足立梨花:「勇気を与えられたら」 May J.最新曲を基にした短編「ブーケなんていらない!」主演

主演したショートフィルム「ブーケなんていらない!」について語った足立梨花さん
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主演したショートフィルム「ブーケなんていらない!」について語った足立梨花さん

 女優の足立梨花さんが主演を務めるショートフィルム「ブーケなんていらない!」(アベラヒデノブ監督)が、スマートフォン向けのアプリ「UULA(ウーラ)」で配信中だ。今作は、歌手のMay J.さんの最新曲「Love is tough」の世界観をモチーフにしたショートムービー。同級生の結婚式で再会した大学時代の親友の女子4人組が、酔った勢いでそれぞれ思いを寄せる相手に告白し、思わぬ事態に発展していく……というストーリーを描いている。女子4人組の一人であるサナ役を演じる足立さんに、撮影の様子や役作りについて話を聞いた。

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 ◇現場でのインスピレーションを重視

 足立さんは、冒頭で女性4人(足立さん、中村有沙さん、丹羽咲絵さん、柳生みゆさん)が盛り上がる様子に共感し、「男性からすると盛り上がって飲むまでは分かると思うのですが、そのあとの展開が女って怖いなと……」と言って笑う。自身が演じているサナの印象を「すごく大人な考えを持っていて振る舞いもできる子」だと感じ、「そういうところは尊敬できるし、すごいと思う」と感心する。サナの気持ちや行動については、「女性の中でもいろんな考えを持った人が多いので、分かる部分もあれば、もちろん分からない部分もある」と率直に語る。

 足立さんといえば気の強い役柄が多い印象だが、今作ではカメラ好きな少しおとなしい雰囲気の女性を演じる。役のイメージを「自分で想像してふくらませているので、もしかしたら無意識に自分が見たものを参考にしている可能性はありますが、意識して特定の何かを参考にしたことはない」と切り出し、「自分の分かるところは想像でふくらませていき、分からないところは監督さんとお話ししながらいろいろやったりしました」と説明する。

 その上で、「あまり前もって準備するのではなく、段取りをやったときに感じたことや、その場の雰囲気、相手がどういうふうにせりふを言うかなどで変えていったりする」のだという。その理由を「あまり『これだ!』と決めすぎていくと、監督さんがこうしてほしいと言ったことに対して、今回でいえば『サナはそうはやらない』と受け入れられなくなってしまう」と説明し、「パッとその場で感じたことを素直にやってみたのが今回の役」と強調する。特に「サナは男を取るよりも友情を取るタイプ」という印象を持ったといい、「男の人も大事だけど、友情が壊れたくないというのもあって、友だちが大事というのがベース。友だち思いの女の子という部分は大事にした」と演技プランの一端を明かす。

 ◇ガールズトークに花が咲く

 男性の登場人物も登場するが、物語は女子4人組を中心に進行していく。「どちらかというと(友だちになる人は)似たような人を選ぶのでは」と感じ、「それぞれがいろんなタイプの女子だと思いますが、だからこそこの4人が仲よくなったのが不思議」という印象を持った。「外見の雰囲気から表向きはアンナ(中村さん)が大人でまとめてくれる役だけど、裏で支えているのがサナ。マコ(柳生さん)が妹キャラでミユキ(丹羽さん)が自由で勝手に先に行っちゃうタイプ」と各キャラクターを分析し、「それぞれの役割があってぶつからないから、うまく意見も通るし、性格がバラバラだからこそ気を使わなくていいのかなと」と持論を展開する。

 そんな女性キャスト中心の撮影現場では、早朝からのロケにもかかわらず、「みんな眠いはずなのに、日の出待ちをしているときにスマホで撮るカメラアプリはどれがいいかという話をしていたのは女子っぽいと思った」とほほ笑む。「寝ればいいのにと思いながらも、みんなで写真を撮ろうと言って撮るんですが、『このカメラアプリよくない?』『でもこっちもいいよ』など、女性にとってはきれいに写真を撮ることはやっぱり大事なんだと思った」と女性らしいエピソードを明かした。

