ラノベ質問状:「魔界探偵 冥王星O」 架空の作家を現実世界に“召喚” 乙一ら人気作家が参加

「魔界探偵 冥王星O デッドドールのダブルD」(越前魔太郎原作、舞城王太郎著)
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「魔界探偵 冥王星O デッドドールのダブルD」(越前魔太郎原作、舞城王太郎著)

 話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、乙一さんや、舞城王太郎さんら人気作家が覆面作家として手がける「魔界探偵 冥王星O(オー)」(越前魔太郎著)です。講談社の河北壮平さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 まずは、乙一さんや、舞城王太郎さん、入間人間さんをはじめ、実力と魅力を兼ね備えた作家の方々が、あえて「越前魔太郎」という覆面の、しかもグループネームを使い、同じ世界観での物語を紡ぎ出す、その奇跡の化学反応でしょうか。もうひとつは、その世界の中で描かれる圧倒的な物語熱量! 「冥王星O」という魔界探偵の生きざまと、彼の前に次々と現れる「彼ら」とのバトルやドラマ。そして息もつかせぬ怒濤(どとう)の展開! どなたがこの本を書かれたのかと考えながら読むのもいいですし、物語にひたるのもいいですし、色々な楽しみ方ができると思います。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 舞城さん原案の映画「NECK」の中の登場人物に、越前魔太郎という作家がいるんですね。映画の内容は、想像力が現実の世界に影響を及ぼすというお話……。ならば、越前魔太郎を想像力でこの現実世界に召喚し、本来作中人物である、彼の小説を現実にリリースしましょう!というのがきっかけでした。それに対して、電撃文庫の編集者の三木一馬さんが、面白そうな企画だ、と乗っかってくれて……。そういう意味では、この企画は舞城さんのアイデアと、電撃文庫さんのノリの化学反応でもあります(笑)。

 −−編集者として、この作品にかかわる喜び、大変なことについて教えてください。

 映画「NECK」と同様に、人の想像力の可能性は無限大です。そして、素晴らしい才能と想像力が作り出す物語、それは小説です。では、その才能が複数集まったとき、まさに物語は無限大に広がるはずです。目の前に創世され、広がっていく世界。これを一番見られるのは、大変な喜びですし、同時に、大変な責任も感じます。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 9月刊の舞城王太郎さんの作品、「魔界探偵 冥王星O デッドドールのダブルD」にて、「冥王星O」の物語の第一部は完結となります。ですが、皆さんが続きを読みたい、と思ってくださったとき、世界は続くかもしれません。読んでくださる方はもちろん、お書きくださる方も、まだまだ大募集です(笑い)。

 講談社 文芸図書第三出版部 河北壮平

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