注目映画紹介:「岳−ガク−」 雄大な山の心と掟 CGに頼らず“本物”を

「岳−ガク−」の一場面 (C)2011 「岳−ガク−」製作委員会 (C)2005 石塚真一/小学館
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「岳−ガク−」の一場面 (C)2011 「岳−ガク−」製作委員会 (C)2005 石塚真一/小学館

 08年度のマンガ大賞を、09年には「小学館漫画賞」を受賞した石塚真一さんの人気マンガを、小栗旬さん、長澤まさみさん共演で映画化した「岳−ガク−」(片山修監督)が7日から公開される。標高3000メートル級の山々を舞台に小栗さん演じる山岳救助ボランティア、島崎三歩の活躍を描いた作品だ。

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 世界の山をわたり歩き、山を愛し、その恐ろしさも知る島崎三歩(小栗さん)は帰国後、山岳救助ボランティアとして登山者の命を守っていた。一方、北部警察署山岳遭難救助隊に配属された新人女性隊員、椎名久美(長澤さん)は熱意ばかりが空回りし、思うように結果を残せず自信をなくしていた。そんな久美に対して、三歩は常にマイペース。そんなとき、猛吹雪による多重遭難が発生。久美は他の隊員とともに救助に向かうのだが……というストーリー。

 原作者の石塚さんは、留学先の米国でクライミングの魅力にとりつかれた人物。それだけに描かれている内容には現実味がある。その原作のコミックス第1巻のエピソードを、脚本家の吉田智子さんはそつなくすくいとり、さらにそこに久美の成長物語としての側面も持たせた。山の雄大さと自然の素晴らしさを体感できる一方で、その厳しさと残酷さを見せ付けられ、山を知る者たちの間でこそ通じる“心”と“掟(おきて)”があることを教えられた。

 CG(コンピューターグラフィックス)に頼らず、できるだけ“本物”で撮ろうと取り組んだ作品。そのかいあって、立山での夕日に染まる雲海など印象的なシーンが数多く見受けられる。登山経験者は多くの場面で共感できるのでは。7日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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