 思い出深いシーンとして足立さんは、サナが思いを寄せる三木(松村龍之介さん)とキスをしようとするシーンを挙げる。実は同シーンの撮影が「初日の最初で初めましてであのシーン」だったと打ち明け、「2人ともドキドキしながら、特に三木くん(松村さん)はすごくドキドキしながらやっていた」とはにかみながら語る。監督からは「画面で見るとそんなに近付いていないから、もっと近付いて!」と言われ、「自分たちではあとちょっと動くだけでくっつくぐらいの勢いだったのですが、出来上がったものを見たら意外に離れていた」と足立さん。「実はすましてお芝居をしているけれど、ドキドキしている部分はたくさんあると思います」といい、「いろんな気持ちで見られるシーンがたくさんあるので、そういうところにも注目して見てほしい」と力を込める。

 ◇何事も“自然体”で生きる足立梨花

 メインの4人の女性がそれぞれ恋愛での悩み事を抱えていて、サナは自分の悩みをあまり人には言わないタイプの女性。サナを演じる足立さん自身は「内容にもよるし、もちろん言う人は限られてはくるけど、(誰かに悩みを)言うこともある」と話すが、人柄からか誰かの相談に乗ったりすることも多いという。「どちらかというと自分のことも話すけど、聞くことのほうが多い」と自身でも自覚をしているが、「聞く人を間違えていると思うし、多分、私の答えを聞いても成功しないよと言いながらも、なぜか恋愛相談に乗ったりもします」と言って笑う。

 物語の中でサナはある決断を下すが、「どちらかという自分は流れに沿って身を任せていくタイプ」と足立さん。「芸能界入りは大きな決断だったのでは?」と聞くと、「私から飛び込んだわけではなく、芸能人になりたいと言ったわけでもないのに、急に父が応募し始めたので、『何を言っているんだろう』と思っていた」と当時を振り返り、「最近の写真を持ってこいみたいな感じで言われて、持って行ったのが、今思えば大きな決断だったのかも」と思い出して笑っていた。「別に迷ったわけでもないから、大きな決断は……引っ越しを決めたことくらい(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに笑う。

 ◇登場人物の誰かに感情移入してほしい

 今作のキャッチコピーで作品の中でも何度もくり返される「幸せな恋愛って何?」という言葉。「ほかの人にとっては不幸かもしれないけど、その人にとって幸せなら、それが幸せな恋愛」といい、「片思いしている自分がいいというような恋愛が幸せと思う人もいるだろうし、難しいですね。(今作を通じて)本当に幸せな恋愛って何なんだろうなと思いました」と痛感したそうだ。

 モチーフとなったMay J.さんの「Love is tough」について、「最後に楽曲が流れてきたときに、すっきりするというか作品がまとまった感じがして、すてきな曲だなと思いました」と足立さんはしみじみ語る。「恋愛に対してそれぞれの思いがある4人が集まったお話なので、見ている方が(4人の中の)誰かに当てはまってくれて、物語が進むにつれて勇気を与えられたらなと思います」と思いをはせ、「うまくいってもいかなくても恋ってすてきだなと思ってもらえたらうれしい。たくさんの方に見てもらえたらと思います」とメッセージを送った。ショートフィルムはUULAで配信中。

 <プロフィル>

 1992年10月16日生まれ、長崎県出身。2007年に「ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリを獲得し、ドラマや映画、バラエティーなど幅広く活躍。10年には「Jリーグ特命PR部女子マネジャー」に就任し、13年には「Jリーグ名誉女子マネジャー」の称号を授与された。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の有馬めぐ役で注目を集め、14年放送のテレビドラマ「大東京トイボックス」(テレビ東京系)で連続ドラマ初主演を飾る。今年4月期の月9ドラマ「ようこそ、わが家へ」に出演。主な出演映画に「好きっていいなよ。」(14年)、「でーれーガールズ」(15年)など。11月には出演した「劇場霊」の公開を控える。 

(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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