マンガ質問状:「夏目友人帳」 ニャンコ先生の“大活躍”、編集者は意外?

緑川ゆきさんのマンガ「夏目友人帳」(白泉社)1巻の表紙
1 / 1
緑川ゆきさんのマンガ「夏目友人帳」(白泉社)1巻の表紙

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、妖怪を見ることのできる少年が祖母の遺品「友人帳」をきっかけに妖(あやかし)たちと交流する緑川ゆきさんのマンガ「夏目友人帳」です。「LaLa」(白泉社)編集部の佐藤一哉さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 妖怪が見えるという秘密を抱えた少年・夏目貴志。ある日、彼は祖母の遺品である妖怪たちの契約書「友人帳」を手にする。以来、用心棒のニャンコ先生と共に、名を返したり、妖たちに狙われたりと忙しい日々を送り……!?

 「妖しく、切なく、懐かしい」ところが、この作品の魅力です。妖怪ものとしての妖しくちょっぴり怖い部分、思わず涙してしまう切ない部分、作品全体に流れるどこか懐かしい郷愁感。この三つが詰まっています。

 また、切ない感動……が作品の軸ではありますが、そこにニャンコ先生を絡めた笑いのエッセンスが効いているところも大きな魅力です。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 緑川先生が別のシリーズ連載(「緋色の椅子」)を描いている最中、夏物の読み切りとして、03年の「LaLa DX7月号」に描いていただき、提案しました。前担当から担当を引き継いでから、初めて本格的に緑川先生と組んで、2人で思考錯誤しながら描いていただいた読み切りなので、反応が良かった時はとてもうれしかったです。その後、「緋色の椅子」の連載終了後、第2話を描いていただき(そのため、第1話と第2話は1年半程間が空いています)、アニメ化を機に連載の場所を「LaLa」に移し、現在まで続く作品となっております。

 −−編集者として体験した面白いエピソードをこっそり教えてください。

 おかげさまでテレビアニメを第4期までやらせていただき、夏目のファンが広がったことが一番うれしいことです。アニメのスタッフ陣も、作品の舞台である熊本でロケハンを行ったりと、緑川先生が描く世界観を忠実に再現し、丁寧に作っていただいているので、ありがたく思っています。予想外!?だったのが、ニャンコ先生がここまでいろんな方に受け入れられたこと。初め、ここまで大きくグッズ展開されるようなキャラになるとは思わなかったので、第1話の時、変な指摘をしなくて良かった……と、今はホッとしております(笑い)。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 現在、アニメ第4期(「夏目友人帳 肆(し)」)が絶賛放送中です。原作コミックスは13巻まで出ておりまして、最新14巻は12年夏ごろを予定しております。ニャンコ先生グッズもいろいろとこれからも展開予定なので、ぜひチェックをお願いします。アニメに、マンガに、グッズに……、世界を広げてゆく夏目友人帳に、引き続きご注目ください。

 白泉社 LaLa編集部 佐藤一哉

アニメ 最新記事