杉咲花:宮藤官九郎脚本「楽しみであり怖い」 「いだてん」シマ役で“初めての気持ち”に

NHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演している杉咲花さん (C)NHK
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NHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演している杉咲花さん (C)NHK

 宮藤官九郎さんが脚本を手がけるNHKの大河ドラマいだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で、三島家の元女中・シマを演じている杉咲花さん。物語序盤、その存在はベールに包まれていたが、中村勘九郎さん演じる金栗四三がストックホルムオリンピックから帰国し、再出発を切る新章では「女子スポーツ」というキーワード上、非常に重要な役割を担う存在と明らかになる。そんな大役を担う杉咲さんが、大河ドラマ出演への思いや、宮藤官九郎脚本の魅力などについて語った。

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 ◇「あまちゃん」がすごく好きだった 「いだてん」は脚本が面白いからこそ…

 金栗や三島弥彦(生田斗真さん)がオリンピックを目指す姿を目の当たりにし、自らもスポーツの魅力に引き込まれていくシマ。女子がスポーツをすることなど「もってのほか」と言われる時代に、シマは女子スポーツの先駆けとなる活躍を見せる。

 「私は『あまちゃん』がすごく好きだったので、宮藤官九郎さんの脚本で大河ドラマが作られるというニュースを知ったとき『出られたらいいな』と思っていたんです。お話をいただいた時は『本当に出られるんだ』と信じられないような思いでした」とオファーを受けた時の感想を述べた杉咲さん。

 期待通り、宮藤さんの脚本はとにかく魅力的なようで「毎回読んでいると声を出して笑ってしまうことが多い」という。しかし、脚本が面白いからこそ「本を超えなくてはいけないという怖さもあります。こんな気持ちになったのは初めて。楽しみでもあり緊張もします」と率直な胸の内を吐露する。

 ◇脚本を読んでイメージしたものの50倍ぐらいを求められ

 宮藤さんの描いたシマは時代にあらがい、女子がスポーツを自由にできる環境を作ろうと人生をささげる。「シマさんは自分が信じたものに対してはブレることがない人。それでいてしっかりと人の気持ちを考えられる。すごく共感できる部分が多いです」。

 現場でも「脚本を読んでイメージしたものの50倍ぐらいを求められました」と語ると、これまで「このぐらいだろう」と思っていた自身のリミッターを軽く超える芝居を披露した。「シマのキャラクターが濃いので、振り切った演技ができました。宮藤さんの脚本だからこそできたことだと思います。自分自身でもそこまでできたということがうれしかった」と、充実した撮影の日々だったという。

 新章では、日本に女子体育を普及させた第一人者、二階堂トクヨ(寺島しのぶさん)や、夫の増野(柄本佑さん)、日本人女性初のオリンピック選手・人見絹江(菅原小春さん)ら、シマに負けず劣らずの個性的なキャラクターが多い。「寺島さんは撮影では少ししかご一緒していないのですが、シマ以上にパワフルな方でした。菅原さんも少しの時間しか共演できなかったのですが、撮影の合間に踊っているのを拝見することができました」とにっこり。

 一方、増野については「女性の自由があまりない時代、シマがスポーツへの憧れを強くしていくことを受け入れてくれる。家庭とスポーツの両方の夢に対して、あそこまで寛容な人はいないのではないでしょうか。柄本さんが演じていることもありますが、すごくすてきで格好いい男性だなと思いました」と語る。

 ◇四三の走りは独特で難しい? 走るシーンも数多く「筋肉痛に」

 劇中では、杉咲さんが走るシーンも数多く登場する。「一時期は毎日40~50分ぐらい走ったり、テニスをしたりとスポーツは結構やっていました」と話していたが「でも四三さんの走りは独特ですごく難しい。かなりトレーニングをしたのですが、筋肉痛になりました」と苦笑い。

 それでもシマを演じたことで、多くの発見があったという。なかでも女子スポーツ選手の結果には敏感になった。「シマを演じたからこそ、彼女が願っていたことが、こうして今実現しているのだなと思うとすごく感慨深いですよね」としみじみ語っていた。

 「シマが心の中で思っていたことを、少しずつ体現していきます」と今後の展開を話した杉咲さん。苦難があっても前に進もうとする力は「明日への活力になる。日曜の夜に『今週も頑張ろう』と思える作品になっています」と力強くアピールしてくれた。(磯部正和/フリーライター)

 大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」は全47回。NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。

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