内村光良:NHK出演は「親孝行」 「なつぞら」語りは「修行」も「やって良かった」と完走に感慨

NHKの連続テレビ小説「なつぞら」で語りを担当してきたお笑いコンビ「ウッチャンナンチャン」の内村光良さん
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NHKの連続テレビ小説「なつぞら」で語りを担当してきたお笑いコンビ「ウッチャンナンチャン」の内村光良さん

 NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「なつぞら」で語り(ナレーション)とヒロイン・なつ(広瀬すずさん)の“亡き父”を担当してきたお笑いコンビ「ウッチャンナンチャン」の内村光良さん。「なつぞら」出演が発表されたのは、昨年の大みそか。2年連続で総合司会を務めた「第69回NHK紅白歌合戦」の生放送中での出来事だった。「NHKに出るってことはイコール親孝行。九州の両親が毎日見てくれるんですけど、もう耳が遠いので、字幕付きで(笑い)。そうするとはっきりと私がしゃべっていることが分かるので、『我が子が今しゃべっているんだな』と分かる。だから、やって良かったな」と感慨深げに振り返る内村さんに話を聞いた。

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 ◇「なつよ、来週に続けよ」に苦労 キャストと接触ほぼなしで「孤独」味わう

 今回のナレーションはヒロインのなつに「なつよ」と語りかけるのが、お決まりのパターンで、週の締めの言葉「なつよ、来週に続けよ」もたびたび、話題になっていた。内村さんは「これをお決まりにするのは、大変だなって思いましたよ。半年も放送があって、私も手を替え品を替え、やり方を工夫しましたから。初の試みだったし、『来週に続けよ』というのは父親的ではない。ちょっと俯瞰(ふかん)する感じで、あそこの加減が難しかったです」と苦労を明かす。

 ナレーション録(ど)りは、ほぼ週1回のペースで東京・渋谷のNHKの8階で行われた。ドラマの撮影スタジオは1階にあり、内村さんとキャストとの接触はほとんどなかったといい、「孤独ですよ」と本音をちらり。

 「狭い部屋でヘッドホンをして老眼鏡をして、『なつよ』って言っている自分は本当に孤独。修行のようでしたね。“本ナレ”に加えて、何週か先の分の“仮ナレ”を収録するのですが、僕の語りはドラマの仕上げ部分ですから、そこは壊さないよう、ちゃんと締めようって気持ちでいましたし、本当に神経が研ぎ澄まされるというか、すごく神経を使う作業で脳が疲れるんですよ。本当に終わったあと『ふ~っ』ってなりましたね」としみじみ。

 また、完成したドラマは、DVDではなく、オンタイムで見るのが習慣だったといい、「毎朝オンエアで初めて見るんですけど、それが楽しみでね。でも反省もあって。もっとここ、言い方あったよな、ああ言えばとか、こう言えばとか。あと、ちょうど長男が出かける時間でもあるので、一緒に見ていてものまねするんですよ。ちょっと小ばかにするような感じで『なつよ』『続けよ』ってね」と苦笑いを浮かべる。

 ◇印象深かったシーン… 最後の語りはいい感じ? 「『続けよ』を続けていて良かった」 

 そんな内村さんに印象深いシーンを聞くと、「語りイコールなつの父親」と判明した4月10日放送の第9回を挙げた。

 この日は、父親が子供たちに最後に残した手紙を朗読するシーンがあり、その声が内村さんと同じであることから、語りの正体が亡くなってしまったなつの父親と判明。さらに、内村さんが父親として、「なつよ、私は約束通り、今もお前と一緒にいるよ」と一人称で語りかける場面もあった。

 「手紙を読むところから歌に行くんですよね、エノケン(榎本健一)さんの。あれが難しかったですね。ナレーションは一発オーケーだったんですけど、歌は何回もやり直させていただきました。歌は自信がなかったけど、ドラマをぶち壊すわけにはいかないので、無理を言ってテイクを重ねて」と振り返る。

 また、なつ(広瀬さん)、咲太郎(岡田将生さん)と妹の千遥(清原果耶さん)との再会がかなわなかった7月5日放送の第83回についても「結果、会えずじまいでね。悲しいシーンでした。最後に部屋に戻ったら、千遥の服が壁にかけてあって。なつが抱きしめるときに、『なつよ、千遥を抱きしめてやれ』と自分が言うんですけど、泣きそうになりました。台本は『千遥を抱っこしてやれ』と書いてあったんですけど、あそこだけはディレクターさんに頼んで変えさせてもらいました。お父さん目線もありつつ、ちょっとでも会っても良かったんじゃないかっていう視聴者目線もあって、いろいろな感情が込み上げてきました」と語る。

 大切な出会いや悲しい別れ、うれしい再会もありつつ、なつのドラマは残すところあと2週となった。内村さんは「天陽くんとの別れは悲しかったので、これ以上、悲しい目には遭いたくないなって思っていたら、いい感じになっていて、僕は良かったなって思っています」と安堵(あんど)の表情。自身の語りについても「最後の最後はいい感じだと思います。台本を読んで僕も『なるほど!』って思いましたし、『続けよ』を続けていて良かったなって。そんな感じになっていますので、ぜひお楽しみに」とアピールしていた。

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