アニメ質問状:「からかい上手の高木さん2」 第1期よりも情報量を増やす フィルムスコアに近い音楽も

「からかい上手の高木さん2」の一場面(C)2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会
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「からかい上手の高木さん2」の一場面(C)2019 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん2製作委員会

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、山本崇一朗さんの人気マンガ「からかい上手の高木さん」のテレビアニメ第2期です。赤城博昭監督に作品の魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

 ――作品の概要と魅力は?

 とある中学校の同級生で席が隣同士の高木さんと西片。高木さんに何かとからかわれる西片が、高木さんをからかい返そうと策を練るも、いつも高木さんに見透かされてしまう日常を描く、誰もが「こんな中学生だったら」と思わずキュンとしてしまう青春コメディーです。

 ――アニメにする時に心がけたことは?

 アニメでありながらウソになり過ぎないリアル中学生男子が主人公、ということでしょうか。原作と違って映像になるので、その流れている時間、空気感を大切にしました。原作は基本的に1話完結型で時系列はランダムでしたが、アニメでは二人で過ごしている時間、心の動線をしっかり描けるよう時系列を作り、順を追って描きました。女子と二人っきりで一緒に帰るだけでも緊張する感じ、とか。

 からかう高木さんの魅力も大事ですが、からかわれる西片君の魅力もちゃんと描きたいと思っていました。ただの負けっぷりがいい、ギャグ落ちのズッコケキャラにはしない。西片君は、正直で真面目で、不器用だけど気骨がある。どんな時も負けじと努力する真っすぐな子にしようと心がけました。

 同級生のミナ・ユカリ・サナエの3人娘をはじめとしたその他キャラも人間味あふれる等身大の中学生感を出したいと思って向き合いました。

 第2期では第1期よりもキャラや背景の描き込みを増やしたり、芝居を細かくしたり、画面としての情報量も増やしつつ、音の方でも分かりやすくしました。第1期から見直してもらえると、その違いや距離感の変化などをより感じていただけるかもしれません。

 ――作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 まず第2期をやろうと声が上がったことはうれしかったです。キャストの方々やスタッフをはじめ、製作委員会の方々、全ての人がポジティブでプラスのエネルギーを持っている現場だったので、とても力をもらいました。

 第1期が始まってスタッフ陣と手探りしつつ作ってきましたが、1クールは短く、ちょっとつかんだかなという頃には最終回を迎えてしまいました。

 第2期が決定し、作監、撮影、色彩、美術、音楽、ほぼ全てのスタッフから「もっとこういうことをやりたい」と意見が出ました。お客さんのみならず、スタッフ全員が高木さん好きなんだなというのが見えたこともうれしかったです。その熱意を受けて第2期をよりよくするために、キャラの視線といった細かい部分から色、背景、撮影方法などを見直しました。

 音楽にいたっては、ほぼフィルムスコアに近い状態で作っていただいています。アニメは通常、劇伴というBGMを先に作成し、それを音響の現場で切り貼りしたりして作っていくのですが、高木さんはできた映像に合わせて曲を作るというやり方をしています。そのかいもあり、シチュエーションやキャラクターの感情に合わせた曲作りになっていると思います。そのために音楽担当の方にシナリオ会議に来てもらったりもしました。ただでさえ人の多い会議に、スケジュールの調整がより大変に……(笑い)。

 ――今後の見どころを教えてください。

 第2期ではアニメオリジナルの要素を盛り盛りにしています。第3話の「進級」は高木さんの今まで見たことない表情を「100%片想い」のネタを使いつつ、可愛く楽しいエピソードとして描けたかと思います。この後もアニメオリジナルのストーリーがあります。原作では見られないキャラクターの姿が見られるので、ぜひ楽しんでいただければと思います。

 第1期よりも曲数が増えるかも!? なエンディングは曲ごとに映像もそれぞれで作っています。こちらの方もご期待いただければと思います。

 最後に、西片君が第1期同様、今回もクリティカルに決められるか? などにも期待していただきつつ最終回までどうぞよろしくお願いいたします。

 ――ファンへ一言お願いします。

 高木さんの人気に負けず劣らず、西片君が可愛いといった声が届くことはとてもうれしいです。僕ら制作側の意図がちゃんと伝わっている証しの一つかなと。第2期になり、更に魅力的になったキャラクターたちが作り出す高木さんワールドをお楽しみください!

 最終回に向けて更にすてきな二人の表情を描いていきます。ファンの皆様の応援があれば「3」の可能性も…!?

 監督:赤城博昭

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