注目映画紹介:「東京シャッターガール」 同一ヒロインを3人が演じた3編のオムニバス短編映画

「東京シャッターガール」の一場面 (C)2013「東京シャッターガール」製作委員会
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「東京シャッターガール」の一場面 (C)2013「東京シャッターガール」製作委員会

 「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)で連載中の桐木憲一さんのマンガを実写映画化した「東京シャッターガール」が公開中だ。写真部に所属する主人公の女子高生・夢路歩が、街歩きをしながら写真を撮影し、人々との触れ合いを通じて成長していく姿を描く。映画では手塚眞監督、今作が映画監督デビューとなる写真家のコバヤシモトユキ監督、寺内康太郎監督という3人の監督が手掛けた3編をトリプルキャストで実写化した。アイドルグループ「Go!Go!ぱわふる学園」の夏目あおいさん、「SUPER☆GiRLS」の田中美麗さん、女優の藤井武美さんの3人が、各ストーリーで主人公の夢路歩を演じている。

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 映画は、風とぬくもりを写真で伝えようとする写真部員・歩(夏目さん)は命を強く意識する瞬間に直面し、撮影することでその命を終わらせてしまう感覚に陥るという「わたしは、シャッターガール」(手塚監督)、東京スカイツリーの建設過程を撮影していた歩(田中さん)はツリー完成後に撮るべきものを見失う。そんなとき新入部員の小森元気(芳村宗治郎さん)が現われ……という「写真って何?」(コバヤシ監督)、写真のことになると夢中になり周りが見えなくなる歩(藤井さん)。彼女に振り回される同級生の玉城大樹(大橋典之さん)と思いを寄せる小野田幸治郎(平光航平さん)がいて……という「夢路!お前無茶すんなぁ!」(寺内監督)の3本からなるオムニバス短編映画。

 三つの短編で同じヒロインを3人の女優が演じるというキャスティングが、少女の多面性を感じさせ見事。写真を撮ることを通し、恋や友情、そして夢や目標など、少女たちの心の揺れや成長を描き、爽やかな映像や空気感がありながらも、思春期のどこかもどかしさを感じ、切ない気持ちにさせられる。東京のさまざまな名所も登場するため、カメラ好きには撮影ポイントを知るのにも役に立ちそうだ。カメラを自分にとっての大切なものに置き換えれば、改めて自身を見つめ直し何かを感じ取ることができそうだ。12日から池袋シネマ・ロサ(東京都豊島区)、11月からは東京都写真美術館ホール(東京都目黒区)ほか、全国で順次公開予定。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もOKと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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