本郷奏多:映画「進撃の巨人」でアルミンを好演 実写版は「リアルを突き詰めたらこうなる」

映画「進撃の巨人」でアルミンを好演した本郷奏多さん
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映画「進撃の巨人」でアルミンを好演した本郷奏多さん

 諫山創さんの人気マンガを実写化した映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」(樋口真嗣監督)が1日に公開された。圧倒的な力を持つ巨人たちと人類の熾烈(しれつ)な戦いを描いており、三浦春馬さんが主演を務め、水原希子さんや石原さとみさん、長谷川博己さんらが顔をそろえた。映画とdTVで15日から配信される映画と連動したオリジナルドラマ「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙」でアルミン役を演じる本郷奏多さんに、大好きだという原作と映画の違いや実写版の魅力、役どころについて聞いた。

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 ◇自身が出演するとは思っていなかった

 原作の大ファンだという本郷さんは、今回のオファーを聞いたときのことを「本当にうれしかった!」と実感を込めて振り返る。「『進撃の巨人』を実写化する話が出ていた時期があったのですが、表に出ているということは自分に声が掛からなかったと思っていた」と当時の心境を明かし、「その後しばらくして、淡い期待すらまったくないところからお話をいただいたので、喜びは大きかった」と満面の笑みを浮かべる。

 アルミン役を演じている本郷さんだが、出演が決まる前は「マンガを読んでいるときに仮に実写化したら、(自分に役が)来るとしたらこれかなというのはあった」と感じていたという。アルミン役でのオファーに「あまりこういう真っすぐな男の子というのは、演じたことがないキャラクターだったので、新しいチャレンジをさせてもらえると思いました」と期待感を持ったという。

 ◇ロケ地のビジュアルが世界観とマッチ

 舞台は、長崎県の端島(通称・軍艦島)にある廃虚を基本に作り上げられている。「廃虚というのは原作やアニメの世界観とはまたちょっと違ったところだと思いますが、巨人が現れて物資がなく壁の中で生活していたら、きっとこういう世界だろうし、リアルを突き詰めていった結果だと思う」と話し、「軍艦島のビジュアルなどが実写『進撃の巨人』という世界観にものすごくマッチしていて、汚しをかけた衣装も素晴らしい」と絶賛する。

 実写版では主役のエレンはじめ、ミカサやアルミンといった原作キャラクターのディティールが変更されているほか、オリジナルキャラクターも数多く登場する。「『進撃の巨人』を作るにあたって、エレン、ミカサ、アルミンも含めて全部オリジナルキャラにするアイデアもあったらしい」と本郷さんは切り出し、「それでも巨人に変身する能力を持ち、巨人を憎むキャラがいたら、それは名前を変えていようがエレン。いろんなところのバランスを取った結果、完成しているものに落ち着いた」と原作ファンならではの目線で説明する。そして、「原作をなぞってやる選択肢もあったとは思いますが、あえてそうせず、今のバランスに落ち着いたことで、(原作を)知っている人も新しい楽しみ方ができるという部分が残ったのが、オリジナルキャラを使うメリットではと思う」と分析する。

 ◇原作を徹底的に読み込み役作りの糧に

 原作ファンという立場と、アルミンを演じるという立場。役作りをする上で二つの視点が存在したが、「名前を受け継いでいるキャラクターの中で、比較的アルミンは大きく変わる部分がないと感じた」と役の第一印象を語り、「アルミンの元のポジションがまずそうですが、基本的にはサポートする立場で、熱い情熱や芯はあるけれど、あまり前に立って物事を動かしていくキャラではない」と判断。「目立たないようにではないけど、特殊なことはあまりしないほうがいいと思い、バランスを組み立てました」と振り返る。

 これまでも映画「GANTZ」やドラマ「リアル鬼ごっこ THE ORIGIN」、ドラマ「アカギ」など、本郷さんはマンガ原作ものや非日常的な役を演じることが多い。「基本的に命が危ない状況であることが多い」と本郷さんは笑うも、「サバイバルや命を狙われるものが多くなるのは、今までやったものが成功したからだと思うことにしている」と自身のスタンスを説明。そして、「(これまでの演技が)どうしようもないようなら出演のお話は来ないと思うので、得意分野だと思ってやっています」と力を込める。

