宇宙戦艦ヤマト2202:ヤマトのデザイン秘話 今までにない表現を

「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の第7章「新星篇」の一場面(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会
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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の第7章「新星篇」の一場面(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

 人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の最新作「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の最終章となる第7章「新星篇」が3月1日に上映される。何度もリメークされてきた人気作で、その度にヤマトのデザインは更新されてきた。「2202」では「2219」から引き続き玉盛順一朗さんがメカニカルデザインを手がけた。玉盛さんに、「2202」ならではのヤマトのデザイン、ヤマトのデザインの魅力について聞いた。

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 ◇現代にふさわしいデザインに CGならではの表現も

 「宇宙戦艦ヤマト2202」は、2012~14年に劇場上映、テレビ放送された「宇宙戦艦ヤマト2199」の続編で、1978年に公開された「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」がモチーフ。小説「亡国のイージス」「機動戦士ガンダムUC」の福井晴敏さんがシリーズ構成と脚本を手がけている。全7章。

 玉盛さんは同人誌でヤマトのイラストを描いていたことがあるなど同シリーズのファンだったこともあり、10年ほど前にオファーがあった時は「待っていました!という気持ちでしたね」と喜びも大きかったという。初代「宇宙戦艦ヤマト」の放送が始まったのは74年。40年以上がたったこともあり、玉盛さんは「現代にふさわしいものという視点で捉え直す」とデザインを考えた。

 「ヤマトは元のデザインがすばらしい。それを生かす形を意識していますね。時代に合わせて作り直す。同じようにはできない。ヤマトの後、ガンダム、マクロスと時代を経て、アニメ表現の技術も進化しています。今までにない表現を目指しました。例えば、CGでは、人の手で描けない、船体表面の緩やかなカーブを描くことができる。光の反射、影が入るなどを最大限に生かせるデザインを考えたところもあります。CGはうそをつけませんし、細かくディテールを作ることもできますが、逆に細かく作らないようにしているんですよ。ネジまで見せるようにすると違和感があるかもしれませんし、必要なものを入れ、不必要なものを描かないようにしました」

 ◇銀河のデザイン秘話 クラシカルな雰囲気も

 「2202」の第6章「回生篇」では、ヤマト級・銀河が新たに登場したことも話題になった。観測ドームというドーム状の窓が特徴で、ヤマトのようでヤマトではない形状が印象的だ。

 「(副監督の)小林誠さんがデザインをまとめ、私は整理する形で関わりました。ヤマトの姉妹艦としてふさわしい船で、『2202』の世界観に合うようなデザイン。ヤマトの量産型ではないし、戦うのではなく実験艦です。大和など多くの戦艦は19世紀や20世紀初頭に設計されたもの。産業革命の後でネオゴシックの時代、エッフェル塔のようなクラシカルな雰囲気を取り入れることができるのはないのか?と考え、観測ドームのテイストを取り入れ、チャレンジしてみました」

 ヤマトは大人気作ということもあり、リメーク、リファインされる度にファンからさまざまな意見が出る。だからこそ、デザインが難しい。

 「ヤマトは旧作もいろいろな形状があります。最初と『さらば』『2』でも形が違います。プラモデルで楽しんでいた人もいる。ファンによってそれぞれの理想の形が違う。これだ!と言い切れないんですね」

 ヤマトの魅力を「デザイン、作品に対する姿勢にチャレンジ精神があり、これまでに見たことがない映像を作ろうとするところ。好きですね」と話す玉盛さん。「ファンの方がたくさんいることを意識しています。ファンの気持ちを客観的に考えるようにしています」と愛を込めてデザインしているようだ。「2202」は愛が大きなテーマになっているが、玉盛さんを含めたスタッフの愛があるからこそ、ファンを魅了しているのだろう。

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