アニメ質問状:「寄生獣 セイの格率」 プレッシャーで胃痛の日々

(c)岩明均/講談社・VAP・NTV・4cast
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(c)岩明均/講談社・VAP・NTV・4cast

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は累計1400万部を突破した伝説のマンガをアニメ化した「寄生獣 セイの格率」(日本テレビ)です。12月24日深夜には平均視聴率4.2%(以下関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録した人気深夜特番「明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー」(フジテレビ)の裏番組にもかかわらず、番組最高となる平均2.6%を記録した話題作について、日本テレビの中谷敏夫プロデューサーに魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

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 −−作品の概要と魅力は?

 原作は1989年に生まれたマンガで、かのJキャメロン監督も映像化を検討したというマンガ史に残る傑作の初めての映像化です。日本テレビは、実写映画とテレビアニメシリーズの両方を製作、展開させていただくことになりました。後の数々の作品に影響を及ぼした、珠玉の作品のアニメ化です。

 −−アニメ発表時、最初の反響は? またアニメの放送後に反応は変わりましたか?

 正直なところ、良い意味でも悪い意味でも大反響でした。私が手がけた作品では、「デスノート」や「NANA」「HUNTER×HUNTER」並みかそれ以上だったと思います。原作ファンの方の多さと“濃さ”に改めて重圧感を覚えました。

 放送開始後もプレッシャーは変わりませんが、原作ファンの方々の反応のみならず、普段は、マンガやアニメをご覧にならない方々からも、熱いメッセージをいただけるようになりました。スタッフ一同、励みにして頑張っております。

 −−作品を作るうえでうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 基本的には、プレッシャーだらけですかね(笑い)。

 この作品を地上波民放で放送するにあたって、二の足を踏まざるを得ない、絶対的なハードルがあります。それが、表現方法です。

 特に、殺りくシーンにおける、斬新なカット割りや、独特な無機質なテイスト。物理的には、アニメで再現できないことはありません。ですが、子供や女性が広くご覧になる可能性がある「テレビ」。さらに、放送法による規制もあります。

 そうしたシーンは、ただやみくもにカットしてしまえば楽ですが、それでは、この作品の持つ哲学を語れない。もっと言うと、やる資格がないと思っております。

 ですので、カットを一つ一つ、絵を一枚一枚、細部にわたって検討を重ね、気を使って作っております。

 おかげで、毎日胃が痛いです(笑い)。

 −−原作とキャラクターデザインが変わりましたが、変更の狙いは?

 作品が20年も前のものであるということです。2014年を生きる全ての方に「今、起こっていること」として感じてほしいと思いました。

 長い年月で、少しずつ生まれてきたズレを今風にアレンジしたいと思ったのです。携帯電話もなく、ネットも成熟していなくて、学校にはツッパリがいる時代……。

 原作がすごいのは、コンセプトが今も何ら色あせていないこと。ならば、それを今の時代に、「古くない」物語として表現したいと思い、原作の岩明均先生にご相談させていただき、今の形になりました。でも、よく見ていただくと、原作へのリスペクトで線を上手に残してるんですけどね……。

 −−実写映画との連携は?

 連携というか、また、違った表現を楽しんでいただければと思います。(ミギー役の)阿部サダヲさんと平野綾さんは、前からの知り合いで、まさか、同じ役をやるなんて夢にも思わなかったらしいですよ。そりゃそうですよね(笑い)。

 −−今後の見どころを教えてください。

 だんだん、人間っぽさが出てくるミギーと、パラサイトの血が影響してきたシンイチ。平野さん、島崎(信長)さんは、卓越した演技力でその微妙な変化を出してくれています。キャラクターと一緒に成長している2人のお芝居の「間合い」をリアルタイムで感じていただければと思います!

 あっ、過去の話数は、このタイミングで配信などでチェックすると、より、楽しめますよ!(宣伝です(笑い))

 −−ファンへ一言お願いします。

 現在、まだまだ、半分。皆様の反響を頼みの綱に、スタッフ、声優陣一同、頑張っています。この綱が途中で切れないように、最後まで走り抜けるように、頑張るだけです。

 これからも、よろしくお願いいたします。

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