アニメ質問状:「スマイルプリキュア!」 キュアピースの決めぜりふに苦慮

(C)ABC 東映アニメーション
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 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、大ヒット魔法少女アニメ「スマイルプリキュア!」です。朝日放送の松下洋幸プロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

 −−作品の概要と魅力は?

 普通の少女が、ふとしたきっかけで、伝説の戦士「プリキュア」に変身し、世界を征服しようとたくらむ悪に立ち向かう、変身ヒロインアクションアニメです。04年2月から始まり、今作で9年目です。

 現在多くの魔法少女作品がありますが、「プリキュア」は「魔法」ではなく、「徒手空拳」で戦うヒロインです。女の子たちが必死に、自らの拳で敢然と悪と戦っていくところは、他の女の子向けアニメにはないものだと思っています。

 とはいえ、あくまで女の子。「華麗な変身シーン」や「コスチューム」、恒例となっているエンディングでのカワイイ「ダンス」など、子供たち、特に女の子があこがれる設定が多いのも、この作品の魅力ではないでしょうか。

 さらに、ストーリーを通して伝えていることは、「友情、家族の絆、感動、信頼、あきらめない気持ち」など、大人になってもとても大事なこと。真剣に見ると、大人でもぐっと心に響く一言があったり、ジーンと涙がわいてくるシーンがあったり、懐かしくもあり、こういう仲間がいたら良かったなあとうらやんだりするところが魅力の一つかと。

 −−今回のプリキュアのテーマは「笑顔」ですが、そのテーマに決定した経緯と、アニメにするときに心がけたことは?

 今回テーマを決めるにあたって、大きかったのは昨年の東日本大震災をはじめとする、日本で、そして世界で起こった悲しい出来事です。プリキュアというアニメを放送している我々にとっても大きく考えさせられました。

 「何をすべきか?」

 結論は、「全力でプリキュアを作り続けること」でした。一人でも多くの子供たちが笑顔でいられるようにしたい。そして「いつもスマイルでいればハッピーな未来はかならずやってくる」、「『あきらめない』で『みんなで力を合わせて』いこう」、そんな気持ちを作品を通して伝えたかったんです。

 じゃあタイトルは、と考えると、ストレートに「スマイル」が出てきました。番組を見終わったあと、子供たちが「スマイル」になれるように、ストーリーもスマイルで終われる内容を心がけています。

 −−作品を作るうえでうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 今回のスタッフのテーマもキャラクター同様「全力で取り組む」。とにかく出し惜しみせず、面白いと思うことはドンドンやっていこうという姿勢で作品づくりに取り組んでいます。

 ただそれは、議論を生むことのきっかけにもなりやすかったです。例えば、キュアピースの変身時の決めぜりふを決めるときは結構悩みました。「じゃんけんぽん」はないだろう~!って。でも今はこの「スマイルプリキュア!」にとって大きな魅力となっています。そのような議論の積み重ねの結果、素晴らしいストーリーが作られ、素晴らしいキャラクターたちが生み出されました。

 そんなキャラクターたちに、最初に声優さんがアフレコしてくれた瞬間、「ああ、全力でやってきて良かった」って思いました。逆に今全部出していっているだけに、今後どうするかが大変だと思っています。

−−今後の展開、読者へ一言お願いします

 「プリキュアシリーズ」第9作「スマイルプリキュア!」。制作スタッフ一同、全力で笑顔をお届けすべく頑張っています。「いつもスマイルでいればハッピーな未来は必ずやってくる!」を合言葉に、毎回、子供たちだけでなく、お父さんお母さんもワクワクドキドキできるようなストーリーをお届けしています。

 その中で、中学2年生の女の子たちが「友情・感動・家族・信頼」など、日常でとても大事なことを学び、「明るい未来」へ突き進んでいきます。困難が訪れても、頑張り、汗をかき、5人のチームワークで助け合い、絶対あきらめない気持ちを持ち続けます。

 そんな彼女たちを見ていただき、熱いものを感じていただければ幸いです。そして最後は皆さんで「ウルトラハッピー」になれたらいいなと思います!

 朝日放送 「スマイルプリキュア!」プロデューサー 松下洋幸

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