3年A組:必死になれない時代の“伝わるドラマ” ラストは「賛否両論」となるか?

連続ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」の一場面=日本テレビ提供
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連続ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」の一場面=日本テレビ提供

 俳優の菅田将暉さん主演の連続ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系、日曜午後10時半)。3年A組の担任教師・柊一颯が、10日後に卒業を控えた生徒を人質にとって学校に立てこもるというショッキングなスタートから、一颯の魂を込めた授業が毎話話題となっている。ドラマを手がける福井雄太プロデューサーは「“伝わるドラマ”にしたい」といい、「何かを伝える時には必死にならなければいけない。必死になれない時代に、必死になれる状況を作り出すために『必ず死ぬ』というシチュエーションを表現した」と語る。制作のこだわりやドラマにかける思いを聞いた。

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 ◇命を燃やして伝える 「必ず死ぬ」状況に

 福井プロデューサーと菅田さんとの出会いは約6年前。当時から「いつか仕事をしよう」と約束をしていた。6年越しに約束が実現するという時、福井さんは「とにかく菅田将暉をがっかりさせたくない」と考えたという。企画段階で菅田さんから「教師をやりたい」と申し出があったといい、「その時点で、普通の学園ものではないんですよね。菅田氏(福井プロデューサーはそう呼んでいるという)と僕で共有したことは、お互いの思っていることをストレートに表現することから逃げないということ。菅田氏とは『今何を伝えたいのか』を本当に何時間も話したんです」と明かす。

 その話し合いの後、福井プロデューサーは脚本を手がける武藤将吾さんと物語を練っていったという。武藤さんは、ドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」(2007年)、「家族ゲーム」(13年)、特撮ドラマ「仮面ライダービルド」などを手がけている。福井プロデューサーは「僕は『怪盗 山猫』というドラマを一緒にやったのですが、今回の作品も含めて本当に天才なんです」と話す。

 福井プロデューサーと菅田さん、そして武藤さんが考えた「今伝えたいこと」。それをドラマで表現する上で“必死”というキーワードがあったという。

 「やっぱり何かを伝える時って必死でないといけない。必死になれない時代に、必死になれる状況をどうやって作ったらいいんだろうとなった時に『必死』という文字をそのまま表現する。つまり『必ず死ぬ』という状況を表現するということを武藤さんと話をしました」

 ドラマでは、校内のいたるところに爆弾が仕掛けられており、毎話一颯の課題には生徒の命がかけられてきた。第5話(3日放送)では、一颯が「不治の病」に侵されていることも明かされた。福井プロデューサーは一颯が「命を燃やしながら伝えている」と語る。

 ◇作品を試してほしい ラストは「賛否両論になる」

 福井プロデューサーは、企画段階で武藤さんと「視聴者に『何を見せられたんだろう』と思われるようなドラマを作ろうと言っていました」と振り返り、「作品を試すような見方をしてほしい」と話す。

 ドラマは第6話(10日放送)から第2部に突入。A組の生徒だった「景山澪奈の死の真相」という軸はありながらも黒幕が次々と登場し、先の読めない展開となっている。福井プロデューサーは、今後のストーリーについて「僕と武藤さんしか知らないことがたくさんある」という。

 「柊一颯という人物には一つの芯があって、これまで生徒に対していろいろなことをやってきましたが、一番大きな謎は彼がなぜこんなことをしているのか。今後、それが思わぬ方向にどんどん進んでいくし、『犯人は誰だ』という話もいい意味で超越していく。何が真実なのかを見ていただいている方たちにも考えていただきながら、作品を試すような見方をしていただけたらうれしい」

 ドラマは「学園ミステリー」と銘打っているが、「推理モノを作っているわけではない」といい、「もし、本当に推理モノとして楽しんでいただくなら、武藤さんももっとたくさんの謎を入れるだろうと思うし、もっと読めなくする努力をする」と語る。続けて「最後の最後に伝えようとしていることがある。10話見終わった時に『こういうドラマだったんだ』と分かるように作っている。あえて言いますが、最後は賛否両論になるかもしれません。だからこそ、最後まで見て一緒に『考えて』判断してほしい」と力を込める。

 「このドラマに意味のないシーンなんてないですから」と話す福井プロデューサー。今後、一体どんな展開が待ち受けているのか、伝えたいモノとはなんなのか、注目だ。

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