田畑智子:「女優業死ぬまで」3冠達成で決意宣言

映画「ふがいない僕は空を見た」の凱旋上演舞台あいさつに登場した田畑智子さん
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映画「ふがいない僕は空を見た」の凱旋上演舞台あいさつに登場した田畑智子さん

 第67回毎日映画コンクール女優主演賞の受賞が決まり、同コンクール史上初の3冠を達成した田畑智子さんが26日、東京・新宿の新宿武蔵野館で行われた受賞作「ふがいない僕は空を見た」(タナダユキ監督)の凱旋(がいせん)上演舞台あいさつに登場。田畑さんは「私でいいのかとか、申し訳ない気持ちでいっぱい」と恐縮気味。「(デビューした)20年前は、まだこの世界にいるって全く思っていなかったけど、いろんな人と出会い、勉強をして、この職業がかけがえのないものになった。自分が死ぬまで続けていきたいなとようやく思うようになった」としみじみした様子で、「この作品に出会えたことは宝物になりました」と笑顔で話した。

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 田畑さんは、映画「お引越し」(93年)で新人賞、映画「血と骨」と「隠し剣鬼の爪」(04年)で女優助演賞、そして今回の主演賞で、毎日映画コンクール史上初の3冠を達成した。受賞の実感はまだないという田畑さんだが、「今後もそれに恥じないように日々精進して頑張っていきたい」と力を込めた。

 映画は、11年本屋大賞2位、第24回山本周五郎賞を受賞した窪美澄さんの小説が原作で、映画「百万円と苦虫女」(08年)のタナダ監督が田畑さんと永山絢斗さんのダブル主演で映画化した。助産院を営む母子家庭で育った高校生・卓巳と、心の闇を抱えたアニメ好きの主婦・あんずとの関係を軸に2人を取り巻く人々の苦悩や葛藤、「生」と「性」の喜びと苦しみを描いている。

 田畑さんは劇中でハードなシーンにも挑んだといい、「幸せな永山君とのシーンも撮ったけど、ある意味苦しい。つらいシーンの繰り返しで、休みの日とかも一日ぼーっとしていることが多かった。すっごい苦しかったです」と苦労を告白。一方、タナダ監督は、「(ハードなシーンなどがあることから)ピリピリしたりすることもあるだろうなと思ったけど、まったくそういうそぶりを見せなかった。(田畑さんに)一生ついていきますという感じだった」と絶賛した。

 田畑さんは、同作品を試写して「(自身の作品で)ずっと泣いていたのは初めてだった」といい「いろんな人の苦しみや痛みをすごい感じた。でも、世の中にはもっといろんな痛みを抱えている人がいるんだと思ったら、自分がちっぽけな気がした」と感想を話し、「力強い生のパワーをいただいた作品。皆さんの中にも宝物のひとつとして残っていただけたら」と呼びかけた。

 なお、新宿武蔵野館では、2月1日まで1週間限定で「ふがいない僕は空を見た」の特別再上映を行う。(毎日新聞デジタル)

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