アニメ業界:アニメジャパンに見る試行錯誤 パッケージビジネス崩壊で“生みの苦しみ”続く

アニメ
女性の来場者が目に付いたアニメ展示会「アニメジャパン2016」

 国内最大級のアニメ展示会「AnimeJapan(アニメジャパン)2016」が25~27日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれ、174社が出展し13万5000人が来場するなど、いずれも過去最高となった。大ヒットしたアニメ「おそ松さん」の効果もあり女性ファンも取り込んでいるが、アニメ業界の稼ぎ頭だったパッケージ販売ビジネスが崩壊しつつあることを受けて、試行錯誤をしているものの、各社とも“生みの苦しみ”が続いている。

 ◇パッケージビジネス崩壊で危機感

 アニメジャパンの最終日となる27日、アニプレックスが、DVDやブルーレイ・ディスク(BD)の購入者を対象に、アニメをスマートフォンやタブレットで無料視聴できるサービス「Viewcast(ビューキャスト)」を始めると発表した。企画したのは、同社の名物宣伝プロデューサーとして知られ、アニメ「アイドルマスター」や「Fate(フェイト)」シリーズを成功させた高橋祐馬さんで、会見の様子を植田益朗社長がわざわざ見守るという力の入れようだった。同社はこれまで「魔法少女まどか☆マギカ」や「物語」シリーズなどの大ヒットアニメを次々と生み出す業界の雄だが、そのアニプレックスでさえ「(アニメのパッケージビジネス市場が)厳しいと嘆いていても状況は好転しない」と危機感を隠さない。

 他の大手アニメ関連会社社員も「一言でいえばパッケージのビジネスモデルが崩壊し、今は生みの苦しみだ」と話す。海外展開、アイテム課金狙いのスマートフォンゲームの配信、ネット有料配信、入場料が取れる劇場公開に取り組んでいるが、いずれも決め手に欠け、パッケージモデルに取って代わるまでには至ってないのが現状だ。

 ◇物販に注力 利益確保が至上命題

 そんな中、アニメジャパンで各社が力を入れているのが物販だ。別の関係者は「以前は宣伝ありきだったが、今は物販にシフトしている。中小であればその傾向はさらに強い」と指摘する。物販を考えずにすむのは、一部の“勝ち組”だけ。パッケージビジネスモデルの崩壊で、以前は、PVの上映や無料冊子の配布など宣伝目的だったイベントへの出展も、その場でなるべく“売れるもの”を出して、少しでも収益をアップさせたいというのは、各社の偽らざる本音だ。

 アニメジャパンを訪れる熱心なファンのお目当ては、お気に入りの声優たちが登場するステージイベントと、お気に入り作品のグッズを手に入れられる物販になっていた。これは、見本市の要素が強く、発売前のゲームの試遊が盛況な「東京ゲームショウ」などよりは、物販が収益の大きなウェートを占めるアイドルやアーティストのライブやフェスの構造に似ている。

 ◇女性来場者増加 より入念なプランが必要に

 そして、今年のアニメジャパンで、各担当者が最初に口をそろえたのが、女性来場者の増加だ。「おそ松さん」や「弱虫ペダル」など、女性の支持を得たヒット作が立て続けに生まれたことが背景にあるという。特に近年は、「おそ松さん」など女性を狙ったつもりでないにもかかわらず、結果として女性の支持を得たものも出てきており、結果的に女性人気の作品が増えている。男性向けの作品でも、女性も意識した作品作りをするとともに、収益の大きな柱へと成長しつつあるグッズ展開でも、より大胆かつ入念なプランが要求されるようになってきたのではないか。

 アニメの収益強化について、スマホゲーム化などさまざまな取り組みも決め手に欠き、八方塞がりのように思えるが、必ずしもそうとは限らない。そもそも、パッケージ販売のビジネスモデルの確立も、かつては「無料で見たテレビアニメを、パッケージにしても売れるはずがない」と思われていたからだ。ところが実際にやってみると売れることが分かり、それが2000年代に深夜アニメが増えたことにつながっている。各社ともさまざまな方法で収益化を図っているが、そのいずれか、もしくは意外な組み合わせが“金脈”というのもありえる話。もちろんビジネスから撤退すれば、“金脈”は掘り当てられないわけで、各社とも“生みの苦しみ”はしばらく続きそうだ。

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