集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」が好調だ。2014年9月の本格リリースから、3カ月で約250万ダウンロード超えを記録。「週刊少年ジャンプ」の最新の電子版や「ドラゴンボール」をはじめ過去の大ヒット作が読めるほか、「ジャンプ」の神髄ともいえる“発掘”した新人作家の斬新な作品が読めることなどが人気を支えている。同アプリを担当している同誌副編集長の細野修平さんとデジタル担当の籾山悠太さんに、サービスの狙いやこれからの目標などを聞いた。
ウナギノボリ
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「少年ジャンプ+」のスタートにあたっては、以前から手掛けている電子書籍ストア「ジャンプBOOKストア!」や創刊45周年を記念して配信した電子版「週刊少年ジャンプ」が好調だったことで、ネットでの展開に手応えを感じていたことが大きかったという。アプリは約半年の準備期間に、少人数のチームでそれぞれ本誌などの連載の担当も抱えながら進められた。ただ、アプリの開発は門外漢。細野さんは「やったことがなかったので、分からないことが多かった」と苦労を振り返る。それでも大きなトラブルはなく無事に船出し、4日間で約50万ダウンロードを突破する上々のスタートを切った。当初は「年内に100万ダウンロードいけばいい」と思っており、はるかに上回る結果になった。
「少年ジャンプ+」の柱は三つ。本誌最新号の電子版「電子版少年ジャンプ」の配信と、「ドラゴンボール」「ONE PIECE」などの大ヒット作の配信、そして「ジャンプ+」オリジナル作品の配信だ。中でも注目したいのがオリジナル作品の配信。本誌では見られないような斬新な作品が並び、細野さんは「デジタルでしか描かない人、アプリやウェブしか見ない描き手にも才能がある人がたくさんいると思うので、そこから新人を見つけて発掘したい」と語る。掲載基準は特に設けず、「なんでもあり。面白いかどうか」がすべて。たとえば、本誌では掲載に慎重になるような個性的な絵柄・内容の作品でも、ストーリーや設定が面白ければ「ジャンプ+」には掲載されることもある。「オリジナルからヒットを作って、紙(本誌)を食うぐらいの作品ができればいい」と目標は高い。
マンガ投稿サービス「少年ジャンプルーキー」の存在も大きい。365日24時間、いつでもマンガが投稿できるサービスで、「ジャンプ+」はもちろん「少年ジャンプ」本誌への掲載のチャンスもある。同サービスは「ジャンプ+」の立ち上げと同時にスタートし、すでに400作品以上の投稿が集まった。籾山さんは「思っていたよりも多い」と驚きを語る。細野さんは「オリジナルの作品をもっと増やしたい」と新人作品へのこだわりをみせ、「有名作家を連れてくるという発想はありません」ときっぱり。「新人から育てるのがジャンプ」という「少年ジャンプ」の神髄は「ジャンプ+」にも引き継がれている。
「ジャンプ+」が好調の要因について、細野さんは「『週刊少年ジャンプ』が(アプリを)始めるのを待っていた人がいるんだろうな、と思った」と分析する。「デジタルマンガの中でも、ジャンプっぽいマンガを読みたい、という人が一定数いたのでは」と細野さん。本誌への影響についても「ネット上で騒がれることで(紙の)ジャンプを思い出すきっかけになってくれたのかな」と語る。有料で配信している電子版「少年ジャンプ」への購買数も上々で、「半年ぐらいでいけばいいな、と想定していた数値に達した」という。
「ジャンプ+」の今後について、細野さんは「海外展開も視野に入れている」と語る。当面の目標はオリジナルで大ヒットコミックを作ること。大ヒット作をコミック化し、電子版「ジャンプ」とともに「ジャンプ+」の売り上げを支えるのが描いているビジョンだ。細野さんは「新人作家からヒットが生まれた、という事例があれば作家は来てくれる。早くヒット作を生み出したい」と意気込む。「ワンピースやナルトを超えるような作品を『ジャンプ+』から生み出す」と期待は大きい。
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