注目映画紹介:「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」 舞台は19世紀末のロンドン 原作へのオマージュもたっぷり

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「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」のワンシーン (C)2015 Hartswood Films Ltd.A Hartswood Films production for BBC Wales co-produced by Masterpiece.Distributed by BBC Worldwide Ltd.

 英俳優のベネディクト・カンバーバッチさんとマーティン・フリーマンさんが出演するBBC製作の人気ドラマシリーズの特別編「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」が19日、劇場公開された。物語の舞台を現代から、本来の設定である19世紀末のロンドンに移し、カンバーバッチさん扮(ふん)するシャーロック・ホームズとフリーマンさんが演じるジョン・ワトソンの名コンビが、ある不可思議な事件に挑む。

 「SHERLOCK/シャーロック」は、アーサー・コナン・ドイルによる「シャーロック・ホームズ」シリーズが原作。ドラマは、世界中にファンを持つ名探偵ホームズを“現代によみがえらせたら?”がテーマで、21世紀を舞台に自称「コンサルタント探偵」のホームズ(カンバーバッチさん)と、ホームズの同居人のワトソン(フリーマンさん)が、スマートフォンやパソコン、インターネットなど駆使して難事件を解決していく姿を描いた。これまで原作ストーリーを下地にした九つのエピソードが作られ、英アカデミー賞を受賞するなど高い評価を得ている。

 「忌まわしき花嫁」は、ホームズが過去に関わったものの、原作では書かれていない「語られざる事件」の一つ“内反足のリコレッティと忌まわしい妻”がモチーフとなっている。1895年の冬のロンドン、古い花嫁衣装姿のある女性がバルコニーから銃を乱射する事件を起こす。女性はその場で自らの命を絶つも数時間後、花嫁衣装のまま夫の前に姿を現すと、夫を射殺して逃走。ホームズとワトソンはスコットランド・ヤードのレストレード警部(ルパート・グレイブスさん)から捜査の協力を依頼を受け、遺体安置所に向かうも謎を解明することはできなかった。数日後、今度は夫が殺害予告を受けているという貴婦人がホームズとワトソンの元を訪ね、朝もやの中、自宅の庭で花嫁衣装の“幽霊”を見たと告白。ホームズとワトソンはこの“忌まわしき花嫁”の正体を突き止めようとするが……というストーリー。

 脚本は、スティーブン・モファットさんとマーク・ゲイティスさんが共同で執筆。ホームズとワトソンが繰り広げる会話劇は相変わらず機知に富み、かつ原作へのオマージュがたっぷりで、ワトソンがホームズに指示して鹿撃ち帽をわざわざかぶらせる皮肉めいたシーンもある。ロジカルな謎解きよりも、時代背景にスポットを当てるなど、設定の変更が作品に与えた影響は決して小さくないが、この会話劇がテンポよく物語の深層へと導いてくれ、最後までダレることなく楽しむことができた。惜しむらくは、薬物依存が引き起こしたバッドトリップで現代と19世紀末のロンドンをリンクさせてしまった点。ホームズの宿敵モリアーティ(アンドリュー・スコットさん)の生死を含めて、それが一つの裏テーマだったとしても、この部分は少々蛇足だったような気がする。それでも髪をオールバックになでつけた傲慢で神経質、かつドSなホームズと、ホームズに振り回されているようで十分に皮肉屋な七三分けのワトソンのキャラクターは魅力的で、馬車が闊歩(かっぽ)し、夜になればガス灯がともるゴシックなロンドンの街並みにもなじんでいたし、無理と分かりつつも、ビクトリア時代版での続編を見たくなってしまった。

 同特別編にはドラマシリーズ同様メアリー・ワトソン役でアマンダ・アビントンさん、モリー・フーパー役でルイーズ・ブリーリーさん、ハドソン夫人役でユナ・スタッブスさんも出演し、脚本のゲイティスさん演じる“巨漢”のマイクロフト・ホームズも登場する。19日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(山岸睦郎/MANTAN) 

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