SHAMAN KING:日笠陽子×林原めぐみ×田中秀幸 恐山ル・ヴォワール編 熱演の裏側 20年ぶりマタムネ 涙のアフレコ

「SHAMAN KING」に出演する(左から)日笠陽子さん、田中秀幸さん、林原めぐみさん
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「SHAMAN KING」に出演する(左から)日笠陽子さん、田中秀幸さん、林原めぐみさん

 武井宏之さんの人気マンガ「SHAMAN KING」の新作テレビアニメシリーズ「SHAMAN KING」の恐山ル・ヴォワール編。主人公・麻倉葉が持霊・マタムネと共に島根県の出雲から青森県の恐山に向かい、ヒロインの恐山アンナと出会う……という過去を描いた人気エピソードで、アニメ化されるのは初めて。その最後となる第33話「恐山ル・ヴォワール quatre4」が、テレビ東京系で11月25日午後5時55分から放送される。恐山ル・ヴォワール編は、約20年前にドラマCDでマタムネを演じた田中秀幸さんが再びマタムネを演じたことも話題になっている。放送を前に11月21日、先行上映会が開催されると、SNSでは「号泣した」「涙があふれた」など感動の声、「ありがとう!」とアニメ化を喜ぶ声であふれた。葉役の日笠陽子さん、アンナ役の林原めぐみさん、田中さんに熱演の裏側、恐山ル・ヴォワール編への思いを聞いた。

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 ◇20年ぶりマタムネにプレッシャーも

 --田中さんは約20年ぶりにマタムネを演じました。

 田中さん とっても好きな作品で、マタムネも好きだったので、本当にうれしかったです。ドラマCDを何回も聞いているんです。前に一度演じていて、ある程度出来上がっているキャラクターなので、それを踏襲しようともしますが、20年たっているので、表現者として前よりもよくないと悲しいじゃないですか。20年を無駄に生きていたみたいで。そのプレッシャーが強かったです。僕はすぐにプレッシャーを感じるんです。何年やっていても慣れないですね。

 林原さん ご本人を目の前にして言うのも恥ずかしいのですが、圧倒的なマタムネ感なんです。コロナ禍のアフレコだったこともあり、区切られた中で収録をしました。制限のあるアフレコに救われたところもあったんです。隔離されている中で、田中さんの声が聞こえてきて、そこにいるようで、いないようでもあり、でも絶対的にいる。体温を感じるようで感じない。魂だけがいるような気がしたんです。手を伸ばしたくても届かない。でも、絶対的な安心感もあって。

 田中さん (音響監督の)三間(雅文)さんの計算なのかな(笑い)。

 林原さん 孤独感が増し、求める気持ちも増しました。今回はこの収録方法に奇跡を感じました。田中さんの声が道標(みちしるべ)になりました。

 日笠さん 私も感じていました。ドラマCDを聞かせていただいたことはなかったのですが、田中さんがマタムネを演じられていたことは存じておりました。共演もさせていただいたことがなく、どうなるのか?というままお会いしたのですが、マタムネが本当にその場にいる感覚でした。けれど、どこかいないような感覚もあったり。アフレコはめぐさん(林原さん)とは板を挟んでお隣だったのですが、最初に「SHAMAN KING」のPVを一緒に収録させていただいた時も、めぐさんが左隣で左半身に鳥肌が立つような感覚がありました。ですが、今回は左半身が痛いような感覚があり、壁を越えるトゲのような痛みを感じていました。

 --マタムネはせりふも多く、名ぜりふも多いです。

 田中さん どれだけしゃべるんだ!という(笑い)。

 林原さん 1000年分の思いですよね(笑い)。マタムネは、圧倒的な経験値の高さがありますよ。1000年生きて、経験値の高さからの言葉なので、重さ、説得力がすごいんです。

 田中さん 名言連発ですよね。

 林原さん 「大切なことは、心で決めなさい」も名言です。

 --アンナと葉の出会いのインパクトも強烈です。いきなり「通行の邪魔よ。死ね」「殺すわよ」と言い放ちます。

 林原さん そのせりふ、好きです(笑い)。

 田中さん 「死ね」と言っているけど、可愛いな!と思う。それは林原さんの演技力ですよ。

 林原さん 「死ね」って言っているのに(笑い)。何だかとてもうれしいです。

 日笠さん 「死ね」「殺す」という言葉の中の奥にあるものを感じていました。温かい気持ちが強かったですね。運命的で、この場で出会うことが決まっていたかのような感覚もあります。言葉の意味だけではないものを強く感じてました。アンナと出会った時、アンナから白い息がフワーッと出ていて、何かを感じたのかな?と思ったり。

 ◇日笠陽子が号泣 涙のアフレコ

 --「恐山ル・ヴォワール」は人気エピソードです。人気の理由をどのように感じていますか?

