アニメ質問状:「けいおん!!」 見るたびに発見ある作品

アニメ「けいおん!!」のメーンビジュアル(c)かきふらい・芳文社/桜高軽音部
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アニメ「けいおん!!」のメーンビジュアル(c)かきふらい・芳文社/桜高軽音部

 4月からJNN全28局で放送中のアニメ「けいおん!!」。軽音楽部の女子高生のゆるやかな学園生活を描いた作品で、09年4~6月に放送され、ブルーレイディスクとDVDで計30万枚を販売した(オリコン調べ)人気アニメの第2シリーズだ。TBSの中山佳久プロデューサーに作品の魅力を聞いた。(毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−企画の経緯は?

 TBSで毎月企画会議が開かれていて、オリジナルはもちろん、さまざまなマンガやライトノベル、ゲームなどを議題に掛けています。マンガの「けいおん!」もその中の一つでした。TBSのアニメは、深夜帯で放送しているので、視聴者に対して何を見せるべきかを考え、常にアンテナを張っています。また、原作ものをそのままなぞるのでなく、アニメにしてより面白くなることを意識しています。

 −−音楽のマンガをアニメ化して、視聴者のイメージに合わせるのは大変では?

 そこは大変と思っていないんです。我々も原作を読んで吟味し、そのイメージは声優のキャスティングなどにも反映させています。また原作に出てきた歌詞を歌にする場合も、原作に出る歌詞はしっかりと生かしながら、原作にない部分は原作者に聞いてきちんと補完するんです。もちろん音楽は、高校生らしさを意識しています。

 −−09年の第1シリーズ放送直後から人気が爆発しました。

 最初に告知したときは、(「らき☆すた」などの人気アニメを手掛けた)京都アニメーションが作ることで注目はされていましたが、TBSでの反響はそれほどでもなかったんですよ。09年4月に放送された1話を見た視聴者が、曲のノリ、アニメの奇麗さで「すごい」と純粋に思ってもらえたのだと思います。もちろん、インターネットの力に負うところも大きいですね。

 −−第1シリーズでは、全13話放送の12話目に「最終回」と告知して話題になりました。

 狙ったわけでないんですよ(笑い)。編成の関係で13話目が放送できない可能性があったので、確実に放送できる12話できちんと最終回を見せたかったんです。最後だけ見られず、「DVDでどうぞ」というのは視聴者に失礼ですからね。

 −−そのわずか9カ月後の4月から第2シリーズが始まりました。

 第1シリーズの反響がすばらしく、続編の要望が多かったんです。ここまで愛してもらえるなら第2シリーズをやろうと検討し始めたんですが、もちろん実現は大変でした。第2シリーズの放送(TBSは火曜深夜)が、第1シリーズ(木曜深夜)と違うことに気づいている人は多いと思います。普通は、視聴者のために同じ時間でやろうとするんですが、異例の扱いであることが分かってもらえると思います。放送する局をJNN全28局へ大幅に増やしたのも、多くの人たちに見てほしいという思いがあったからです。

 −−他にも多くのアニメがある中で、なぜここまでの支持を得たのでしょうか?

 それぞれのキャラクターが立っていることでしょう。また私は、この作品が音楽アニメではないと思っています。もちろん、唯たちは音楽をやっているけれど、歯をくいしばって努力するわけでなく、自分のペースで音楽を楽しんでいます。それが、今どきのスタンスに合い、共感を得ているのだと思います。

 −−制作でうれしいこと、逆に大変なことは?

 アニメには影響力があり、新しい文化やトレンドを作れるということでしょう。逆に大変なのはキャラクターなど作品世界の統一性、質を常にもたせることです。「面白ければ何をやっても良い」というわけではなく、下手をすると夢を壊しますからね。澪だとこれはしない、律だとどう動く……と考えるのですが、本当に大変なんですよ。

 −−熱心な視聴者へ一言お願いします。

 彼女たちのきずなが深まっていく姿を見てほしいですね。私は、制作時の編集、アフレコに加え、テレビ放送もリアルタイムに見ているのですが、見るたびに発見があるんです。例えばメーンでしゃべっている以外の他のメンバーが、画面の隅でアドリブを入れていたり……。制作スタッフが魂をこめて、途中から見ても面白い作品に仕上げていますのでぜひ見てください。

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