1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、マンガ誌「ハルタ」(エンターブレイン)で連載、クールすぎる男子高校生・坂本の学園生活を描いた佐野菜見さんのマンガ「坂本ですが?」です。
ウナギノボリ
解説:新たな“最高峰”を目指したガンプラ 45周年のこだわりとは
県立学文高校1年2組の坂本は入学早々、クールすぎる言動で学校中の注目を集めていた。それに嫉妬した同級生の男子生徒から、いたずらを仕掛けられるが、涼しい顔と派手なパフォーマンスでかわし続ける。そんな姿に女子生徒は悲鳴を上げ、男子生徒の嫉妬心にはさらに火が付いて……。
◇編集部からのメッセージ 「ハルタ」編集部 塩出達也さん 「反復横跳び、空気イスがスタイリッシュに生まれ変わる」
「坂本ですが?」は、佐野菜見さんの初連載作です。佐野さんは20歳のときに「エマ」や「乙嫁語り」の森薫さんに憧れてエンターブレインに持ち込みに来ました。あれから5年……。憧れの地とは違う、独自の立ち位置を見事に築き上げました。
黒板消しのトラップや、反復横跳び、空気イス。学生時代に普通にやっていたけれど、今から考えると異常にかっこ悪いあれやこれやが、主人公・坂本によってスタイリッシュに生まれ変わる。佐野さんの、このあたりのアイデアの豊富さには毎回驚かされます。
中高生からの反響がひときわ大きく、「BEAM COMIX」というレーベルでは前例のないことなので、佐野さんも編集部も驚いています。中高生が、反復横跳びを「レペティションサイドステップ!」と言いながらやってくれるようになるといいな、と思っています。
今冬に発売となる2巻では、坂本のスタイリッシュさはそのままに、他の登場人物たちの魅力も増しています。ぜひ読んでみてください。
表紙の、何の意味があるのかさっぱり分からない集中線と、裏表紙の躍動感がありすぎる机拭きがすべてを物語っている気がする、クーレスト高校生「坂本」の生活を描くスタイリッシュギャグです。
しかしギャグといってもツッコミはありません。むしろ不必要です。なぜなら坂本くんは正しいことをしているから! 完全無欠のスペックを持つイケメンが、その完璧な能力を余すところなく発揮しつつ日常を送っている。ただそれだけのことなのです。能力が高いのだから必殺技を使おうとも、反復横跳びで火災を消火しようとも、蜂と互角に渡り合おうともそれは普通のことなのだ!
この、ある意味ツッコミを読者に丸投げしているともいえる、新たな笑いの形は必見です。でも電車で読むのは笑いすぎて不審者扱い必至ですのでご注意を。
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