 田中さん 出会いのお話でもありますしね。

 林原さん 完全無欠に見えるアンナの過去がここまで壮絶だったのか?と。20年前にしてみたら、ちょっと珍しかったと思うんです。ヒーロー然としている人がヒーローであることが多かったですし。もちろんヒーローも苦悩しますが。アンナは苦悩の中にいて、救われて終わりではなく、まだ彼女の中に抱えているものもあり、ただ元気になるわけでもないんです。当時の読者にとっても、救いにもなったのかもしれません。「心で決めなさい」と言ってくれる人はなかなかいません。親だってなかなか言ってくれない。でも、誰かに言ってほしい。心に残ったものが大きかったのかもしれないですね。意味のある“よみがえり”なのかもしれませんね。

 田中さん 正義、愛、優しさとは何だ?と人間の根底を突きつけるようなところがありますね。

 日笠さん ファウスト(VIII世)戦で、アンナがまん太に対して「葉の初めての人間の友達」とところは「人間の」と付けるのは意味があって、初めての友達はマタムネだったからなんですよね。始まりだけど、めぐっていて、輪廻(りんね)しながら物語がつながっています。そこもすてきなところだと思います。

 --好きなシーンは?

 林原さん ……難しいですね。名シーンはあるんですけど。私は個人的に、テレビを見ているシーンが好きです。

 田中さん あの間が絶妙だよね。

 林原さん アンナにとって、ほんのりとした希望を初めて持てた瞬間です。年が近い男の子とちょっと言い争ったりして、生まれて初めての喜びを感じます。

 田中さん 僕も好きですね。あわやりんごが歌っている時の二人の表情もいいんですよね。マタムネの好きなシーンですと、憑依(ひょうい)合体をしたところです。葉王様を救うことができなかったけど、今は救う術(すべ)を知っている。葉さんもいる。葉さんは信頼でき、心が通じ合っている。マタムネ、よかったな……となりました。葉さんと出会って、1000年の答えが見つかった。葉さんに助けられたんですよ。

 日笠さん 電車のシーンも好きです。行く時はマタムネと向かい合っていますが、帰る時は……。電車の比喩表現にも感じるものがありました。

 --感動的なシーンも多いです。

 林原さん 日笠ちゃんは大泣きしていたよね。ズタボロな状態で泣いているのを見て、どこかで女将(おかみ)な私が「ここで壊れるくらい泣け!」と思っていました。ここからの後半戦、いよいよすごい戦いが待っているので!

 日笠さん 私は泣いていると気付かれていないと思っていたのに(笑い)。冷静を保っているような顔をしているつもりでした。

 田中さん 分かっていましたよ(笑い)。

 林原さん 「すみません!」ってトイレに駆け込み、廊下中に響くくらい鼻をかんでいましたから。それくらい心を解放していたんですよね。すてきです。

 日笠さん 優しいです……。周りが見えなくなってしまうことがあって、記憶が薄くなっているんです。めぐさんや音響監督さんに「俯瞰(ふかん)する目も必要」と言っていただいたこともありました。次は叱られたい!と思っているんです。

 --特にラストは声優陣の熱演、画、音楽……と全てが素晴らしい。

 林原さん さまざまな力によって“山”をさらに超えたものになっています。皆さん、ぜひ見てください!

 「SHAMAN KING」は、麻倉葉がシャーマンの頂点を決めるシャーマンファイトに参加し、シャーマンキングになるため、仲間たちと共に戦いを繰り広げる姿を描いている。テレビアニメがテレビ東京系で毎週木曜午後5時55分に放送中。

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