コアエッジ:アルテイルネットLPを専門学校生が制作 産学連携の成果とは

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 オンラインカードゲームサイト「アルテイルネット」を運営するオンラインゲーム会社「コアエッジ」はIT・デジタルコンテンツ分野を学ぶための専門学校「HAL東京」のCG学部CGデザイン学科との産学連携企画として、12年10月~13年3月の6カ月間にわたって学生とサイトページの一部を制作するプロジェクトに取り組んだ。新規ユーザー獲得に重要な役割を担うランディングページ(LP)と初心者向けページの制作を学生に任せるという思い切ったプロジェクトの狙いやその成果を取材した。(毎日新聞デジタル)

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 今回の産学連携プロジェクトは、コアエッジの企業ロゴをデザインし、HAL東京で教壇にも立つデザイナーの田口博之さんからHALの学生と同社で何かできないかと双方に相談を持ちかけたのがきっかけ。HAL東京の細谷将人講師は「私たち講師が学生に課題を課しても“授業”になってしまい、なかなか本気モードにならない。商品を完成させて締め切りを守ることとかを学ばせたい」と学生たちに実社会の中で課題を課したいという狙いがあり、コアエッジ側も「オンラインゲームを手掛ける一企業として、人材育成でゲーム業界に貢献したい」という思いから、LPと初心者向けページを学生と制作していくことになった。

 参加した学生は21人。オンラインゲームをプレーした経験がない学生も多く、最初はオンラインゲームについて学んだり、実際にアルテイルネットをプレーしてゲームを知るところから始めたという。まず2人1組でLPの構想を練ってそのアイデアを発表し、発表した10組のうち内容のよかった4組を選出して改めて4チームに学生を振り分けて制作作業に取りかかった。

 LPはインターネット広告や検索エンジンの検索結果からユーザーが最初に訪れるページで、初心者向けページはゲームのやり方や魅力を分かりやすく伝えるページ。どちらも新規のユーザーを獲得するために重要な役割を担っている。学生チームが完成させた四つのLPは1カ月間、アルテイルネットのサイトに掲載し、それぞれユーザーの獲得率を競わせた。一方で初心者向けページの制作もLPと並行して行われ、13年1月から2カ月で完成にこぎ着けた。

 競争の結果、一番獲得率が高かったのはSDキャラを使ってゲームを紹介した横田遼さん(4年)がリーダーの「SDキャラチーム」。横田さんは「アルテイルネットがどんなゲームか一発で分かるページを作るよう心がけた」とうれしそうに狙いを語った。結果についてコアエッジの運営企画アートディレクター・深澤健太郎さんは「インパクトの強いイラストを使用したチームのLPが一番高い獲得率を獲得するかと思っていたが予想が外れ驚いた」とびっくりした様子で、「やっぱり頭の中で考えているだけでは分からない。実際の現場で試したからこそ分かるものも。こちらも学生さんたちからいろいろなアイデアの種をもらいました」と満足そうだった。

 初心者向けページの方は、マンガを使って対戦の仕方などを分かりやすく説明したもの。吹き出しを使うことで伝えたい内容を凝縮して伝えることができ、かつ読みやすいということからマンガのアイデアが生まれたといい、リーダーを務めた中山裕介さん(4年)は「今までの課題は1人で制作することが多かったけれど、今回は周りとコミュニケーションをしながら制作していったことがとても大きな経験になった」と満足した様子。深澤ディレクターも「今までなかったアイデアでとても斬新(ざんしん)で、大きな発見だった」と評価した。

 HAL東京ではこれまでもコンテストに出品するという形で企業と関わることはあったというが、その際もスケジュールや締め切りの管理は講師が行っていたといい、約半年間、同プロジェクトを見守ってきた細谷講師は「スケジュール管理から締め切りを設定も含めて作品が出来上がるという工程を経験したのは学生にとっても初めてだったと思うので、いい経験になったのでは」と手応えを感じた様子。深澤ディレクターも後半になるにつれて学生たちのプレゼン内容や提案の内容の質が確実に上がってきたことをひしひしと感じたといい、同社としては今回のプロジェクトの成功を受けて「今後も人材の育成などでゲーム業界に貢献していきたい」と語った。

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