注目映画紹介:「メイズ・ランナー」 巨大迷路の謎解きや脱出劇に若者たちの人間模様がからむ

映画「メイズ・ランナー」のワンシーン (C)2014 Twentieth Century Fox Film.
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映画「メイズ・ランナー」のワンシーン (C)2014 Twentieth Century Fox Film.

 謎の“巨大迷路”に閉じ込められた人々が脱出を目指すサバイバル・アクション映画「メイズ・ランナー」(ウェス・ボール監督)が22日に公開される。米国のベストセラー小説が原作で、先が読めないストーリーと度肝を抜くシチュエーションが話題を呼び、全米はじめ55各国で初登場1位を記録した。「インターンシップ」(2013年、日本未公開)のディラン・オブライエンさん(23)や、「17歳のエンディングノート」(12年)などのカヤ・スコデラーリオさん(23)ら若手の注目株が、周りを高い壁に囲まれた“巨大迷路”に閉じ込められ謎を解くために迷路内を走り回る登場人物を熱演している。

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 高い壁に囲まれた巨大な迷路は、朝になると扉が開き、夜が訪れる前に閉じられる。迷路は夜の間に構造を変化させ、二度と同じ道順は出現しない。謎に包まれた迷路には月に一度、自分の名前以外覚えていない“ランナー”が、生活物資とともに送り込まれてくる。ランナーたちは団結し迷路の仕組みを調査を試みるが、扉が閉まる夜までに戻らなければ命の保証はない。迷路から脱出するためトーマス(オブライエンさん)ら迷路の探索に挑むが……というストーリー。

 謎の巨大迷路とそこに存在するコミュニティーという見知らぬ限定された場所に、記憶を失った若者たちが放り込まれ、その謎解きとサバイバルに挑む姿はスリリング。ノンストップで進むストーリーと合わせて最後まで飽きさせない。3部作の第1章のためか、謎解き要素はややあっさりめな印象も受けるが、一瞬先も読めない展開と予想を上回るバックグランドに驚かされ、次作以降の展開が気になってしまう。続きものではあるが、登場人物たちと同じく観客も物語世界の構造を知らないという設定が生き、今作だけ見ても十分満足いく内容に仕上がっている。脱出だけでなく登場人物たちの確執も見どころで、若手キャストの好演も相まって、既存のディストピア作品とは一線を画す仕上がりだ。TOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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