たまゆら:アニメ業界異例の地方都市“完全舞台化”で話題 「安芸の小京都」にファン集う  

アニメ「たまゆら」に登場する竹原駅の1シーンと、実際の竹原駅 (C)2011佐藤順一・TYA/たまゆら製作委員会
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アニメ「たまゆら」に登場する竹原駅の1シーンと、実際の竹原駅 (C)2011佐藤順一・TYA/たまゆら製作委員会

 「安芸の小京都」と呼ばれる広島県竹原市を舞台にしたテレビアニメ「たまゆら~hitotose~」が町並みを忠実に再現していることで注目を集めている。地方の町並みをモデルにして話題となるアニメが最近増えているが、「たまゆら」は風景を忠実に再現しているうえ、実在の地名が書き込まれた業界異例の地方都市を“完全舞台化”したアニメ。同市では19日からイベント「たまゆらの日」が催され、全国から集まった熱心なファンはアニメとそっくりの風景に「アニメの世界に入ったみたい」と喜んでいた。

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 地方をモデルにしたアニメとしては、埼玉県久喜市(旧鷲宮町)一帯をモデルにしたアニメ「らき☆すた」や埼玉・秩父をモデルにした「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などが知られており、ファンがその地域に実際に足を向ける“聖地巡礼”の現象が起こっている。しかし、これまでのアニメは町並みを描いたとしても、制作側は地名などの固有名詞を変えるなどしてあくまでも舞台ではなくモデルという立場を貫くのが普通だった。

 だが、「たまゆら」は昔の家屋を地区ごと保存している町並み保存地区の描写や地名はもちろん、竹原駅の入り口にある「おかえりなさい」の文字までもアニメで忠実に再現。また市内で秋に開かれる、竹筒にろうそくをともして夜の町をライトアップする「憧憬の路(しょうけいのみち)」もアニメの第7話に登場。感動的なシーンを見たファンが、「アニメ抜きで行ってみたい」というほどだ。

 竹原市も同アニメを使った町おこしに積極的で、広報誌の表紙にアニメのイラストが使われたり、市役所の庁舎にも大きな看板をかかげて地元にアピールしたりしている。こうした後押しもあってか、地元の広島では深夜アニメで異例の高視聴率をマークしているという。

 19日は小雨のちらつくあいにくの天気だったが、普段は年輩の観光客が訪れる由緒ある古い町並みに、多くの若いアニメファンが訪れ、アニメの中と同じ町並みを見つけてはカメラのシャッターを切っていた。また、アニメのキャラクターが描かれた特別フェリーに乗りこみ、声優の竹達彩奈さんらがトークショーをする「たまゆらクルーズ」のイベントも予定通り開かれ、市内ではアニメの上映会などもあった。町の商店街には、アニメのポスターが張り出され、スタンプラリーを開催し、ファンは古都の町めぐりを楽しんだ。東京都町田市から来た男性会社員(32)は「キャラクター、ストーリーもいい。すさんだ時代に癒やされます」と話していた。

 20日もアニメの上映会や各種イベントなども開かれる予定。(毎日新聞デジタル)

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