話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は「境界の彼方」です。京都アニメーションの石立太一監督に作品の魅力を語ってもらいました。
ウナギノボリ
「光る君へ」より昔! 最も古い時代の大河ドラマは? 1976年「風と雲と虹と」のあらすじ
−−作品の概要と魅力は?
ジャンルとしましては、いわゆる“学園アクションファンタジー”という部類に入ると思います。妖夢という普通の人間には見えない化け物を、異界士と言われる特殊な能力を持った人たちが退治するという世界観です。
主人公は、妖夢と人間のハーフの半妖の神原秋人で、異界士であり、その土地の名家でもある名瀬家の博臣、美月という兄妹。そして、その3人の中に異界士の中でも血を操る特殊な能力を持つが故に異端扱いされているもう一人の主人公の栗山未来という新入生の女の子が加わることで物語が始まります。
作品の魅力は、主人公である神原秋人(メガネフェチ)と博臣(シスコン)の会話にあるような、飛んだ内容の会話劇と、アクションシーンの映像としての視覚効果の緩急にあると思います。ただ、全話数を通しての“本線”であるストーリーにしっかりと面白みを持たせようと作っておりますので、そちらも楽しんでいただける大きな要素ではないかと思っております。
−−アニメにするときに心がけたことは?
原作のライトノベルからアニメーションに媒体を変えるに当たって、まずはアクションシーンを増やそうと思いました。映像である特性を生かせる部分ですので、これはまず絶対だろうと思いました。個人的にアクションものが好きというのもありましたが……。
それと、作中に出てくる妖夢という存在のビジュアルとキャラクターたちが操る不思議な力の視覚化。ここは、ファンタジーというジャンルで多くの過去の名作の中で出てきて、現在においてはテンプレになってしまうであろう分かりやすいイメージにしないように心がけました。例えば、西洋風の不思議な力と言えば、魔法陣などのイメージ、東洋風といえば陰陽師的な呪符などのイメージ。これらをそのまま視覚化して、視聴者の方が、その既存のイメージから想像する変な先入観を持ってしまわないように気をつけました。
−−作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?
うれしかったことは、純粋に見てもらえることです。逆に見てもらえないのが一番つらいです。大変だったことはあまりないかもしれません。肉体的にハードな局面はありますが、それよりもやりがいの方を強く感じています。何より関わっている多くのスタッフの方に支えてもらっているということがすごくありがたいです。皆で作ってるんだなぁ、という感覚を味わえて、すごくうれしいです。結局、うれしいことの話になってしまいました。すみません。
あ、そういえば先ほど、最終回の絵コンテのラフを描き終わったところなのですが、涙で前が幾度となくにじんで、うまく描けなくて苦労しました。一人で盛り上がってしまいました。これは大変でした。
−−今後の見どころを教えてください。
最終話に向けて、秋人と未来という二人の主人公の成長を熱く描いております。とても熱いです。最後まで見ると、もう一度最初から見返したくなる構成になっておりますので、ストーリーの部分をぜひしっかりと追いかけていただけるとうれしいです。進んでいくうちに“なるほど”と思える瞬間がきっとあると思います。
−−ファンへ一言お願いします。
各話ずつでも楽しんでいただけるよう、努めてはおりますがシリーズを通しての大きなストーリーの流れで見ていただけると面白さ倍増ですので、ぜひご期待ください! よろしくお願いいたします! ありがとうございます!
京都アニメーション 「境界の彼方」監督 石立太一
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