「コミケ」の愛称で親しまれている日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット」で、会場の名物になっているのが、携帯電話各社が展開するコミケ特別仕様の車搭載型基地局だ。NTTドコモは「艦隊これくしょん」、KDDIは「デュラララ!!×2」、初となったソフトバンクモバイルは「黒子のバスケ」のイラストをあしらい、初めて3大キャリアのコミケ仕様基地局がそろい踏みした。ここまで趣向を凝らす理由を各社に尋ねた。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
1日あたり約20万人の来場者が訪れるコミックマーケットは、混雑のせいで携帯電話が通じにくくなるため、車搭載型基地局を出動させるなど、通信の混雑の緩和を図っている。そんな中、キャラクターのイラストをラッピングした基地局が2013年夏に初めて登場。アニメやゲームのキャラクターをあしらう自動車「痛車(いたしゃ)」にひっかけて「痛基地局」と呼ばれて、来場者の注目を集めた。
最も早く「痛基地局」を導入したのはKDDIだ。2013年夏にアニメ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」のイラストをあしらった車搭載型基地局が話題になった。その後は「進撃の巨人」「弱虫ペダル」と続き、今回は2015年1月から放送が始まるアニメ「デュラララ!!×2」にした。自社アニメの配信サービス「アニメパス」のアピール、コミケで“受ける”作品であることを総合的に考えて決めたという。
KDDIの担当者は「妖怪ウォッチ」という選択肢もあったことを明かしながら「『コミケなら違うだろう』という結論になりました。(痛基地局のはしりとして)他社には負けられません」と明かした。基地局の車体には「この運び屋、電波を運ぶ」という作品にからめたキャッチフレーズに加え、立体的な造形も施し、車体の前面には作品のイメージカラーである黄色にしたカバーを装着。痛車の作り込みという観点からは、他社よりも一歩先んじている。
ドコモの痛基地局は、同じく2015年1月放送のアニメで、前評判の高い「艦隊これくしょん」を採用した。企業ブースにも出店し、こちらも自社のアニメ配信サービス「dアニメストア」のアピールを兼ねている。KDDIを追う形での「痛基地局」参戦について、ドコモの担当者は「100%意識してないといえばウソになりますね」と苦笑しながら、「もちろん、コミケならではのお祭り感も考えてのことです」と話している。
初の痛基地局を展開したソフトバンクは、やはり2015年1月からアニメが放送される「黒子のバスケ」を採用した。複数の作品候補から「通信速度」も強調できる作品を選んだという。現地のWi−Fiの電波名称を、主人公・黒子テツヤの必殺技で、加速するパスにちなんで「イグナイトパス」と名付け、担当者が自ら黒子テツヤと火神大我のコスプレを、寒空の中で行うという気合の入れよう。これまで「痛基地局」の参加を見合わせていたことについて、ソフトバンクの担当者は「コミケの電波対策を優先させていました。来場者にはぜひ楽しんでほしい」と話している。
各社とも共通していたのは、コミケの通信混雑緩和に対応するのは当然で、その上で「来場者を楽しませる」という付加価値を重視していることだ。また各社ともライバルの動向も注視しており、今後も通信緩和の技術の進歩と共に、「痛基地局」の進化も楽しめそうだ。
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