注目映画紹介:「逆光の頃」高杉真宙&葵わかな初共演 青春時代を京都の景色と共に情感たっぷりに描く

映画「逆光の頃」のワンシーン (C)タナカカツキ/講談社・2017 東映ビデオ/マイケルギオン
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映画「逆光の頃」のワンシーン (C)タナカカツキ/講談社・2017 東映ビデオ/マイケルギオン

 俳優の高杉真宙さんの主演映画「逆光の頃」(小林啓一監督)が8日から新宿シネマカリテ(東京都新宿区)ほかで公開される。ミニフィギュア「コップのフチ子」の原案でも知られるタナカカツキさんが、1988~89年にマンガ誌「コミックモーニング」「モーニングOPEN」(共に講談社)で連載したマンガが原作。京都を舞台に、どこにでもいる平凡な高校生が、思春期ならではの漠然とした不安を感じながらも、さまざまな経験をして成長していく姿を描く。映画は原作の3話にオリジナルエピソードを交えて構成されている。

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 京都で生まれ育った高校2年生の赤田孝豊(高杉さん)は、バンド活動のため学校を休みがちな同じクラスの公平(清水尋也さん)との友情や、同級生の不良・小島(金子大地さん)とのケンカ、幼なじみのみこと(葵わかなさん)への恋などを経験しながら高校生活を送る……というストーリー。佐津川愛美さん、桃月庵白酒さんらも出演している。

 独特の世界観を持つ原作を再現するため、京都の街並みや自然、寺社といった風景にアニメを盛り込むなど個性的な演出を加えた。表現が独創的で驚かされる。17歳の繊細に揺れ動く心や、きらめくような表情の輝きを映し出しつつも、単純な青春映画という枠には収まり切らない奥深さや余韻も感じられる。どことなく陰のあるたたずまいで立ちすくむ孝豊の姿や、夜の誰もいない校舎での孝豊とみことの“秘密”シーンは青春ならではの一面を切り取っていて、甘酸っぱい気持ちにさせられる。せりふが少なめで静かに映像の“余白”を楽しむのも一興だ。(遠藤政樹/フリーライター)

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