吉川晃司:西郷さんはロック? 大河ドラマ「八重の桜」で「心模様演じたい」

NHK提供
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 歌手の吉川晃司さんが、NHK大河ドラマ「八重の桜」で明治維新第一の功労者、西郷隆盛(吉之助)を演じている。09年の「天地人」では織田信長を演じたが、今回の起用には「びっくりしましたね」と驚きを隠さない。「侍でも直線的な役柄はあったけど、人徳というか器で引っ張っていくような役はこれまでなかったので、すごく興味深く面白い」と意外性のある隆盛役を楽しみながら、「希代の偉人さんですから演じさせていただくのは光栄です。あの方の心模様みたいなものを演じられたらいいかな」と語った。吉川さんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 吉川さんは「西郷さんは決断したらぶれない。それまでは大いに悩む。人情の男だと思う」と解釈し、また「精神的なところでは、もっとロックだったのかもしれない。スピリッツとしては西郷さんはものすごく侍だったんじゃないですかね」と分析する。演じるにあたっては体重も増やしたといい、「手応えはまだ分からないですが、薩摩弁は難しいですね。京都の人と演じると(京都弁に)引っ張られてしまう。顔は……似てないので、勘弁してください(笑い)」と苦労も明かした。

 吉川さんは東日本大震災後の11年7月、被災地の復興支援のために約21年ぶりにギタリストの布袋寅泰さんと「COMPLEX」を復活させ、チャリティーライブを開催したり、被災地でのボランティアにも参加するなど精力的に復興支援を続けている。今回のオファーは「3・11を受けて、東北の復興支援につながるようなテーマでやりたいという話を最初に聞いて、『それならぜひ』と受けた。会津方の役だとばかり思っていたので、西郷役と聞いてびっくり、しかも敵じゃないかと(笑い)。

 NHKの内藤愼介エグゼクティブプロデューサーは「『このときに動かなければ』というときに動ける瞬発力を持っている」と吉川さんの起用理由を説明していたが、吉川さんは「(西郷役という)むちゃぶりの上に、むちゃな説明をされた」といい、「震災が起きたときに、止まるより動こうと思ったので、そのことをおっしゃってるのかな」と照れ笑い。「まだ大きな場面は撮っていないんですが、(江戸城の)無血開城が一つ大きなシーンになると思う」と生瀬勝久さん演じる勝海舟との直接対峙(たいじ)に期待していた。

 「幕末に生きていたら、新しく作る方にいたいと思いますよ。そういうタイプなんです。平和な時にはいなくていいようなね」と語る吉川さん。ドラマに登場する“什の掟(おきて)”の言葉「ならぬことはならぬ」にちなみ、自身の「ならぬこと」を聞かれると、「自分の信念や目的のために多少の遠回りはよしとしても、周りに流されて曲げてしまってはならんと思いますね。朱に交わっても赤では嫌だとかね。だから、やたらと摩擦係数の高い人生になってます」と独特の表現で笑わせながらも、西郷に通じる強い意志をうかがわせていた。

 「八重の桜」は、福島県出身で戊辰(ぼしん)戦争の落日、会津の鶴ケ城に500人の女たちと立てこもり、銃を持って戦ったことから“幕末のジャンヌ・ダルク”と呼ばれ、のちに同志社を創設した新島襄の妻となる八重(1845~1932)の生涯を描く。NHK総合テレビで毎週日曜午後8時に放送中。(毎日新聞デジタル)

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