マンガ質問状:「亜人」 作者の“アメリカ映画好き”が作品に大きなうねり

桜井画門さんのマンガ「亜人」
1 / 1
桜井画門さんのマンガ「亜人」

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、マンガ大賞にもノミネートされている桜井画門さんの「亜人」です。講談社「月刊アフタヌーン編集部」の多田寛さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 なんせ桜井さんの絵がうまいです。何度死んでも生き返る新生物(亜人)になってしまった主人公・永井圭の目を通して人間の怖さや(たまに)優しさに触れていくのも本作品の魅力の一つですが、そこに登場するキャラが、いちいちカッコイイのです。絵的にもキャラ的にも。さらに、その恐怖を主にアクションで見せるんですが、そのアクションもメチャクチャうまいです。描いてる桜井さんが、絵もマンガも、毎回うまくなっていくのがわかるんです。それは、担当者としてもとてもエキサイティングなことです。こんな作者や作品に出会えることはめったにないので、至上の喜びを感じながら仕事をしています。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 「元気な男の子が活躍するマンガを!」と亜人の掲載誌「good!アフタヌーン」のチーフが作り込んだ企画に飛びつきました。桜井さんのアメリカ映画を好きな嗜好(しこう)が作品に大きなうねりというかリズムみたいなものを加えたような印象を持っています。

 −−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった……、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。

 「このマンガはこのままじゃダメだ」と否定的な発言を繰り返す作者の話を「なになにどうしたんですか?」と聞くという作業が一時期、定例化していたことがあって……自信と不安とか、激しい葛藤が常に作者の中で渦巻いているようです。今は怒りのパワーでマンガを作るとか、呪いのチカラを作品に込めるという技法(?)を発見したようなので、沈静化しつつありますが、またいつ再燃するかと思うと……。ぜんぜんクスッとした話じゃないですね。

 −−今後の展開は?

 おかげさまで各方面から大反響をいただいておりまして、いろんなことを予定していますので、ご期待ください。これまでも、宝島社さんの「この漫画がすごい!2014」オトコ編の第3位ですとか、「全国書店員が選んだオススメコミック2014」ランキング第2位ですとか、ほかにもノミネートされたりしているのですが、なぜか1位が取れないので、なんとかしたいのですが、こればっかりは……。

 −−読者へ一言お願いします。

 新人の初連載作品でこれほどの反響をいただいたのは、ひとえに読者の皆様の応援があってこそだと思っています。本当にありがとうございます。おかげさまで「マンガ大賞2014」にもノミネートされました。これからも読者の皆様のために頑張って作品を前進させたいと思っています。今後とも応援をよろしくお願いいたします。

 講談社 月刊アフタヌーン編集部 多田寛

マンガ 最新記事