話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、「中二病でも恋がしたい!」です。京都アニメーションの石原立也監督に作品の魅力を語ってもらいました。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
−−作品の概要と魅力は?
「中二病」というのは、「反抗期」とか「悩める思春期」とかいう言葉で一からげに語られていたモノの“今風”の言い方です。おおよそ中学2年生くらいの時期に発現するので、このような呼ばれ方をしています。この時期の少年少女は好きなミュージシャン、俳優の格好や口癖、ライフスタイルをまねたりするものですが、最近のコはマンガやアニメ、ゲームの影響も受けるようです。年配の方は奇異に感じられるかもしれませんが、40代以下の人はすでにバリバリのアニメ世代ですので身に覚えのある方もいらっしゃるかと思います。
この物語は、そんな「中二病」を絶賛発病中の女の子と、「中二病」を卒業した男の子の、ちょっと奇妙なラブストーリーです。
−−アニメにするときに心がけたことは?
「中二病」の時期というのは精神的にとても不安定で、ネガティブな思考に陥りやすいものです。こういった青春時代をテーマにするとそのまま陰気で痛々しい映像になりがちです。
本作品はそのように暗い雰囲気ではなく、ヒロインの中二病的行動もむしろ可愛くほほ笑ましく見えるように心がけました。また、周囲の人物、クラスメートたちも心の広い性質であるとして、奇妙な行動をとるヒロインに対して冷たくならないようにしています。
−−作品を作るうえでうれしかったこと、逆に大変だったことは?
うれしかったことは、当社の文庫原作をアニメ制作できるということです。多少無理を聞いていただいて、原作からの内容の再編がやりやすかったです。
大変だったことと言えば、作品の内容、中二病の意味を、スタッフに説明しなければならないわけですが、その際に例として自分の過去の恥部をさらけ出さなければならなかったことでしょうか(笑い)。何より自分でも忘れていたことをいろいろと思いだしまして、“汗”です。
−−今後のみどころを教えてください。
前半はメーンキャラクターの紹介編ですが、そろそろキャラが出そろって本筋のストーリーに入っていきます。主人公の勇太がヒロインの六花のことを知っていくにつれ惹(ひ)かれていく過程と、この作品のタイトルでもある「『中二病でも恋が』できるのか?」「中二病の恋って?」というような展開になっていきます。
シリアスなシーンも増えていきますが、コミカルさも加えつつ、勇太と六花の恋心や仲間たちの心のふれ合いを描いていきたいと思います。
−−ファンへ一言お願いします。
この作品は中二病が“素材”ではありますが、メーンテーマはそこではなく、少年少女の初々しいラブストーリーです。「中二病」という言葉自体は最近のものですが、そういった思春期を迎えた少年少女の不安定な心理状態やそれに伴う反社会的行動は以前からあるものであり、そういった意味では普遍的でスタンダードな青春モノであると思います。キャラクターも親しみやすくなっていると思いますので、勇太や六花たちのお友達になっていただけるとうれしいです。
京都アニメーション 「中二病でも恋がしたい!」監督 石原立也
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