草刈正雄:「真田丸」から「なつぞら」へ“転生”語る 泰樹おんじは昌幸の「生まれ変わり」

NHK連続テレビ小説「なつぞら」で柴田泰樹を演じている草刈正雄さん (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「なつぞら」で柴田泰樹を演じている草刈正雄さん (C)NHK

 広瀬すずさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「なつぞら」に、十勝のガンコじいさんこと柴田泰樹役で出演している草刈正雄さんが話題だ。1日のドラマスタートからこれまで、酸いも甘いも知るベテランとして随所に存在感を発揮し、物語を大いに牽引(けんいん)。ヒロイン・なつの少女時代を演じる粟野咲莉ちゃんとのコンビは、名作アニメ「アルプスの少女ハイジ」を彷彿(ほうふつ)させ、「泰樹おんじ」の愛称で早くも人気に。その活躍ぶりやたたずまいから2016年放送の大河ドラマ「真田丸」での当たり役・真田昌幸を重ねるファンも多いという。泰樹について「昌幸の生まれ変わりなんじゃないかって思った」「昌幸のつもりでやっています」と明かす草刈さんが、今回の“転生”を語った。

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 ◇名演&名言に視聴者の涙腺崩壊 大森寿美男の脚本「せりふがいちいちいい」

 泰樹は1902(明治35)年、18歳の時に一人で十勝に入植。荒れ地を切り開き、稲作を試すも根付かず、酪農を始める。妻が病死した後、男手一つで、富士子(松嶋菜々子さん)を育てる。偏屈で頑固な性格だが、深い愛を持った大樹(たいじゅ)のような男。なつに人生を生き抜く術(すべ)を教え込む……というキャラクターだ。

 開拓1世として、その言葉一つ一つには重みがあり、それが酪農についてであろうと、どこか人生訓的な趣も。戦争で両親を失い、兄妹と別れ、一人柴田家に引き取られたなつが、無理して笑っていたことをいち早く見抜いていたのも、この泰樹だ。

 4日放送の第4回では、なつを帯広に連れ出し、なつの搾った牛乳で作られたアイスクリームを一緒に食べる場面が秀逸。慈愛に満ちた視線をなつに向けると、「お前はこの数日、本当によく働いた。そのアイスクリームはお前の力で得た物だ。お前なら大丈夫だ。だからもう、無理に笑うことはない。謝ることもない。お前は堂々としてろ。堂々とここで生きろ」と語りかけ、視聴者の涙腺を崩壊させた。

 10日放送の第9回でも、「どうして、私には家族がいないの!」と涙を流すなつを、「もっと怒れ、怒ればいい。お前には、もうそばには家族はおらん。だが、わしらがおる」とぐっと受け止め、涙を誘った。「大事な役をいただきました」と感謝する草刈さんは、大森寿美男さんの手掛ける脚本を「せりふがいちいちいいんですよ」と絶賛。「僕も年を取って泣き虫になったから、胸にきて、すぐに涙ぐんじゃいます。だからこそ、余計なことを考えずに素直に表現していきたいです」と話していた。

 ◇「真田丸」から「なつぞら」へ 作品を超えた愛情に「役者冥利に尽きる」

 朝ドラ出演は、1995年度の「走らんか!」、2000年度の「私の青空」に続き、「なつぞら」が3回目。「じじいの役が初めてなので、こういう年になったのかと感じながら、究極の頑固じじいを思いっ切り楽しもうと思った」という。

 「真田丸」の昌幸っぽさを感じさせることについては、木村隆文さんら演出家やスタッフの半分ぐらいが「真田丸」で一緒だったことに加え、「大森さんの脚本を読んだ時に、真田の雰囲気があったこと」を挙げ、「泰樹は昌幸の生まれ変わりなんじゃないかって思って、小躍りして喜びました。真田で言っていたせりふも時々入っていますよ」とにやり。「僕は昌幸のつもりでやっています」と力を込めると、「脚本を読むと、作品を超えた昌幸に対する愛情が感じられてうれしいです。役者冥利に尽きますね」と“転生”を喜んでいた。

 撮影に入る前には「十勝開拓者・依田勉三さんのドキュメンタリー番組を見た」という草刈さん。そこで学んだ「とてつもない頑張りと諦めない精神」は劇中で泰樹からなつへと受け継がれていく。「なつが上京して漫画映画に関わるのも開拓精神ですよね。泰樹から開拓魂を受け継いでいるので『諦めるなよ』という思いを込めて演じています」と明かす。

 泰樹と自身を比べて「僕はイジイジしてどうしようもない真逆の人間」としながらも、「泰樹はスケールが大きくて憧れるし、そういう自分とかけ離れた役を演じることは面白いです。そういえば、昌幸も豪快でしたね」と笑ってみせた草刈さんの活躍ぶりには、今後も目が離せなくなりそうだ。 

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