ゆず:「最初にもらったファンレターが忘れられない」 15周年で2人が語る

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 男性デュオ「ゆず」が全国アリーナツアーの地元・横浜で2月17日に行った公演の模様を収録した番組「ゆず アリーナツアー 2012−13 YUZU YOU ~みんなと、どこまでも~ at 横浜アリーナ」(3月10日放送)に先駆け、2日にスペシャル番組「ゆず WOWOWスペシャル YUZU YOU ~みんなと、どこまでも~」をWOWOWプライムで無料放送される。番組を通して「ゆず」の北川悠仁さんと岩沢厚治さんが、支えてくれるファンへの思いや楽曲制作の裏側などを語った。(毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−ゆずの転機はいつでしたか?

 岩沢さん デビュー当時、横浜での路上ライブと新宿ミロード(東京都新宿区)での街頭ラジオを交互にやっていたんです。それぞれにファンが付いていたんですが、だんだん、そのファンがどちらにも行き来してくれるようになったんですが、これがファンができた!と実感したときでしたね。

 北川さん 10周年を迎えたことが大きかったですね。はたから見ると「ゆず」はうまくいっているように見えたと思います。でも、ふと立ち止まったときに、いろんなことがマンネリ化していたり、ルーティン化しているように思えて、僕自身がすごく行き詰まっちゃったんです。だからこそ、これまでのやり方を壊して、新たなことに挑戦するようにしました。

−−人生で忘れられないことは?

 北川さん ゆずの歴史でいうと、最初にもらったファンレターですね。路上ライブを始めたころはほとんどお客さんがいなくて、1年くらいたってやっと2人組の女の子が聴きにきてくれるようになったんです。彼女たちが「また来週もくるよ」と言ってくれたのですが、その2人は次の週に来られなくなってしまって。でも、いつもの場所の壁に彼女たちからの手紙が貼ってあって「今日は行けないけど、いつかテープを作ってください!」と書いてあったんです。それがすごくうれしかったですね。それがきっかけで、僕らはテープを作りました。そうしたら次の週に偶然、今の事務所の社長が僕らのライブの前を通りかかって、テープがほしいと言われたので、その作り立てのテープを渡したんです!

 岩沢さん そのテープがあったからこそ、僕らはここにいるんですよね。

 北川さん あの手紙がなければ、今の「ゆず」はなかったといっても過言ではないでしょう。

 −−ファンがいてくれて「よかった」と思う瞬間は?

 岩沢さん すべてにおいてですよね。いてくれてありがとうというか、いてくれないと困りますよね。

 北川さん 今回のツアー中の大阪公演最終日にインフルエンザを発症してしまって、ライブの途中、声が出なくなってしまったんです。今まで声がかれてしまうことはあっても、歌えなくなるほど声が出なくなってしまうことはなくて、怖くて震えてしまいました。そのとき、すごく迷ったのですが、ライブ中にお客さんに「実は風邪を引いちゃって、本当に申し訳ない」と正直に言ったんです。そしたら、皆さんすごく大きな声で僕と一緒に歌ってくれて、僕らはファンの皆さんに支えてもらっていることを感じました。

 −−「REASON」という楽曲が生まれた経緯は?

 北川さん もともとこの曲は、東京ドーム公演後に休みをいただいて、そのときに作りました。僕がランニング中にふっと浮かんできて、家に帰ってすぐに曲の原型を作りました。昨年は、僕らのデビュー15周年の節目の年で、ここからどう新たなスタートを切ろうかと考えていたんです。僕は、今までのことを大切にしつつ、さらに踏み出していきながら、新しいものを作っていきたいなと思って。そのためには僕が1人でこの曲を作るのではなく、2人で作った方がいいかなと思ったんです。作っているときは、この新しい曲がリスナーにどう届くのかと少し不安だったんですが、ファンの皆さんのリアクションがすごくよくて驚きましたね。ファンの皆さんにはきちんと届いたんだと思います。

 −−「イロトリドリ」の制作で大切にしたものはなんですか。

 北川さん 「REASON」とはまったく違うものにしたかったんです。「ゆず」というグループの持ち味というか、面白さ、遊び心、ノリを大事にして作ろうと思いました。15、6年間で積み上がってしまった当たり前のことを全部ぶっ壊して、ファーストフルアルバム「ゆず一家」のときのように、みんなで“わーっ”と盛り上がりながら作っていく、初期衝動というか勢いで乗り越えていっちゃうような、ここ最近やっていなかったやり方を「イロトリドリ」でできましたね。

 −−今、音楽で伝えたいことは?

 北川さん 東日本大震災がすごく大きかった気がします。こんなときに音楽なんてやっている場合か? 音楽で何ができるんだ?とすごく思いました。でも、音楽があってよかったと僕らも思ったし、たくさんの人にその思いを届けることもできました。音楽だからこそ伝えられるメッセージもありますし。自分が好きな音楽ってなんだろう? どんな音楽を奏でているときにお客さんと感じ合えるのだろうかと、僕らが目指すことがすごく分かりやすくなった気がしますね。

 岩沢さん 確かに震災以降、日本はすごく変わった気がします。こんな歌を歌ったら不謹慎ではないか?というような音楽に対する問いがあって。いろいろ考えることがありましたが、実際に東北の地に行って、多くの方に「自粛なんてしないでください!」と言っていただきました。僕らはできることをやります!という意思のもと、ここまで走ってきた気がします。震災が僕らにとっての新しいスタート地点だった気がしますね。音楽とはなんだ?と考えたときに、聴く人がいて初めて、その音楽が成り立つということを実感しました。独りよがりではいけなくて、誰かに聴いてもらって、誰かと響き合って初めて成り立つものなんだと改めて思いました。

 *……スペシャル番組「ゆず WOWOWスペシャル YUZU YOU ~みんなと、どこまでも~」は、3月2日午後6時半からWOWOWプライムで、「ゆず アリーナツアー 2012−13 YUZU YOU ~みんなと、どこまでも~ at 横浜アリーナ」は、3月10日午後9時からWOWOWライブで放送される。

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