初の応募作について「正直、物語は破綻していましたが、作家の好きなことが文章から熱く感じられ、読者をひっぱる力があった。ただ人に読ませたことがないだけで、欠点を直せば良くなると思いましたから」と話す。鎌池さんをはじめ、「魔法科高校の劣等生」の佐島勤さん、「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の入間人間さん、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(俺の妹)の伏見つかささん、「撲殺天使ドクロちゃん」のおかゆまさきさん。いずれも新人賞「電撃大賞」の落選組から三木さんが見いだし、「電撃文庫」の人気作家に成長した才能だ。

 そんな三木さんが編集者として大事にしているのは、前向きな加点主義と、もう一つは不屈の精神だ。「作家の提案に、編集者が簡単に『できません』と言うのはよくない行為。作家にとって、頼れるのは編集者しかいないのだから。まずやってみること」と話す。今回、自身を振り返ったビジネス本「面白ければなんでもあり」(10日発売)を出す企画に乗ったのも、「私も最初は落ちこぼれ社員だったが、働き方、考え方を変えて、結果を出せた。ならばみんなもやろうよ……という気持ちを伝えたかった」と振り返る。

 ◇目指すはハリウッド展開

 三木さんの担当した作品は、多くのアニメ業界関係者からマークされ、実際に数多くアニメ化されてきたが、今は担当した作品のハリウッド展開を目指すと公言している。「冗談ではないです。アニメ化でもそうですが、規模が大きくなると、すごい人たちに会えて刺激になる。今までも“冷やかし”のオファーはあるが、本気のオファーが欲しい」と語る。

 ラノベ作品の実写化はファンから批判され、懐疑的な人も少なくないが「ミランダ・カーが(『俺の妹』ヒロインの)高坂桐乃役で大歓迎ですよ」と言い切る。ただ世界を意識しながらも、作品作りで妥協する気はない。「『禁書目録』は宗教戦争の話になりますが、配慮して内容を変えようとは思わない。日本の公序良俗に反しない限り、ギリギリまでやる」と言い切る。日本のマンガ、アニメなどのサブカルチャーは世界で評価されているが、熱血編集者もその一翼を担っているのだ。

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