アニメ質問状:「アイドルマスターシンデレラガールズ」 ウワサのP誕生秘話 声優起用の裏側も

(c)BNGI/PROJECT CINDERELLA
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 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。新米アイドルたちの成長を描く「アイドルマスターシンデレラガールズ」です。バンダイナムコゲームスの石原章弘ディレクターに作品の魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

 −−作品の概要と魅力は?

 まず、「アイドルマスター」とは?を説明しておこうと思います。「アイドルマスター」は「765プロ」という芸能事務所に所属している13人の女の子たちを中心に、2005年からゲームやアニメ、音楽CDといった形でアイドル活動を展開してきました。たくさんのプロデューサー(=『アイドルマスター』の世界では、作品を応援してくださっているファンの皆様をプロデューサーとお呼びしています)さんの応援のかいもあって、無名に近かった765プロのアイドルたちは、劇場版映画の製作、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)でのライブコンサートという、トップアイドルに近い活動ができるまでに成長できました。

 しかし、「アイドルマスター」は“トップアイドルを目指す女の子たちの物語”でもあります。そこで11年冬、新たに無名に近いアイドルたちを100人以上、アイドルマスターの世界に登場させました。それが「アイドルマスターシンデレラガールズ」の世界です。プロデューサーさんがアイドルたちを応援していくことで、アイドルたちはどんどん輝きを増していく。そんな“プロデューサー体験”を楽しめることが、アイドルマスターシリーズの最大の魅力です。

 −−今回のアニメ化で心がけたことは?

 「アイドルマスター」は、これまでも多くのプロデューサーさんによって支えられてきました。今年で10周年を迎えますが、まだまだ、これからも多くの展開を行っていきたいので、常に新しいプロデューサーさんたちを募集しています。なので、アニメ化もまだ見ぬ新たなプロデューサーさんたちに、「アイドルマスター」に参加してもらうために企画しました。

 ただ、これまでを支えてくれたプロデューサーさんたちにそっぽを向かれても意味がありません。“ゲームを楽しんでいる人たちだけが楽しめるファンムービー”にはしないけど、ファンにもニヤリとできる要素がある……というのが、最大の課題でした。

 実は、ゲームでは事務所の設定もなく、すべてのアイドルが知り合いで、先輩後輩という関係性は特にありません。しかし、アニメでは島村卯月、渋谷凛、本田未央が、最後にプロジェクトに合流してきた3人という設定としました。これは、はじめて「シンデレラガールズ」の世界を見る視聴者の人が、誰の視点で物語を楽しめばよいのか?を明確にしたかったからです。世界に初めて触れる人は、卯月たちの視点で。ゲームをよく知る人は、画面に映り込むいろいろなアイドルたちの姿を見て、世界観を感じてもらう。最終的には、今のような設定に落ち着きましたが、こういった設定を作る上で、アイドルたちの実家の場所や、彼女たちの放課後の生活なども次々と生まれていきました。

 −−アニメに登場するプロデューサーが話題です。キャラクター作りで気をつけた点や、モデルなどの設定があれば教えてください。

 アニメを企画している際、高雄統子監督とアニプレックスの鳥羽洋典プロデューサーと打ち合わせをしている中で、高雄監督にアニメのイメージボードを数点描いていただきました。その中に、いまのプロデューサーの原形があったのですが、初めて見た時は「こうくるんだ!?」と驚きました。

 最初は、今よりさらに大男な感じで“美女と野獣”というイメージがより強かったのですが(笑い)さすがに冒険しすぎかも?と迷ったりもして、シナリオを詰めていく中で何度かデザインを作っていただきました。しかし最終的には、高雄監督の元デザインに近い形で落ち着きました。彼は背が高いので、女の子と話す時に少しうつむいて、女の子と話します。僕は、そのレイアウトが「シンデレラガールズ」の世界観をうまく表していると思うんです。輝く舞台に立ちたい女の子を見守る世界観。プロデューサーの優しい目線が作品全体を表していて、彼はある意味、今回のお話の骨子となる人物の一人ですね。

コミュニケーションは苦手という設定ですが、そんな彼を、ぜひ優しい目線で見守ってもらえればと思います。オーディションでは最初イメージしたような声の方がなかなか見つからず、早く決めてくれという周囲の空気を無視して(笑い)何回かやり直していたのですが、最終的には初々しさ、優しさ、落ち着きを併せ持つ、武内駿輔くんに巡り合いました。

 オーディションの最中に武内くんは「17歳なんです」と聞いて、エンジニアの人に「いや、さすがにそれはないでしょ~」と話していたのですが、本当に17歳だったので、本気で驚きました。でも「プロデューサーはこれでいけるな」とも確信しました。お芝居に関しては、高雄監督も音響監督も石原も妥協しないので、アフレコのたびに彼には大変な苦労をかけていますが、見事期待に応えてくれています。

 −−作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 物語にはいくつかのキーワードがありますが、その骨子から今のストーリーラインに落とし込むまでに、本当にとても時間がかかりました。また、プロデューサーの設定の一部については、監督や構成の高橋龍也さんと延々と打ち合わせをして、16時間くらい会議室で話していました。会議が始まったのは夕方で、終わったのは翌日の昼だったのですが、僕はそのままさいたまスーパーアリーナのライブリハがあって、もう何もかもを投げ出したくなりました(笑い)。現在も進行形で大変です。

 アニメとゲームの連動を多く行っており、さまざまなサブストーリーや、アイドルたちがどのような活動をしているのか?をゲームサイトで配信中ですが、これがおそろしいまでの物量で、収録とシナリオ作りで、あっという間に1週間が過ぎていき、自分も何か魔法にかかっている気分です(笑い)。

 −−今後の見どころを教えてください。

 346プロには「シンデレラプロジェクト」というプロジェクトがあり、そこに所属する14人の女の子たちが、一つの核になっていきます。彼女たちは出身も身長も、アイドルを目指す理由もバラバラです。しかし、そこは今回の物語のテーマの一つです。プロデューサーの目線、事務所を俯瞰(ふかん)で眺める目線、女の子からの目線。

 どこから見るかで、印象は変わっていくはずです。見どころはすべてです! いろいろな目線で、楽しんでもらえればと思います。

 −−ファンへ一言お願いします。

 あなたは今、楽しいですか? もし、もっともっと“楽しさ”を生活に取り入れたいなら、アニメとゲーム、そして音楽CDにリアルイベントと、さまざまな「アイドルマスター シンデレガールズ」の世界を楽しんでもらいつつ、多面的に「シンデレラガールズ」の世界を楽しんでください。

 そこにはきっと、楽しくて輝く世界を共有できる多くの仲間と、すてきな時間が待っています。これからも、10周年を迎えた「アイドルマスター」の世界を、ぜひ、よろしくお願いします!!

バンダイナムコゲームス アイドルマスター総合ディレクター 石原章弘

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