 原作ものに出演する際は「必ず毎回(原作を)ちゃんと読み直して、ファンと呼ばれる人たちと同じレベルかそれ以上のファンになれるようにしている」と打ち明け、「何をするべきで何をするべきではないかも分かり、どういうバランスで(役を)やったらいいかも分かる」とその効果を説明。さらに、「アニメもマンガも見るけれど、それはいい材料がないかなと探す作業であり、材料を得ることは間違いなくプラス」と本郷さんは言い切る。

 ◇実写ならではのよさがにじみ出たアクション

 巨人と戦う際に用いる「立体機動装置」も今作の見どころの一つだ。「アニメのアクションもスピーディーでカッコいいんですが、それはアニメの『進撃の巨人』のアクションシーンゆえのよさ」と前置きし、「実写のアクションは人間の重さを計算して作られていて、ワイヤで人間の重さが飛んだらこうなるなというアクションになっている」と解説。また立体起動装置がワイヤを使った装置であることも好影響だったようで、「ワイヤ感が残っていることが今回は正解だと思う」と強調し、「ワイヤアクションと『進撃の巨人』というのが見事にマッチしている部分だと思うし、大きな強みです」とアピールする。

 実写版の魅力を「立体機動や巨人の気持ち悪さだったり、いろいろありますが、リアルにこの世界があったらこういうことなんだろうという部分」と語る本郷さん。続けて、「服が汚れていたり廃墟だったり、巨人も人間が演じているからこその生きもの感もある。ワイヤアクションも人間の重さを動かしているからそれらしさがあるし、リアルを突き詰めていったらこうなるのかなと」と実写版の世界観に理解を示す。

 ◇巨人の口の中での演技は必見

 アルミンの注目ポイントを聞くと「巨人に食べられそうになるシーン」と原作でも名場面の一つでもあるシーンを挙げ、「ものすごく感情をむき出しにできる瞬間なので、とても楽しかった。印象的だし、結構いいシーンに仕上がっていると思います」と満足そうな表情を浮かべる。さらに「冒頭のナレーションを読ませてもらっていますが、個人的にはすごくうれしい」と原作への思い入れの強さを感じさせ、「ある種、アルミンの目線として映画が始まる部分もあったり、最初のシーンも僕から始まる。とても大事というか、おいしい、いいポジションをいただけたと思います」と笑顔をはじけさせる。

 アルミン以外で気になるキャラクターとして、「一番好きなのはアルミンで、ほかは考えられない」と頭を悩ませつつも、松尾諭さんが演じる「サンナギ」と答えた本郷さん。「パッと見ても違和感はないのですが、一応僕たちと同期なんですよね(笑い)」と冗談めかすも、「頼れる感じで巨人を投げ飛ばすから、やっぱり気になります」と役どころを説明する。

 そして、「『進撃の巨人』は今年一番注目されるであろうタイトルだと思うし、キャストやスタッフ、特にスタッフは本当に一流の方々が集まり、たくさんの大人が本気で『進撃の巨人』を作り上げ、自信を持っていいものが出来上がったと思う」と自信をのぞかせ、「期待して見てもらえたらいいなと思います」とメッセージを送った。映画はTOHOシネマズ新宿ほか全国で公開。後編「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」は9月19日に公開予定。

 <プロフィル>

 1990年11月15日生まれ、宮城県出身。2002年に映画「リターナー」で俳優デビューし、05年公開の「HINOKIO」で初主演を飾る。このほか、映画では「実写版 テニスの王子様」(06年)、「GANTZ」(11年)、「奴隷区 僕と23人の奴隷」(14年)など、ドラマでは「未来日記‐ANOTHER:WORLD‐」(フジテレビ系)、「リアル鬼ごっこ THE ORIGIN」(千葉テレビ)、「なぞの転校生」(テレビ東京系)など数多くの作品に出演。7月から放送中のドラマ「アカギ」(BSスカパー!)で主演。9月には映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」、11月には「シネマの天使」の公開を控える。

(インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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