俳優の千葉雄大さんと女優の伊藤沙莉さんが出演するNHKの連続ドラマ「いいね!光源氏くん」。同局の「よるドラ」(総合、土曜午後11時半)第6弾として4月4日にスタートすると、内容の“ゆるさ”も手伝ってか、「いちいち面白い」「癒やされる」などと言った声が視聴者から多数上がり、好評を博してる。人気を支えているのが、現代に出現した絶対的美男子・光源氏と、光源氏をヒモ同然で自分の部屋に住まわせることになる沙織をそれぞれ演じている、千葉さんと伊藤さんのハマりぶりと、演技巧者の2人ならでは「相乗効果」だ。すでに初回放送の時点で「この二人をコンビにしてくれてありがとうございます」と感謝するファンもいたが、今回のキャスティングについて、制作統括の管原浩さんに話を聞いた。
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ドラマは、えすとえむさんの同名マンガが原作。「源氏物語」の中で雅(みやび)の世に生きていた平安貴族・光源氏(千葉さん)が、まったく世界観の異なる現代に出現。地味で自信がない今風のこじらせ会社員・藤原沙織(伊藤さん)が、ヒモ同然で住まわせることになる……という“イケメン居候コメディー”。沙織の妹・詩織役で入山杏奈さん、光のライバルの中将役で桐山漣さんも出演している。
今回、ドラマ化するにあたり、原作の「光源氏が現代に現れるという斬新さが一目瞭然で面白い」という点に加え、「光にふさわしい俳優がキャスティングできれば、女性たちは大いに魅(ひ)かれる」と思ったという管原さん。さらに原作の魅力に、「光源氏が単にイケメンというだけでなく、平安貴族ならではの趣のあるセンスを兼ね備えていて、そんな優雅な光と、突っこみ感抜群の沙織とのやりとりのちぐはぐさが妙におかしく、時に切ないところ」を挙げていて、まずは光源氏役と沙織役のキャスティングを重要視していたことがうかがえる。
実は管原さんは、「いいね!光源氏くん」からさかのぼること半年前、昨年9月にNHK・BSプレミアムで放送された連続ドラマ「盤上の向日葵」でも、主演と制作統括という立場で千葉さんとタッグを組んだ経験を持つ。「盤上の向日葵」は、過酷な運命を背負って将棋界の頂点を目指した青年の半生をあぶりだす本格ヒューマンミステリーで、千葉さんは主人公の異端の棋士を演じた。
「いいね!光源氏くん」と「盤上の向日葵」、全く異なるタイプの両作品だが、逆に言えば、千葉さんという俳優に対しての管原さんの信頼が透けて見える。管原さんは光源氏役へのキャスティングについて、「原作の光源氏はプレイボーイというよりおちゃめなキャラクターなので、可愛らしいイケメンである千葉さんがピッタリだと思いました」と明かし、「結果は、期待通りで、平安時代風のお芝居にうそが感じられない、何とも愛くるしい光源氏に仕上がっているのではと思います」と満足げに語っている。
一方で、管原さんは千葉さんに対して、「あまりコミカルなイメージはなく基本的に真面目な感じがしていた」といい、「相手役のヒロインをはじけた芝居のできる人にする必要があると考えた」とも話していて、そこで思い浮かんだのが伊藤さんの存在だったという。ちなみに管原さんは、前述の「盤上の向日葵」と同時期に放送され、伊藤さんも出演していた同局の連続ドラマ「これは経費で落ちません!」の制作にも携わっている。
管原さんによると、制作現場における伊藤さんの評判は「お芝居の天才」。そんな伊藤さんとコンビを組んだことで、千葉さんの演技に“うれしい誤算”も生まれた。管原さんは「千葉さんと伊藤さんが組めば、千葉さんの真面目さをコミカルに引き立たせることができるのではないかと(思った)。ご覧の通り、それは的中したと思いますが、今回うれしかったのは、千葉さんがそれにとどまらず自らの殻を破ってくれたというか、普通の現代人にはないセンスをちゃめっ気たっぷりに演じてくれたことです」と、ここにも相乗効果が。
さらに管原さんは「根が真面目に見えるだけに、時おり見せるおとぼけ感だったり、じゃれた感じがひときわコミカルに笑えるものになっているのはうれしい限りです。千葉さんの素晴らしさは、真面目さとちゃめっ気のバランスが絶妙で、このバランスで演じられるのは千葉雄大しかいないと言っても過言ではないと思います」と“俳優・千葉雄大”の魅力を力説しする。
ドラマは8話構成で、すでに物語は後半へと突入している。今後の見どころを聞くと、「今後、沙織が光を愛していることを自覚していきますが、それとともに次元の違う人を愛していいものかという葛藤も大きくなっていきます。そんな沙織の悩みに応えられない光ももどかしい日々を送る中、フィリップ(厚切りジェイソンさん)という謎の研究者と遭遇し、ドラマの行方が目を離せない展開になっていきます」と管原さんは“予告”する。
また、全8話という長さに対して、「もっと見たい」という声もファンから上がっているが、「短いと感じられるのはある種、光栄ですが、なるべく原作のテイストを生かすために、大きく変えたり膨らませたりはしなかったので、8話に凝縮された感じを味わってもらえれば幸いです」とし、最後に「いわばSFファンタジーものですので、皆さんが最後まで見終わった後の感じが決め手かと思います。ラストまで見ていただいた上で、この先も見てみたいというご要望が出てくれば、制作者としてもご期待にそえるよう検討したいと思っています」と続編の可能性について触れていた。
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