注目映画紹介:「ピンクとグレー」 熱演と驚く仕掛けで青春の光と陰を映し出す

映画
「ピンクとグレー」のワンシーン(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会

 人気グループ「NEWS」の加藤シゲアキさんの小説デビュー作を映画化した「ピンクとグレー」(行定勲監督)が9日から公開される。芸能界を舞台にした青春エンターテインメント作で、「世界の中心で、愛をさけぶ」(04年)の行定監督と脚本の蓬莱竜太さんが原作を大胆にアレンジした。ミステリーをひもとくような展開の中、青春の光と陰を映し出す。

 人気俳優の白木蓮吾(中島裕翔さん)が6通の遺書を用意して死んだ。第一発見者は、白木の親友の河田大貴(菅田将暉さん)だった。蓮吾の遺書に導かれて彼の人生をつづった本を発表した大貴は、注目を浴びる立場に躍り出る。蓮吾と大貴は同じ団地に住む幼なじみ。高校では互いにバンドに熱中し、卒業後、街角で読者モデルとしてスカウトされて芸能界に足を踏み入れた。同じく幼なじみのサリー(夏帆さん)に励まされながら、共に役者になる夢を追いかけていたが、スポットが当たったのは蓮吾だけだった。大貴は親友の死によって名声がもたらされたが、次第に自分を見失っていく……という展開。

 若いときの輝きだけでなく、焦りや嫉妬が生々しく刻み込まれている。それが、芸能界という特殊な舞台で語られるからなおさらだ。スター俳優の謎めいた死から始まり、発見者である大貴の視点で回想する過去は、女性をはさんだ三角関係の中、夢を追いかけるキラキラとした希望と、同じ場所にいたはずの親友だけがスターになっていく、いいようのない悔しさの、青春のポジティブとネガティブの両面を照らし出す。行定監督らしい“キュン”とする映像も盛りだくさん。その後、観客の視点を変えさせる「あっ!」と驚くような手法でこの物語が続くとき、「物や人の見え方はなんてあやふやなんだ」と体感する。蓮吾とは、一体どんな人間だったのか。親友に嫉妬をした大貴は、一体どんな人間になりたかったのか。自分のことさえ分からない人間に、他人のことなど分かるはずもない。そんな現実がクールに浮き彫りにされる。

 スターという幻影が中心にあり、それが鏡のように反射し、周りで踊らされている人間たちの姿が、若い俳優たちの熱演によって痛々しく伝わってくる。「そこのみにて光輝く」(2014年)の菅田さんの迫力ある芝居に引き込まる。「Hey! Say! JUMP」の中島さんは映画初出演で主演作となった。9日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。今作で、高校時代のジャージーがダサめなのも気に入りました。

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