ガラスの花と壊す世界:アイデア公募「赤字覚悟で勝負」 異色の劇場版アニメ制作の狙い

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劇場版アニメ「ガラスの花と壊す世界」のビジュアル(C)Project D.backup

 アニメ化は、人気マンガやライトノベル(ラノベ)を原作にするか、プロが発案したオリジナル企画を基にするのが常道だが、そんな中、元ネタの原案を公募して制作した異色のオリジナルアニメ「ガラスの花と壊す世界」が9日、公開された。「赤字覚悟で勝負した」という同作の狙いについて、ポニーキャニオンの石原良一プロデューサーに話を聞いた。

 ◇独創的な世界観のアニメ

 「ガラスの花と壊す世界」は、人類が滅んだ後の世界に存在する無重力の空間「知識の箱」を舞台に、「知識の箱」を侵食するウイルスと戦うデュアルとドロシーが、謎の少女・リモと出会う……という物語だ。見た目は美少女のデュアルとドロシーは、実はウイルスを駆除する二つのアンチウイルスソフトという設定で、いわゆる擬人化したキャラクターだ。そして2人は、プログラムらしく、忠実にウイルス駆除の作業をしていた。ところがリモと出会い、3人で共同生活を続けるうちに、仲間意識が生まれていく。そして3人の物語と並行して、地球の環境を維持するプログラムを作り出すある一家の物語も紡がれていく……という独創的な世界観とストーリーになっている。

 原案は、2013年に開催されたポニーキャニオン主催の「アニメ化大賞」で、大賞に選ばれた創作ユニット「Physics Point(フィジクスポイント)」の作品「D.backup(ディー・ドット・バックアップ)」だ。監督はアニメ「新世界より」の石浜真史さん、脚本は「AIR」「CLANNAD」の志茂文彦さん、制作は「ソードアート・オンライン」などのA-1 Picturesがそれぞれ担当した。原作ではなくて原案になった理由について、石原さんは「それぞれのプロの目線で見せるアニメを作るため、原案を再構成した」と話す。

 ◇ニッポン放送・吉田アナが提案

 原案を公募する「アニメ化大賞」のきっかけは、2013年冬に、ポニーキャニオンと、アニメやマンガに精通しているニッポン放送の吉田尚記アナウンサーの間で、アニメの元ネタを公募する企画が持ち上がったことだ。吉田さんは「ライトノベルの賞などが飽和している中で、『応募者側から魅力がある』『ポニーキャニオンという会社が責任を取れるプライズ(賞)は何か?』という点から考え付いた」と明かしている。

 「アニメ化大賞」は、未発表作品であれば応募資格やジャンルは不問、2013年6月3日からの3カ月間で約3000の応募があった。A4用紙1枚の走り書きから、100枚の力作までさまざまで、最終選考には3作品が残った。大賞に選ばれた「D.backup」は、他の作品にはない世界観で、アニメ以外での表現が難しく、世界観の拡張性の高さも評価された。2013年内にはシナリオを決めてスタート。制作の当初からイメージイラストを使い、スタッフ間で世界観をうまく共有できたこともあり、制作は順調に進行。石浜さんの手で、作中でカギを握るオペレーティングシステム「ヴァイオス」や、環境管理プログラム「マザー」などの設定を盛り込んだ。石原さんは「物語がより複雑になり、物語に深みを増した」と明かす。

 ◇計算できる作品ばかりではダメ

 アニメ化するにあたり、原作を人気マンガやラノベにしたり、過去の人気作のリメーク、人気アニメの続編が好まれるのは、ある程度の人気を担保できるからだ。現在、当たり外れのハッキリするオリジナル作品で、しかもアニメの原案を公募するのは、新たな試みだけにリスクも大きい。石原さんは「裏打ちするデータもなく、そういう意味ではかなり無謀な挑戦で、正直言えば赤字覚悟です。ただ計算できる作品ばかりではダメで、アニメ市場がシュリンク(縮小)します。リスクを取ることで新しい視点のアニメが生まれ、産業の活性化になる。それを期待しています」と話す。

 一方で、作品について石原さんは「アニメには適しているし、分からないからこそ面白みがありますから、まずはやってみたいと思った。石浜さんは演出力の高い監督ですし、志茂さんは、スタジオジブリで制作進行という経歴で、ライトノベルの執筆経験もあるから安心して任せられた。何度でも見てもらえる作品になったと思います。作品を見た人の感情を動かせれば」と話し、「成功させて新しい流れを起こすとともに、第2回の『アニメ化大賞』を実施できれば」と意気込んでいる。

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