話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、マンガアプリ「少年ジャンプ+」(集英社)で連載中のイーピャオさん原案、小山ゆうじろうさん作画の「とんかつDJアゲ太郎」です。「週刊少年ジャンプ」編集部の村越周さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
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−−この作品の魅力は?
渋谷のとんかつ屋の息子・揚太郎が、ある日、初めて入ったクラブでとんかつ屋とDJに共通するグルーヴ(ある種の高揚感)を見いだし、その衝動のまま、家業とDJの二足のわらじで奔走する、文字通りのとんかつDJマンガです。魅力はというと、とんかつとDJという組み合わせのインパクトはもちろんですが、根っこをたどれば渋谷という土地に根差した青春成長物語。展開自体も少年マンガど真ん中です。ギャグが入り口な分、力を抜いて読めますし、遊び、小ネタも満載。毎週気楽に読んでいただけるとうれしいです。読めばきっと爽やかでラクな気分になれると思います。あとおなかが空きます。
−−作品が生まれたきっかけは?
もともと小山氏は「Gカップ」というギャグマンガ賞出身で、「週刊少年ジャンプ」でも読み切りを何作か発表していました。その中のヒップホップの描写が面白く、新作はこれでいこう、というような話をしていたのですが、なかなかまとまらず。一旦別ネタで練り直しかなと思った折に、原案のイーピャオ氏より、「喜劇 とんかつ一代」(1963年、川島雄三監督)という映画に影響を受けた「揚げるとアゲるでとんかつDJ」というアイデアが小山氏に持ち込まれました。森繁久彌さんなんかが出てる、渋い映画です。
その後は2人が一気に練り上げてきたアイデアを連載用に整え、当時創刊準備中だった「少年ジャンプ+」のアプリをスタートさせるための連載会議に提出しました。 ジャンプ本誌でクラブDJは読者層的にきついかなと思い、「ジャンプ+」に提出したのですが、そこでも大部分の反応は芳しくありませんでした。ただ、それでも絶賛してくれる人が一人はいて、半ば少数の粘り勝ちで始まったようなマンガです。
−−作者はどんな方なのでしょうか?
もともと音楽は好きで、ライブもよく行くようです。初めての投稿作を読み、連絡をとらせていただいた後の顔合わせでも、マンガの打ち合わせなのにスチャダラパーさんの話で盛り上がっていたような記憶があります。
ただ、クラブ自体にはあまり行ったことがなかったらしく、作品を通して、現在進行形で魅力を知っている、という感じなのかなと。ネタは取材で稼ぐ、という姿勢は徹底しており、DJをやっている友人や、とんかつ屋さんのご主人から取材したネタが、よく本編にも生かされています。 私との打ち合わせの際もよくとんかつを食べているので、この連載が始まってからとんかつを食べる量が爆発的に増えているのではないかと……。
−−今後の展開は?
壁にぶち当たり、悔しがり、努力する。時には仲間の力を借り、困難に打ち勝つことで自身も成長する。作品の根幹はここからもさして変わりはありません。ただ、それを彩るアイデアは、お二人の中にたっぷり準備されています。新キャラもガンガン出ます。これからも、しょうもなく爽やかに、熱い展開を続けていく予定です。
−−読者へ一言お願いします。
まだまだ若い作品なので、これを読んでいただいている皆さんの中でも、知らない人の方が圧倒的に多いだろうと思います。毎週木曜「ジャンプ+」で無料配信中ですので、応援よろしくお願いします!
また、興味を持っていただけた方は、単行本もこだわり満載ですので、ぜひお手に取っていただけるとうれしいです。巻頭カラーはとんかつグラビア!
週刊少年ジャンプ編集部 村越周
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